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風間会長が泊っている部屋を訪ねると、一緒の部屋に寝泊りする予定の生徒会員が出てきた。どうやらまだ交流会は続いているらしい。
私は部屋で待たせてほしい旨を伝えて了承をとると、部屋に入れてもらった。ラカン、ジゴロあんちゃんも私に続く。――ってオイ! 女生徒が泊ってんだから一応確認をとりなさいよ、ジゴロあんちゃん。
「あん? 別にかまやしねえよ。今回来てるのは全員風魔の人間だし。俺がやって来ればそっちの話だと察してくれるっての」
ああ、みんな風魔衆なんだ、納得。
確かにまかりまちがって忍びの争いを見られたらマズいわよね。
でも、そのお祭りの中心に一般人の私を置いてるのはどういうことよ。激しくやめてほしいんだけど。
「いい加減あきらめたほうがいい」
あきらめたらそこで試合終了なのよ。だから私は抗議し続ける。逃げれるまでは。
「まあ、アイツらが戻ってくるまで暇だし、他校の奴らの情報を確認したほうがいいんじゃねえの」
ふん、ジゴロあんちゃんのくせになかなかイイこと言うじゃない。そうね……、できる限り相手のことを調べておいたほうがいいわね。
私は生徒会の人にお願いしてわかっている限りの他校の情報を頂いた。しかし正直言って大した情報はない。
例えば一番衝突の可能性が高い甲賀衆の金剛についてだと――
『忍術のレベルは平均程度だが、それを補って余りある身体能力の持ち主』
てな具合である。とりあえず種族はゴリラゴリラゴリラと書き足しておこう。カキカキっと。
ラカンが肩を震わせているが放っておく。
「おいおい、真面目にやれっての」
私はいつだって本気よ。情報は大したことはなかったけれど、今日のゴリラの印象からしてだいたいのイメージはつかめたわ。
あとはルール次第ね。これは会長が帰ってくれば内容がわかるだろうから、それですべてのパズルが揃うわ。
そして組み上げてみせる。勝利の方程式を。