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おお! 私たち生徒と保護者のお偉いさんたちが乗ってきた二台のバスの他にも、バスがいっぱい並んでいる!
聞いたところによると甲賀衆が手をまわしていたらしい。風魔の里と軒猿の里にバスを派遣して精鋭を寄こしてもらったそうな。
フフフ、やるわね。私好みのやり方だわ。そうよ、戦いは数なのよ。
圧倒的じゃない! 私の兵たちは!
「ダナコのものじゃない」
とりあえずラカンのことは無視してっと。
我が軍の圧倒的な数に満足した私は、とりあえず古巣である風魔忍軍の集まってる場所に移動した。
うんうん、ちゃんと準備は怠ってないわね。
風魔衆は刀や手裏剣、苦無の手入れに始まり、拳銃、小銃、機関銃。さらには手榴弾やロケットランチャーまで準備している。
以前、学校が襲われたとき。魔術師相手に飽和攻撃が有効なのはすでに実証されているわ。対魔術戦のエキスパートであるニップル騎士団からもお墨付きをもらっているし、さらに協力してもらって戦略に磨きをかけている。今の風魔衆なら魔術師相手にそうそう負けたりはしないわよ。
まあ、今回の相手は陰陽術かもしれないけど、ちょっと毛色が違うだけで魔術とそう変わらないでしょ。あとはもとが忍者で魔術師なんかより肉体的な強さが心配だけど、こっちも忍者なわけだし十分勝てるはずよ、たぶん。
ひとまず安心した私はバスのなかで私の意識を飛ばした件についてラカンを問い詰めていると妙な視線を感じた。
周りを確認するとどうやら他の忍たちに注目されているみたい。どうも重火器を取り揃えている風魔衆に若干ひいているらしい。
おいおい、冷酷な忍者のくせして何びびってんのよ。
「勝手に冷酷扱いしない」
私のプニプニ脇腹に攻撃をしかけてくるラカン。
ちょっとやめなさい。私のスタイリッシュ美女なイメージが台無しじゃない。
よし! ここは一発、私のカッコよさを皆にアピールしておくか。
私は二丁拳銃を両手にもって構えた。ちなみに両手をクロスさせているけど、とくに意味はない。敢えて言うと撃ちにくいわ。
そんなところにちょうど皆口会長がやってきてポツリとつぶやいた。
「君たちはいったい何と戦うつもりなんだ」
フッ、夢を忘れた世の中とよ。