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和気藹々とした家族の団欒(当社比)

 スキルとして発現していない事象の切断は、果たして他人から見ればどう映るのか。人間はえてして自身の見たものをあくまで自身の知る現象に当てはめようとする。つまり重力壁を無条件に突破できるならば、相応以上の出力かつ同じ現象を起こしているに違いないと。


 まあ既に魔王とやらが出現していて、魔人相手に控えめに言っても功労者である今回に限っては以前の焼き増しも無く、少なくとも邪悪な存在ではないという方向で納得してもらえたらしい。父上におかれましては疲れからか寒さからか若干震えているご様子であったが。


 北の王様との謁見などというイベントもどちらかといえばさらっと流され、流石中央は戦力が云々と元は嫌みのような意味で用意したセリフと思しき原稿が感嘆と共に読み上げられたのには多少クスリと来たが、他に笑う者も居ないので自重した。


 家族で積もる話もあるだろうと、そんな厚意で用意された席で終始無言の父上と兄上。そういえばこの3人で集まることなど無かったと、1人のんきに茶を啜る。というか実家で兄上に会った事ほとんど無かったし。隔離されていたとも言えるが。


 恨んでいるか、そうぽつりと父上が呟いたのは、どちらに対してか。誰が、何に対して、そういった言葉も無くとりあえず思ったことを口にするタイプの、言葉が足りずに真意を汲み取ってもらえないキャラクター性は不器用な父親像なんだろう。


 さしあたって此方には恨むような事も無いし、恐らくは兄上との間に何らかの確執があったのだろう。もしかすれば兄上の変貌は実家方面に帰らなければいけないことによるストレスの所為だったのかもしれない。そう思いながらカップを置き、視線を上げたら両者とも此方をガン見していた。ヒェッ。


 思うところは何もない。いや、本気で恨むはずも無い。確かに中身が子供であればネゲレクトとか虐待とかに等しい環境ではあったものの、正直主人公として自分を鍛え上げる必要性に駆られていて気にしたことも無かった。


 放逐に近い形で中央に追いやられた事も、シナリオの必然性、つまり運命というものを感じさせる程度で別段憎むような事でもない。仕送りが無かった? 50ゴールドとひのきぼうで魔王に突貫させられるよりなんぼもマシじゃろ?


 まあ正直に前世のブラック待遇より全然マシなんで恨みとかないっすよまじでーと言った所で頭の中身を疑われるだけだろう。故に返答は一言、何を恨みましょうか。決まった、完璧な返答だ。

なおパッパには何もかも恨んでるに決まってんだろあぁ? に聞こえる模様。

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