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 それじゃあどれだけ強くなったのか試してあげるわ。

 私は腰に差してあった拳銃を構えると連射する。射出された赤い液体は男の前ではじけるように停止していた。

 ちっ、やっぱりバリヤー的なやつを使ってくるわよね。


「いきなりとはひどいな。さっきから思っていたんだが君は何者だ。魔術師でもないようだが」


 ふん、そんなに知りたいのなら教えてあげるわ。

 私は通りすがりの焼き芋愛好家ダナコ様よ。痛い目みたくなかったらポケットの芋を全部差し出しなさい。

 ポシェットから手りゅう弾を取り出すとピンをはずしてヤツの頭上に放り投げた。気の抜けた破裂音とともに大量の粉がまき散らされて視界が遮られる。


「無駄だよ。こんな玩具で私は止められない」


 男から暴風とでもいうべき空気の流れが発生して、せっかく張った煙幕があっというまに薙ぎ払われた。

 でも残念、手遅れよ。

 弾けるような音とともに男がのけぞった。煙幕が晴れる前に放ったクリスティーナの魔術が男の口元で破裂したのよん。威力は小さかったかもしれないけれど、相手の意識を刈り取るには十分な一撃だわ。


「貴方ってほんと卑怯よね」


 オホホホホ、誉め言葉として受け取っておいてあげる。

 煙幕を張れば力自慢なアイツなら強引に引きはがすと思っていたわ。呼吸をしなければならない以上どこか守りに穴ができる。そこを突いてあげればこれもんよ。


「ワシの出番はなかったのう」


 そうね。もしものときはお爺ちゃんが強引に穴をこじ開ける予定だったけど、ラッキーだったわ。でも残念がることはないわよ。どうせ――。

 最初にも感じた空気の振動を感じた。倒れた男の前にまた新しい敵が現れる。

 ほらね。というわけで守りはまかせるわよ、お爺ちゃん。


「やってくれるね。まさかこんな手を使ってくるとは。あまりにもセコすぎて予想外だったよ」


 なあんて余裕そうなこと言ってるけど、イラついてるのが表情から漏れてるわよ。ウケケケケケ。


「あんまり相手を煽らないでくれない。あいつらの能力を考えるとさすがに怖いんだけど」


 何言ってんのよ。私だって最初から怖いっての。

 どうせ怖いものは怖いんだから、こういうときは煽りまくって相手の隙を少しでも大きくしたほうがいいのよ。……たぶん。


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