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「――私もわからないことだらけよ」


「……」


 よし! 話を切り上げよう。ラカンとは意思の疎通ができないとみた。

 ヤレヤレ、しょうがない娘ね。ここまでダメな娘とは思わなかったわ。しかしこれだけはやっておかねばならないだろう。


「ところで今、学校から集団下校するように指示が出ているわよね。一緒に下校することを提案したいのだけれど」


「……わかった。問題ない」


 フーッ、どうやらこの件については話が通じたようね。まあ、考えてみればこの娘もボッチなのだ。断る理由なんてないのか。

 クックックッ、これでようやくウサギ小屋の呪縛から解き放たれたわね。


「ありがとう、私の用件はこれでおわりよ。アナタはまだなにかある?」


「……いい。なにかあれば帰りに聞く」


 よし! ゾンビ関連の情報は得られなかったが、出来は上々だろう。

 長いようで短い戦いだったな。これからはなにかあればラカンにくっついておけばよい。それでボッチ生活ともおさらばだ。

 もはや保護者面談でおなじみの「ダナコちゃんは協調性が足りなくて~」なんて枕詞からも卒業よ。

 私はご機嫌な気分で教室へと戻った。

 ひさしぶりに落ち着いた学校生活がおくれるなあ。早速まじめに教科書を読んでるふりを整えると瞑想にはいる。

 よくよく考えてみると、これで対ゾンビ用決戦アイテム「ラカン」を手に入れたといってもよい。まさに一石二鳥だったわ。

 フフフ、どうやら幸運期にはいったようね。これはこのまま勝ち組JKに成り上がる展開もありうる!

 私は最高にハイな気分で爆睡した。


 そして放課後。

 しっかり英気をやしなった私はいざ戦場へと向かう。まあ、ただ下校するだけなのだが。

 私はラカンを引き連れて乙女坂を下る。


「ところでラカンはアイツらへの対策は万全よね?」


「……ラカンって私のこと?」


 そういえばラカンの名前知らなかったわ。気まずい雰囲気が続いた。


「私は美柑。風間美柑」


 ナイスだラカン! ちゃんと空気を読んでくれたか。

 それにしても風間? まさか……。


「生徒会長とは……」


「私の姉」


 やはりそうか。どうりで美少女属性を持っていたわけだ。まさか姉妹だったとは。

 いずれ学園ナンバーワンへ上り詰める私の前に、姉妹で立ちふさがってくるのか。

 ゾンビ事件がなければ、今この場で決着をつけてやるものを。

 なんてことは置いておいて。


「わかったわ。それでアイツらへの対策はあるのよね? ラカン」


「……」


 ヤレヤレ、なんにも考えてなかったのか。この脳筋武術家め。前回、力押しでいけたからって、次もうまくいくなんて考え甘いわよ。

 まあいいわ。敵も学習能力があればここで襲ってくることはないでしょう。敵の戦力を分散させるのは常道。つまり次にやつらが襲ってくるのは私が一人でいる登校時間。間違いない!

 私がそう推理したと同時に、世界の空気が一変した。


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