ソウゾ国原則条例法
「まさか・・・・貴様は・・・・!?」
「え・・・・これは・・・?」
そこはとある城の大きな部屋だった。無駄に豪勢な金という金。世界中の名画という名画。天井には大きなシャンデリアが備えられ、一番奥には見たこともない大きな椅子・・・いや、玉座がそこにはあった。
まさに玉座の間ともいえるその部屋には高価な家具以外は人と化け物の姿があった。
部屋の中央には人間が床に膝をつけて化け物を文字通り『挫折』が合いそうな顔で見つめていた。
その横には城の兵士が持っている弾の入っていないマスケット銃が一丁、投げ捨てられたように雑に転がり落ちていた。
部屋の奥の玉座付近にいる化け物は全身が燃やされ続けていた。
化け物を燃やす炎は部屋の天井まで届くとても大きなものだった。
今まで「うぁぁぁぁぁ!」叫び声をあげていた化け物は言った。
「まさか貴様は・・・・悪人・・・・・なのか?」
「悪・・・・・・人・・・・?」
この世界のすべての物には神が宿っている。
そして世界は3つ存在している。
まずこの世界、現世。そして死んだものが行く世界、天界と冥界。
たとえ目に見えないものでも神は宿っている。
現世の神、天界の神、冥界の神、知性の神、想像の神、悪の神など・・その数は計り知れないものだ。
これはその神により繰り広げられる物語
ソウゾ国原則条例法八条
第一条 国王は国の象徴であり定められた規則は絶対に守るものとする
第二条 1年に6回(2か月に1度)王都に各町村の特産物を定められた量を輸出することただし、各町村同士の物資の輸入輸出貿易については地区町村戸籍調査の際に貿易大臣への報告の後に、行うものとする
第三条 各町村、もしくは個人での武器の製造、所持を禁ず
第四条 犯罪行為は国王、もしくは国政大臣、王政が処罰することとする
第五条 王都に滞在するものは必ず職に就くこと ただし、満65歳までとする
第六条 正当な理由なく各町村の住民が定められた領域からの外出行為を禁ず ただし、特産物輸入の場合、もしくは各地区町村での貿易の場合は例外とする ただし、外出行為は許可のいるものとする そして、貿易の際も許可証が必要となる。
第七条 王都や王に対する批判や誹謗中傷等の言動を禁ず なお、意見がある場合玉座での話し合いとなる
第八条 1年に1度、必ず地区町村戸籍を国政大臣に提出すること
条例に反した場合、第4条に倣い《ならい》、王、もしくはソウゾ国国政大臣、王政が処罰することとする
これが俺の暮らしている国、ソウゾ国の条例となる。
明らかに王の住む王都だけを繫栄させるための条例だ。ほかの国民のことなんて気にも留めていないように見える。
俺の名前はシェン。村のみんなからはそう呼ばれている。
俺は5年前に里親・・・・いや、父さんにひろわれた。自分の住んでいる村は森の奥のほうにある。
外見に関する知識は俺にはないが、「立派な顔立ちだ」と父さんや村の人に言われている。そんなことは考えてもいなかったので、いざ言われてると恥ずかしい。
後に聞いた話だが、5年前、父さんが趣味の山登りの最中で村の領域内の深い森の中大木の下で下を向きうずくまりながら「う~、う~」とうめき声をあげている俺を発見したらしい。
父さんはそんな気味の悪い(自分で言うのもあれだが)少年に手を差し伸べ、保護をしてくれた。
そこからの5年間けして生活は楽ではなかったが、それでも村のみんなとの生活はとても楽しいものであった。
保護にはかなりのリスクがあることは分かっている。
この国には地区町村戸籍というものがあり、年に1度、各町村や大きい町の場合は1つの地区全員の名前を紙に記入し、王都の役員に提出することになる。
その戸籍をもとに兵士が各地区町村に出向き、人数やその年の特産物のデータを王都に持ち帰るシステムとなっている。
その度に俺は村の領域内の深い森の中へ隠れることになっていた。
迷惑ではないのかと毎回思ってしまい毎度のように聞いてしまう。
だが、帰ってくる答えは一つだ。
「シェンがいてくれるならそれで十分だ」
俺は毎年その言葉を聞き、若干の申し訳なさは治らないままだが村のみんなから、そしてなにより父さんから大事に思われてることを毎年感じる。
そんな毎日を送っていた俺だがある日に事件が起きた。
村の一人が調査に来た兵士に殺された。
しかも俺のせいで・・・
初投稿の記念すべき第1話!
内容としては明るいものではありませんが見ていただけるならよろしくお願いいたします。
次回 第2話 「友人」