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 とりあえず失神した九条をロープで縛りあげた。あとはコイツを引き渡せば任務は完了だわ。

 うーん、でもこの男は支配の術を持ってるのよね。それがある限り縛ってあっても危険極まりない気がする。こうなったら……。

 私は補充用のカプサイシンカートリッジを取り出す。それから丁寧に九条の目元に塗ってあげた。


『なにをやっているのだ?』


 姿を現した悪魔さんが不思議そうに私に尋ねた。

 フフフ、術を封じるには集中力を削ぐことが有効とみたわ。このカプサイシンの刺激でコイツは術が使えなくなるはず。


『多少の痛みがあろうと、術を使えるくらいの訓練はしているだろう』


 チッ、駄目か。うーん、どうしたもんかなあ。このまま渡すってのも危ないしねえ。

 私が考え込んでいるうちに九条が目を覚ましてしまった。なんでわかるかって? それは――。


「目が! 目がぁあああああ!!」


 さっきから九条が縛られたまま地面を転がりまわっていた。

 あれ? これ結構効いてない?


『俺が思ってた以上に、現代の術者はお粗末らしいな』


 これには悪魔さんもニッコリ。実に凶悪な笑顔です。

 とりあえずコレを引き取りに来てもらおうっと。私は本隊に連絡しておいた。


「くそっ! なんてことを仕出かすんだ。この女!」


 ひどい言い様ね。とても黒脛巾衆を実験材料にしたり、生贄に使ったりして全滅させた男の言葉とは思えないわ。


「それに貴様! 裏切ったのか! 主であるこの私を!」


『フン、いつ俺がお前を主だと認めた。あの拙い召喚術で大悪魔である俺を呼び出せるわけなかろう。俺はお前の術を利用して現界しただけにすぎない』


 あれ? ひょっとして悪魔さんって結構すごい悪魔だったりするの?


『俺は悲嘆を司る大悪魔。かつて世界中の人々の小指がタンスの角にぶつかる呪いをかけようとしたこともあった』


 なんと恐ろしいことを……。まさかそれほどの大悪魔だったとは思いもよらなかったわ。

 震える私をみてなんだかご機嫌そうな悪魔さん。このままこの悪魔を信じ続けるのは危険だと言わざるを得ない。


「ふん! 馬鹿馬鹿しい! こんな小物の鬼を信頼していた私が愚かだった。獣の低級霊のほうがよほど役に立つ」


 九条のこの言葉に殺気が爆発した。

 あっ、この雰囲気。やば……。


『図に乗るな、人間』


 悪魔さんが九条の頭をはたく。耳障りの悪い音とともに、そこにあったものが跡形もなく弾け飛んだ。

 ぎゃぁああああ! どうすんのよ、コレ……。


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