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面倒ごとにかかわりたくなかったので、お爺ちゃんに私がヌゥーレ協会が敵対している側と私は仲がいいことを話した。もちろんいつでも逃げ出せるように細心の注意をはらってね。
というわけでお爺ちゃんに協力はできないんだと暗にしめしたつもりだったんだけど――。
「ほう、そりゃちょうどええわい。その友人とやらにこちらの状況を説明してはくれんかのう」
おーい、私はトラブルに巻き込まれたくないってのに。
クッ、これというのも商店街にホットケーキの芳醇な香りを漂わせ、私を罠にはめたこの店が悪いのよ。
お姉さん! ソフトクリームおわかり!
こうなったらウェイトレスのお姉さんをソフトクリーム製造マッスィーンにしてくれるわ!
その日の夜。私は腹痛に襲われていた。
ぐぉおおおお! ま、まさか超能力者の奇襲か。
博学な私にはわかっている。これはたしかサイコキネシスというやつね。
アイツら……、私のボディにドリルを打ち付けるような攻撃をしかけてきやがりましたよ。
ゆるせないわ! 私のほうには奴らと戦うつもりなんてないのに!
私はひそかに復讐を誓う。でも今はそれどころじゃなかったわ。
くぅおおおお! キリキリとした痛みがぁああ! こうなったら麻酔を……。
急いで英語の教科書を開いた。ぐーぐー。
あくる日、学校に登校した私は風魔衆とのわたりをつけるため、ラカンに話をもちかけようとした。
しかしそこで私は考える。すでに私への攻撃は始まっているわ。このまま話しかけてラカンが風魔衆であることをヤツらに知られるのはまずいような気がするのよ。そこから紐解くように風魔の全貌を知られ、風魔衆が次々と攻撃にさらされるかもしれない。
それはまずい。私の責任的な面も含めてね。
ここは奴らにばれないように気を遣うとしますか。
私はノートにメッセージを書き記すとそれをちぎってポケットに忍ばせる。あとはこのホームルーム前の殺伐とした時間に、相変わらずボーッとしてるラカンにばれないようにコレを渡すだけだわ。
自然な風を装い教室の後ろのほうをふらつきながらノートの切れ端をラカンに渡した。そして素早くその場を離れる。
『全校生徒にそのちっこい身長の具体的な数値をバラされたくなければ、今すぐ「レッツパーリー!」と叫びながら非常階段口までこい』
私の後頭部に丸められたノートの切れ端がぶつけられた。