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翌朝、私はウキウキで学校に登校した。
あ~あ~、これで私も一躍時の人かぁ。あんまり目立ちたくないんだけどなあ。
でも仕方ないよね。なんといってもお手柄超美少女女子高生だし。
やっぱり朝礼とかで表彰とかされちゃうのかしら。
いやいや、たぶん副会長あたりが校門の前で待ち構えていて――。
「少々お待ちください」
と玄関口までバラの花びらを散りばめてくれて、私がその上を優雅に歩いていくパターンか。はぁ、大勢の人間に注目されるの苦手なんだけどなあ。こまったなあ~。
学園ヒエラルキートップに君臨するのを目前にして、乙女坂を登る私の心はピョンピョンでしたとも。
そして放課後――。
え? なんで放課後にとんでるんだって?
……。
知ってて聞いてるんだろうがぁああ! そういうふうに無神経に聞いてくるヤツは大っ嫌いだ!
そうだよ! 何もありませんでしたぁああああ! いつもと変わらない静かな日常でございましたよ、バーカ!
朝のホームルームに期待し、昼休みにも期待し、帰りのホームルームにまであきらめずに期待してましたよ、ちくしょうめぇええええ!!
なんでなのよ! 私はただ人気者になって、イケメンどもを侍らせて、学校で好き放題やりたい放題したかったってだけなのに! お髭が素敵なス〇ーリンのようにね!
いったい私になにが足りないっていうのよ? やっぱり胸か!? ケダモノどもは大きくてプルンプルンの胸がいいというの! 私だってお腹はプルンプルンなのに!
「これはひどい」
ふぅ……。腹に詰まっていたものを吐き出してスッキリしたわ。あ、胸に詰まったものだった。
ところでなにがひどいのよ、ラカン。そのセリフはこんなありきたりなオチを用意した笑いの神にいいなさい。
それで……、なにか用事でもあるの?
「姉……生徒会長が呼んでる」
……ほう。
なるほど、そういうことか。
どうやら私は少々急ぎすぎていたみたいね。
会長は文武両道の完璧ちっくな人だし、段取りとか大事にするタイプだわ。ということはお手柄超絶美少女女子高生デラックスがデビューする段取りはこれから決めようってことね。そういうことなら善は急げよ、ラカン。
私は競歩で生徒会室に向かう。急ぐぜ、急ぐぜぇ。
いやあ、それにしてもまいったなあ。とりあえずは会長のまわりにいるイケメンどもでも侍らさせてもらうとしますか。会長のまわりは変態どもだらけだけど、ミテクレはいいしたっぷりと早速堪能させてもらおうっと。
「これはひどい」
なにがひどいのか知らないけどさっきから同じセリフばっかりよ、ラカン。
まあそんなことどうでもいいか。急げ! ダナコ!
もしかしたら無意識のうちに干渉能力を使っていたかもしれない。すぐに生徒会室へと到着した。
おりゃあ! 跪くがいいわ、愚民ども!
扉を開くと、そこには見慣れないイケメンが立っていた。