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衝撃の『覇王滅殺亀亀波』事件のあと、黒脛巾衆をのぞいた三者の会合は滞りなく進んだ。
なぜに?
どうやら風間会長のパパンは甲賀衆や軒猿衆から一目置かれているらしく、パパンの『覇王滅殺亀亀波』は二者を説得するに十分な一撃となったらしい。
大丈夫なのだろうか? この業界。
こうしては甲賀衆、軒猿衆、風魔衆は連合を組んで黒脛巾衆の里に向かうことになった。私も含めて……。
おいー! なんで私を含めるかなあ。私はもう十分にがんばったと思うのよ。そろそろ解放してほしいんだけれど、切実に。できれば秋葉原方面に放流してください。
しかし、当然ながらそんな奇跡など起こるはずもなく、黒脛巾衆の里にドナドナされることになりましたとさ。
まあそもそもそんな要望を口に出してすらいないんだけどね。元ボッチをなめんな。
そんなわけで今私たちは郷蛇巣那高校のバスで遠足中。バスまで持っているとはさすがゴージャスね。
バスの中には各校の学生たち――つまり若手の忍者が搭乗している。もう一台のバスにはベテラン勢が乗っているそうな。
で、なんでアンタまでこっちに乗ってるのよ、ジゴロあんちゃん。
「あっちのバスは堅苦しそうだったからな」
まあ、わからなくはないけどさ。くれぐれも問題はおこさないようにね。飼い主の私の沽券にかかわるから。
「いつ、俺がお前の飼い犬になったんだよ!」
うるさいわねえ。早速まわりに迷惑をかけてんじゃないわよ、まったく。
「今のはダナコが悪い」
なんでよ? ここには一癖も二癖もありそうな連中がいっぱいいるんだから、最初にしっかりしつけておかないと。
うちの学校は風間会長をはじめとする変態フレンズ。甲賀衆は私と因縁のあるコングとおサルがいるし、軒猿衆は試合で煽ったヤツもしっかりついてきてるのよ。
これは問題が起こらないほうがおかしいわ。
「たぶん一番の問題はダナコの存在」
だまらっしゃい! ラカンは風間会長と離れ離れになってバスに登場しているパパンの心配をしてなさい。たぶん絶対一言もしゃべれてないから。