道端の兵士
マスケット銃とは、中世ヨーロッパの兵士が装備していた先込め式の滑腔式歩兵銃
わかりやすくいうとポンプショットガンや火縄銃の部類にあたる
何度か出てくるので形状くらい覚えてみるとわかりやすいと思います
うやむやな気持ちのまま俺は森の道を真っ直ぐに走っていた。
ホノ村の領域に指定されているのは深い森林である。
辺りは暗いのでしっかりとは確認できないが、俺の進行方向には木々が一本もないのだ。自分の足がついているのは、しっかりと土で埋め立てられ、案内が無くても進行方向が分かってしまうほどきれいに舗装された道なのだ。
なぜ、こんな道ができたかは432年に王から出された道端補足命令によるものだ。
ホノ村のような山や森に囲まれた村などは地区町村戸籍の検査の際に兵士が遭難しやすい。
初めの年に戸籍検査が実装されると、自分の担当の村や地区などに行ったことのない兵士がほとんどなので、何人も遭難者が出たらしい。そのため、王は次の年433年にに各地区町村に命令を出し、兵士などがその土地に訪れやすくするために周囲の村を中心に道をつくらせたというのだ。それが道端舗装命令だ。どちら側も損はしない。兵士は各担当地区へ遭難の心配なくほぼ安全に進むことができるし、こちらも他の村との貿易の際にも安全に訪れることができる。
だが、その舗装命令が出されたことが問題だった。道端の舗装修理のため、一時的な領域外への外出が許可された。
ソウゾ国原則条例法八条 第六条 正当な理由なく各町村の住民が定められた領域からの外出行為を禁ず ただし、特産物輸入の場合、もしくは各地区町村での貿易の場合は例外とする。ただし外出行為は許可のいるものとする。そして貿易の際も許可証が必要となる。
が、解除されたことになるのだ。
もちろんソウゾ国民全員が国王を支持しているわけではないので、ある反感が起きたのだ。
道端舗装中に見張りを担当していた兵士10人が殺害され、4つの村の村民全員が同時に他の国に難民として逃げ出すという事件が起きたのだ。
この事件は見張りをしていた兵士12人の内、生き残った兵士の2人が王政に報告したことで発覚した。おそらく4つの村が協力状態にあり、4つの村の村民数百人が兵士12人に襲いかかったのだろう。
そもそも兵士12人で数百人の村民を同時に見張りをすること自体おかしなことなのだろうが、人員不足だったのだろうか、この件には触れないでおこう。
この事件の名前は舗装事件と呼ばれている。そして、今も逃げ出した4つの村の村民は発見できていないという。
もちろんこのときはソウゾ国原則条例法八条がつくられているのでとんでもない事件だということがわかる。
とある法によって王が交代し、新しい王となってからどんどんとおかしくなっていったらしい。
この舗装事件をきっかけに王政はさらに厳しい条例をつくることになった。
俺はこの事件には矛盾点があると思っている。
まず、そもそも兵士が遭難することはないはずなのだ。なぜ、王政は兵士に地図を持たせなかったのか?
あのように大きな国家だったら兵士人数分の地図を用意するのもたやすいことだろう。
そして、たとえ4つの村だとしても武器を持っている12人の兵士にかなうわけないように感じる。
兵士が無能すぎるのも一つであろうが、あまりにもおかしい。
まぁ、今はそれを置いておくとしよう。
そのような歴史のある舗装道を俺は走っている。
その舗装道はほとんど一方通行になっている。それが王都なのだ。
そう、俺は王都に向かって走っているのだ。
今説明したものを含めても新しい王がひどいということがわかる。
俺は王都へ王を殺害しに向かうのだ。
あの、憎い王を。そして、モアを殺したあの憎い兵士を。
俺だって本当は別れたくなかった。
別れたくなかったのに・・・
だって本当は・・・・
「そこのお前!こんなところで何をしているのだ!」
こういう形でもう何回もこのように呼び止められたように感じるのだが、ここは無視して先を進むことにしよう。
俺は外から見たら一瞬何かに気づいて首をかしげて去っていく、何かの霊感がある人のように舗装道を真っ直ぐに進んで去っていこうとした。
「お、おい!止まれ!」
いや、もういい!とにかく面倒事は避けてとにかく王都に向かうしか・・・
バンッ!
そんな俺の思いを全て切り裂くような銃声が辺りに響いた。放たれた弾は大木の草木を貫き、辺りにいた鳥が何匹もバサァ!と空へ羽ばたいていくほど大きな音だった。
そんな銃声は俺の足を自然に止めることになった。
「止まれと言っているだろうがぁ!」
そんな大きな声が銃声とともに繰り出され、右手にある暗い森の中から全身鉄という鉄で固められた頭に兜をつけた兵士が出てきた。そして、両手にマスケット銃の銃口を俺に向けながら警戒している。どうやら兵士が持っている武器はマスケット銃一丁らしい。
兜のせいで顔は確認できなかったが、雰囲気だけで怒っているのが分かるほどであった。
「なぜ俺に声をかけられた時、逃げようとしたんだ?」
どうやらこっそり逃げようとしていることはバレていたらしい。
「ど、どういうことですか?逃げようとなんてするわけ無いじゃないですかぁ、いやだなぁ・・・」
もはや隠しようは無いのだが、「王を殺すために早く行きたかった」なんて言ったらどうなるのかなんて目に見えている。
「そして!」
兵士は自然とおろしていた銃を俺に再び俺に向けて叫んだ。
「どうしてただの平民がこんなところをうろうろしているのだ!?」
やはり、そっちのほうの問題のほうが大きいか・・・
「あ、あなたこそ・・こ、こんなところで何をしているんですか?」
今話す場面ではないのだろうが、質問を質問で帰してしまった。
「俺はソウゾ国パトロール隊だ」
「パトロール隊?」
「このソウゾ国内で領域外に出た者、規則を破る者などを指定領域外でパトロールする隊員だ」
パトロール隊・・・聞いたことのない名前だな・・・・ソウゾ国の条例にも入っていない機密隊なのか?
ただ、俺の情報不足なのだろうか?
まぁ、いい。とにかくこの状況を切り抜けられる手段は一つしかない。
この兵士を殺すしかない
なるべく殺生はしたくなかったのだが、いたしかたないと言うべきなのだろうか
だが、その目標を達成させるためには色々と難しい。
まず、兵士の持っているマスケット銃を奪い取る必要がある。何か兵士の気の引くものがないといけないそのためには話を持ちかけていかないといけない。
「そ、そうなんですか・・・」
「あぁ」
さっきから状況が全く変化していない。兵士側は相変わらず俺の頭めがけて弾を飛ばす気満々だ。俺も俺で、さっきから兵士の兜など見る気にもなれず、いつ発射してもおかしくない銃口を見つめている。
「そんなことは別にどうでもいい」
「そんなこと」とはもちろん兵士がパトロール隊の一員であることだろう。
「こんな夜中にどんな理由があり、たった1人で何を理由にしてこの地にいるかということを話せ!」
他の地域での貿易は基本的に3人以上でいくのが普通なのだ。夜中にこどもが一人で領域外をのこのこ歩いていたら声もかけたくなるはずだ。
「えぇ・・・と・・・となりの町の店にようがあって・・・それで・・・」
「・・・」
兵士は黙りながら自分の服と言っていいのかわからないがガサゴソとあさりだした。
「貴様、どこの人間だ?」
兵士は手が止まりこちらをおそらく見ないまま俺に話しかけてきた。
「え?」
急に話しかけられ反射的に聞き返してしまう。
「どこの出身の者だと聞いているのだ!」
ど、どこの人間か・・・俺の正確な生まれた場所は分からないのだが、育った場所はホノ村だから・・・
「この近くにあるホノ村です」
「ホノ村・・・・?」
兵士は俺の発した言葉『ホノ村』に反応して静かに声を出した。
なにか悪いことでも言ったのだろうか?俺はあの村の村民であの村から形はどうであれやってきたのだ
「貴様、ホノ村からいたと言ったな?」
「そうですが・・・・なにか?」
首をかしげながら、俺は質問をした。
「・・・・」
兵士は俺の出した質問には答えようとはせずにいつまでも黙り込んでいた。
そして、よろよろと自分の持っている銃を持って再度、俺に銃口を向けて言い放った。
「邪魔だ。消えろ」
バンッ!
銃声は夜の森の中なのでとてもよく響いた。辺りの山にもこだましてオンオンと音がする。
一丁のマスケット銃から放たれた一発の銃弾は近くにあった樹木に当たり、樹木の中にあった隙間で動きが止まった。
「な、な・・・・」
ビカーンッ!
辺りの雲は近くに明かりがないので星が眩しいほどに良く見えた。
だが、突然とできた黒雲は兵士の頭上で光を生み出し一瞬にして兵士を包み込んだ。
兵士の身に着けていた金属の鎧は光を良く通した。
ばたりと倒れこんだ兵士はその後、二度と目を開けることはなかった。
やっと完成しました!
一週間で投稿したいのにこんなペースではだめですね・・・・
気をつけたいとは思っています!
さて、始めて前書きに書きましたが、普段前書きを書くのはこうやってマスケット銃などの言葉の説明となりますのでお願いします。
次回 8話「ソウゾ国の王」