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 乙女坂を上る私は、頬に当たる風の冷たさに冬の到来を実感する。

 最近は独り暮らしにも慣れ、代わり映えのしない毎日をルーチンワークよろしくこなしていた。おかげさまで有難くもない能力のほうも順調に成長しているわ。できればこの力を使わないで済む日常が続くことを望むよ、ほんと。

 まあ、私が信仰する笑いの神がそんな山も谷もない日常を提供してくれるとは思わないけどねえ。うむ、やはり真面目に改宗を考えるか。どこかに私を女神様とチヤホヤしてくれる宗教はおちてませんかねえ。


「その顔は変なことを考えているときの顔」


 クッ、でたわね。ちびっこ妖怪ラカン。アンタは人の顔の表情を読みすぎなのよ。「表情からわかるダナコ様心理図鑑」でも作る気なの?

 それにしても相変わらず私に気配を読ませないわね。やはりまだまだ修行不足か。


「それは違う。気配察知だけなら一人前の忍者並み。ダナコは単に普段だらけすぎてるだけ。あとちびっこじゃない」


 脇腹にきれいに肘を頂きました。ありがとうございます。

 それにしても一人前の忍者並みか……。登校中にそんな会話をしているなんて、あらためて非日常な世界にどっぷり足を突っ込んでるんだなあと思いましたとさ。


 そして時間は流れ朝の全校集会。壇上で風間会長が話をしていた。その完璧美少女ぶりに生徒たちは尊敬のまなざしを向けている。

 ああ、今ここで実は残念美少女なんだとばらしたら面白いことになりそう。そんでもって生徒会は魔窟で変態フレンズの集まりなのよと叫んでみたい。

 ハッ! 殺気!? なぜか後ろにラカンがいた。

 アンタちゃんと並びなさいよ。なんで私の後ろに並んでんの、まったく。

 とりあえず風魔衆の報復が怖いので考えを改めておこう。

 それからいつものような学校生活が始まり、私はそのほとんどを瞑想に費やした。

 うん、まじめだなあ私。ぐーぐー。

 それにしてもなにも事件が起こらない毎日が、これほど充実したものだったなんて。

 私は明日も平凡な日常が送られるよう、笑いの神に懇願するのでした。

 そしてわが家へと帰宅。

 優雅に漫画やラノベを楽しみ、サプリメントづくしの栄養補給とトレーニング。それからネットへとダイブしている最中重大なことに気づいた。

 いや、私一人暮らししているわけじゃないから。平凡な日常だと思ってたけど全然異常だった。いったいいつになったら帰ってくるんだ? 父よ母よ。

 最近連絡ないし、実はとんでもないことになってんじゃないの?


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