アメンボが太平洋を渡る日
アメンボはその小さな脳みそで考えた。
この小さく大きな水溜りの外には何があるのだろうか。
仲間達に聞いても返される言葉は。
「そんな事知ってるよ、ロシアだよ」
「what?」
「現実」
「そんな事より俺の美しいフォルム見て、見てッ、美しい、美しいだろッどうだっ、すご――――――」
アメンボはGA・KU・ZE・N・とした。
なぜここまで終わっているのかッ。
なぜここまで仲間が変なのかッ、。
アメンボは戦慄したッ、このままこの小さくて大きな水溜りにいたら自分も仲間と同じ運命を辿るかもしれない。
事態は急を要する、とりあえずはまだ終わっていなさそうな仲間が言っていた大きな水溜り、太平洋を目指すことにしよう。
アメンボは川を下り、カスピ海を渡り、ナイル川のサケのサブロウと熱い友情を交わし、ついには元の川へ来た。
ここからだ、ここからが本番だ、この川を下れば太平洋だ、サケのサバロウが言ってた。
なかなか回り道をしてしまったがいい経験をした。
アメンボはサケのサブロクを思い出した、良い奴だった、だがあんな事になってしまうなんて。
原住民族に神として奉られてしまうなんて。(注、干物です)
まあいいや、太平洋いこ、太平洋。
「次の駅、次の駅は、太平洋海の駅、太平洋海の駅でございます、下車の際は――――――」
ながく苦しい戦いだった、列車は楽でいいですね。
ビーチには人が溢れかえり、サンサンとした熱気が行く手をはばんだ。
だがしかしいかなければならない否行くのだ。
アメンボは北海道でヒグマと戦った経験を思い出し気を引き締めた。
スイカが隣で割れた。
破片が辺りに飛び散る。
だがしかしアメンボには見えていたッ、破片の中の白い種が19粒、黒いたねが42粒あった事すら見えていたッ。
破片を避け種を避け太平洋へと走り出す。
ああなんと気持ちいい事か。
波がいい具合に体を揺らしていく。
太平洋に浮かびながらアメンボは次の事を考えた。
どうせならばこの果てを見てやろう。
アメンボのアメタロウは思った。
アメンボは太平洋を横断することに今決めた。
アメンボが太平洋を渡る事を決めて泳ぎだしてから14日目。
アメンボの体が緑色になっていた。
光合成である。(注・カビ生えているわけではないです)
アメンボは種族すら、いや我々の概念すら超えていったのである。
以下略
ヤタッ、やったぞついにわたりきったぞ。
終わり
アメンボ