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現在、非常階段口なり。
無事ラカンを誘い出すことに成功していた。さすが私。
とりあえず私が手に入れたヌゥーレ協会の情報を伝えるとしよう。かくかくしかじか。
「かくかくしかじかって何?」
あいかわらずお約束の伝わらないムスメっこね。はぁ、仕方がないな。まじめに説明してあげるとするか。
ラカンは私の話を聞き終えるとため息をついた。
「相変わらずのトラブルメーカー」
ああん? 私のどこがトラブルメーカーなのよ。トラブルのほうが勝手に近寄ってくるだけだっての。
「……」
ラカンはそれ以上なにも言わなかった。なんだか生暖かい目で見つめられてる気がする。フッ、照れるわね。
とりあえず任務はこれで完了したわ。あとは風魔衆とヌゥーレ協会でとっとと今回の騒ぎを解決してほしいところね。
そしてその日の夜。
なぜか私は例の料亭にいた。……解せぬ。
私の目の前ではお爺ちゃんとクリスティーナがにらみ合う形で座っている。
ぐぐぐぐぐ、まさに胃が痛くなるような状況ね。ズルズルズル。
え? うるさい? はぁ~、何言ってんだか。
よく覚えておきなさい、ラカン。うどんは音をたてて食べるのがジャスティスなのよ。
ズズズズズ~! ふう、このきつねうどんは極上だわ! お姉ちゃんおかわり!
フッ、まだまだ私はいけるわよ。明日の朝ご飯のぶんまで詰め込んでみせるわ。
ラカンにサムズアップしてみせた。ラカンの冷たい視線が心地よい。
なんてやってる場合じゃなかったわね。
ちょっと、アンタたちいい加減にしなさい。ちゃっちゃと話し合って問題解決しなさいよね。ずっとにらみ合ってるのを眺めさせられてるコッチの身にもなりなさいっての。見てるコッチの胃が痛くなっちゃうわよ。あぁ~、痛い痛い。ズズズズズ~。
おっ! 月見うどんじゃないの。微妙に変えてくるとは心憎い気配りね。
よろこんでいる私に二人の視線が突き刺さる。うどんを食べて温まってるはずなのになんだか寒くなってきたわ。
いや、これはまさか。超能力の攻撃!? ふん、今度こそ負けないんだからね。
私は温まるために気合を入れてうどんをかっ喰らった。