142
それにしてもこれに触るのは勇気がいるわね。自己暗示でもするか。
私は人形、私は人形。命令されたことを忠実に実行する超美少女な人形よ。さあ、おかたづけおかたづけ。
覚悟を決めた私は、すでに物言わなくなったものを持ち上げた。
『お前、術が効いていないな』
持ち上げた勢いのまま、思いっきり後ろにぶん投げてしまった。
うぁああああ! ごめんなさい! ごめんなさい! なまんだぶ、なまんだぶ。どうか呪わないでくだせぇ~。
アンタ、いきなり話しかけてこないでよ! あやうく恨まれるところだったじゃない! テレビを見てて突然井戸の映像がでてきたらアンタのせいなんだからね!
『……まさかこんな簡単にボロを出すとは思わなかった』
……しまった。思わず素で返してしまったわ。かくなる上は!
私は人形、私は人形。命令されたことを忠実に実行する超美少女な人形よ。さあ、おかたづけおかたづけ。
覚悟を決めた私は、すでに物言わなくなったものを持ち上げた。
『おい、なかったことにするな』
持ち上げた勢いのまま、思いっきり後ろにぶん投げてしまった。
ちっ、やっぱりごまかされないか。まあ、ばれてしまったからには仕方ないわ。
やい! あの男がいったい何者なのか。ここでいったい何があったのか。ヤツの目的はなんなのか。洗いざらい話しやがってください。お願いします。
『ふむ、たいしたものだ。本当にまったく術が効いておらぬのだな』
思いっきり無視しやがりましたよ。それにしても褒め殺しとはなかなかやるわね。
でも残念。私はその程度のお世辞に乗せられたりしないわよ。さあ、もっと私を褒めたたえなさい!
『だが、頭は残念なようだ』
あんだとー! アンタこそ! アンタこそ……、とても強そうですね。デヘヘ。
あぶない、あぶない。いつもの調子で地雷を踏みぬくところだったわ。それにしても見た目は恐ろしいくせして、やけに馴れ馴れしいわね。おかげでこっちの調子は狂いっぱなしよ。
『そうだな……、いいだろう。我が知っていることを話してやろう』
お? おお! なぁんだ。アンタ見てくれは怖いけど、なかなか話のわかる悪魔じゃない。ついでに私のかわりにここの片付けをまかせてあげてもよくってよ、オホホホホ。
途端に悪魔からさっきの殺気が漏れ始めた。ってシャレじゃないんだからね!
ひぇえええ! 調子乗ってすんませんでした!