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ラカンがツンツンするので眠れな――瞑想に集中できないわ。しかたないので会合の話を聞くことにしよう。
どうも話を聞いてみると、今回の交流会にもっとも積極的だったのは黒脛巾衆だったみたいね。甲賀衆は調整役のような立ち位置だったようで、最終的には黒脛巾衆におされるかたちで交流会を実施したとのこと。
まあ、甲賀衆にも風魔衆の力を確かめておきたかったという意図があるみたいだけど。それは軒猿衆も同じみたいね。力の均衡が崩れるのを危惧したというのはわからなくもない。
そして彼らがもっとも注目していたのが私の力だという。風魔衆を監視していたとはいえ、悪魔との戦いは彼らにとってわからないことだらけの不可思議な出来事だったようだわ。
まあそうよね。はたから見たら私と悪魔の戦いは、わけのわからないやり取りにしか見えないだろうし。
だからこそ風魔衆に私を出場させるよう圧力をかけてきたのだ。今度こそ私の力を見極めようとして。
でも今となっては黒脛巾衆がそういう意図をもってたかというと、微妙よねえ。どうも怪しい。
私たちが黒脛巾衆チームと戦ったあのとき、試合前には確かに黒脛巾衆のお偉いさんとかの関係者が観客席に揃っていたという。
しかし、試合終了目前――突然倒れた黒脛巾衆を確認していたとき。観客はというとその奇妙な結果にザワめきが起きていたらしい。そしてそのときにはすでに黒脛巾衆の関係者は姿を消した後だったとさ。
そこでようやく黒脛巾衆に何かふくむことがあると判断したとか。それはちょっと動くのが遅すぎなんじゃないかしらん。
まさか企み事があるうえで、黒脛巾衆のお偉いさんたちが堂々とやってきているとは思わなかったそうな。ああ、忍者の世界にもそういう俗っぽいところがあるのね。
何でも数日前から黒脛巾衆の里を監視していた担当者との連絡がつかなくなっていたため、交流会にきていたお偉いさんにそれとなく確認していたようだが、のらりくらりと躱されていたらしい。
ああ、もうこれ完全に黒脛巾衆ぐるみで何かやらかしてますわ。それはここに集まった者たち共通の認識のようだけど、ここで一つ問題となった。
これから黒脛巾衆と相対する方向で動くわけだけれど、そうなると彼らが使う陰陽術らしき技が大きな壁となる。そこで黒脛巾衆を奇妙なかたちで倒してしまった私に注目が集まってしまうのは自然な流れなわけで。
うっ、元プロボッチの私をそんなに見つめないでぇ。