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「あきらめたか。その潔さに免じて、できるだけ壊れないように研究してあげようかな」
ハイハイ、それはよろしゅうございましたね。
そんじゃまあ、こっちもよろしくやらせていただきますわよ。
私は集中力を高める。あの交流会のときのように。
「まあ、こちらとしてもそのほうが長く楽しめて都合がいいんだがね、フフフ」
このド変態がぁああああ!
このダナコ様に触手を搦めてサービスシーンを提供させただけに飽き足らず、さらに辱めようというのか!?
さては私の魅力的な脇腹に欲情してるわね! このプニプニの脇腹を全国に晒すと!?
ゆるさん……ゆるさんぞぉおおおお!
私はハートを熱く燃え上がらせる。しかし頭の中に吹き荒れるのは凍えるような吹雪。
そう……。熱く、そして冷静に。
この相反する精神がひとつとなるとき、私はダーナの末裔としての真の力を目覚めさせることができるのよ!
『お前は何を言っているんだ』
ちょっとぉ。空気読んでくれる? 悪魔さん。
いまテンションあげまくってるんだから邪魔しないでちょうだい。
では……、気を取り直して。
はぁああああ!
なんてことをしている間に九条が近づいてくる。目を閉じている私がもうあきらめていると思ってるのかもしれないけれど、しっかり捉えているわよ。あなたの存在を。
わかる!? わかるわ! 今、私は超感覚に目覚めている!
今の私ならイケる!?
カールハインツ流最終奥義!
「覇王滅殺!」
突然大声を出した私に九条が驚いたのがわかる。でも本番はここからよ。
「くぁ~むぇ~か~め――」
私はすべての力を振り絞るように身体をねじりこんだ。
「なんだ突然。一度は諦めておいて、また悪あがきか? 多少は動けるかもしれないが、一度拘束されればその術からは逃れられ――」
その自信、今こそ打ち砕いてあげるわ。
「波ぁああああああああ!!」
私は何かを解き放つように絶叫した。九条が思わずビクッっとなったのを見逃さない。
あれ? びっくりした? 今、ビクッとなったわよね、アンタ。プププ。
九条が一瞬イラッとした顔つきに変わる。しかし次の瞬間、その表情が驚きに変わった。
「なん……だと……」
私の身体を拘束し、さらに周りで蠢いていた植物たちが一斉に崩れ落ちたのだ。その隙を私は見逃さない。
筋トレで鍛えたぱうわぁと風魔の里で磨き上げた体術の融合。いまこそ解き放つ!
すぐそばにまで近づいていた九条に素早く駆け寄った。
「神の子に捧ぐ。必殺――」
私が繰り出した飛び膝蹴りは、九条の顎を的確に打ち抜いた。
KO!!