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誰だ? こんなイケメン、うちの学校にいたっけ?
うーん、よく考えるとうちの生徒で私が顔覚えている数なんて、たかが知れてたわ。
つまり考えるだけ無駄ね。きっと出会う機会がなかったんだわ。
でも今、私たちは出会った。これは運命の導きってやつね、デュフフフ。
「ここは真面目になったほうがいい」
ラカンがチョップしてきた。
クッ、私の美しい頭に攻撃を加えるとは。衝撃でIQがマイナスになったらどうすんのよ、まったく。せっかくのアグレッシブビーストな気分が覚めてしまったわ。
改めて室内を見てみると生徒会長をはじめ、変態どもが揃い踏みだった。
しかも微妙に空気が重い。
「はじめまして、吉田花子さん。私は郷蛇巣那高校の生徒会長を務めている皆口鬼太郎と言います」
ほう……、他の学校の生徒だったのか。しかも生徒会長。
うちの会長の毒牙も届いてないだろうし、これは優良物件かも。ウヘヘヘヘ。
―――ビシッ。
私の頭に再びラカンのチョップ。
ってなんで私の考えてることがわかるのよ! アンタは超能力者か!?
「変なことを考えてるときの顔だった」
なんでそんなスキル身につけてんのよ。さっさと捨ててきなさい。そして私のために新しいスキルを覚えるのよ。私のお勧めは採掘スキルね。金銀財宝ザクザクとってくるのよ。
「フフフ」
……あ、笑われた。
どうしてくれるのよ、ラカン。笑われちゃったじゃない。これじゃ第一印象は最悪よ。せっかく出会った瞬間にズキュドキュンでした作戦に嵌めようと思ったのに。
「いや、失礼。一度君に会ってみたいと思っていたんだよ。実際こうして会えたものだからついうれしくてね」
おや? おやおや? これは脈ありですか!? ひょっとしてラカンちゃん嫉妬不可避な展開ですか? オーッホッホッホ! 残念だったわね、小娘。これで私のほうがいち早く勝ち組JKデビューですわよ、オーッホッホッホ!
アイタッ! コラッ、なんてことすんの!
この娘っ子ったら貫き手で攻撃してきましたよ、奥さん。その危険な技はアブドーラ・ザ・ブッ●ャー様しか使っちゃいけないんだからやめなさい。百歩譲って額を流血したときだけ使うのを許してあげるわ。――って今はラカンを相手にしている場合じゃない。
「でも今日は挨拶だけにしておくよ。どうせゆっくりと語り合える機会がくるだろうから。ですよね? 風間会長」
笑顔のイケメン会長とは対照的に美少女会長の顔はすぐれない。
ムッ、なんだ? この微妙な空気は。
イケメン会長は颯爽と立ち去ったけど、生徒会室は微妙な空気のままだった。