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「ヌゥーレ協会――現代科学で解明できない問題に別プロセスからの解明をうたう国際的な教育組織。科学の台頭によって表舞台から消えた様々な技術を保護し、それら技術体系を協会のもと一新するなんて言ってるけど、実際には様々な組織を一掃している。すでに魔術師にもかなりの数の犠牲者がでているわ」
ほうほう、これはなかなかヤバい奴らみたいね。恐ろしくてヌレヌレになりそうですわぁ。それヌゥーレ、ヌゥーレ。
「ニップル騎士団からかなり危険な組織であると話は聞いています。それに風魔衆も協会にとって標的になりうるとの忠告も……」
ニップル騎士団も知ってるんだ。ってことはアイツらも標的になってるってことかしらね。
うーん、話を聞くになんだか全方位に喧嘩売ってるみたいだけど、そんなに巨大な組織なのかしら。全然知らないんだけど。
「それほど大きな組織ではないわ。ただし、標的になっている私たちに比べればかなり大きいでしょうね」
なるほど。クリスティーナたち魔術師の規模がどれくらいか知らないけど数では圧倒的なのか……。
それにしたってそんな一方的にやられるもんなの? アンタたち魔術師も大概だけど、標的になってるのってそれなりに奥の手をもってる組織なんでしょ?
「私たちには魔術がある。貴方たちにも忍術が。標的になった組織にも呪術、巫術、仙術――様々な力があったわ。けれど協会の力を前にして劣勢が続いている」
つまり単純に相手が手強いってことね。ところでその協会の力ってどんなもんなのよ。
「……正直いってわからないわ。あえて分類するなら超能力かしらね。とにかく協会が使ってる力の正体はわからないのよ。それが劣勢になってる原因のひとつね」
なるほどねえ。たしかに超能力って聞いてもちょっとフワっとしすぎてて、どんなことしかけてくるのか想像がつかないわ。
「そう、相手の手の内がわからないのは恐ろしいことだわ。そのうえ協会のほうはこちらの力を熟知している……、この差は大きいわ。だからこそ貴方の協力がほしかったのよ」
……ホワット? なんで私が?
「貴方は魔術師を相手に様々な方法を使って対抗してきた……。そして負けなかった。その知恵をもってすれば、得体の知れない協会相手であろうと突破口が開けると思うのよ。少なくとも向こうは貴方のことを知らない。条件は互角だわ」
いやあ、それほどでもあるんだけど。そんなヤバい奴らの相手なんて私は嫌よ?