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 ――放課後。


 私は生徒会室にいた。なぜそんなところにいるかというと、例の美少女生徒会長様の誘いを受けたからだ。

 いつもの私であれば断るところではあるが、今回はそういうわけにはいかなかった。というかラカンというキーアイテムを失った私にとって、これはまさに渡りに船の話だった。

 これを口実に堂々と教室から出ていけるし、一人で帰宅する際、教師に見つかっても言い訳できる。それどころか生徒会のイケメンが家まで送ってくれるかもしれない……デュッフュフフ。

 そんなわけで、放課後になるといそいそと生徒会室にやってきたわけなのだが。

 見事に目の前に生徒会メンバーが立ち並んでいる。

 美少女生徒会長にさわやか系属性のイケメン副会長。

 ああ、実にお似合いデスネ。私なんかお呼びではないですよね。と言いたくなるほどに絵になっている。べっ、べつに悔しくなんてないんだからね!

 それにしても、女性上位なところにちょっとした興奮を覚える。プライベートタイムでは、このイケメンに足を舐めさせたりしているというわけか。

 お里が知れるわね、美少女生徒会長! ――なぁんて言おうものならえらいことになりそうだ。

 そんな変態ペアのとなりでは、書記の女生徒が感情の読めない表情で私のほうを見つめている。生徒会長のように華はないが、充分に美少女といってもいいスペックの持ち主だ。

 なんですかねえ。この生徒会には外見の審査でもあるんですかねえ。学校教育をなんだと思ってるんだ! けしからん! ――なぁんて言おうものならさらに冷たい目で見つめられそうだ。正直、想像してちょっと興奮しました。

 そしてさらにそのとなりには会計のメガネ君。浮かべている優しい微笑みはどんな女性の心も癒してくれそうだ。そう、となりの堅物書記もトロけさせるくらいに……。ってひょっとしてこっちもペアなのか? ふざけんな! このリア充どもが! 私がどんだけ期待してここにやってきたと思ってるのよ!

 ああー、これでツーペアだし充分ですよね? あがっていいですかねえ?

 なんてことを考えていると、美少女生徒会長がようやく要件を切り出してきた。


「単刀直入に言うわね、吉田花子さん。この生徒会に入ってほしいのよ」


 なるほど……。さすがの私も彼女が自分たちのリア充ぶりを見せつけるためだけに、私をここに呼びつけたとは思っていなかったけど……。なんともまあ面倒な話を。


「ここ最近のことはこちらでも把握しているわ。それを考えると生徒会に入ることは貴方にとって悪い話ではないでしょう?」


 なっ、こいつら。私がボッチだと知ってて接触してきたのか? 私がボッチ脱出のため孤軍奮闘してきたのを陰から観察していた……だと……。


「貴方のことだから、私たちのことは充分に知っていると思うけどどうかしら?」


 ええ、ええ。わかっていますとも。この変態リア充どもめ。普通にイチャコラしているのに飽き足らず、いたいけな美少女の私に観察させることでさらなる興奮を得たいわけですね。ふざけんな!

 わたしは美少女パワーを最大にまで高めると笑顔で答えた。


「お断りします」


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