02 【乗り越える精神を】
ヒナさん「わーわー、わーわー」
シュルツ「え、なに、こわい」
ヒナさん「え、なんでですか」
シュルツ「ヒナさんのテンションがあがると、ボクのテンションが下がる」
ヒナさん「連動式!?」
シュルツ「まあボクのテンションは大体低いんだけど」
ヒナさん「楽しくやりましょ? ね?」
シュルツ「うん、まあ、うん……」
ヒナさん「またたびいります?」
シュルツ「いらにゃい」
ヒナさん「猫じゃらしは?」
シュルツ「うざってぇ」
ヒナさん「うざってぇ!?」
シュルツ「さ、じゃあ二通目のお便りです」
ヒナさん「はーい」
シュルツ「お名前【文系科目が無ければ受かるよきっと】さんからです」
ヒナさん「ありがとーございまーすー」
シュルツ「お便り【こんばんは。唐突ですが私は受験生です。センター試験まで一ヶ月を切りました。】」
ヒナさん「こんばんはー、そうですねえ、もうそんな時期ですねえ」
シュルツ「ヒナさんだって来年受験なんでしょ? 進学? 就職? 世界征服?」
ヒナさん「三番目のがよくわかりませんけど、でもそうですね、今のところは進学予定です」
シュルツ「へー、田舎から上京してきたウブな大学生を食い散らかすの?」
ヒナさん「人をカマキリみたいに言わないでください」
シュルツ「藤井ヒナ/邪悪なる意思」
ヒナさん「そんなスピンオフないです。てゆか、お便りの続きをお願いします」
シュルツ「あいあい。【ヒナ様のようにタフな精神を持っていないため不安で押し潰されそうです。現実を乗り切るためにつらたんを毎夜読み返して不安を和らげています。お陰様で、明日も晴れやかな気持ちで勉強に取り組めそうです!】」
ヒナさん「わたしたちががんばっている姿がどこかの誰かにエネルギーをあげられているのだとしたら、とっても嬉しいですね」
シュルツ「【ヒナ様やてれんさんが持つ辛い現実を乗り越える精神はどのようにして鍛えればよいのでしょうか?シュルツさんはどんな気持ちで自我を保っていられるのでしょうか?ご教授ください!】」
ヒナさん「ははあ」
シュルツ「どんな気持ちで自我を……」
ヒナさん「これはシュルツさんへのご質問ですね?」
シュルツ「ヒナさんが答えてくれてもいいんだけど」
ヒナさん「ほらほら、お待ちですよ?」
シュルツ「うーん」
ヒナさん「あ、わたしは特に精神を鍛えたことがないのでわかりません。しいて言うなら、いろんな目に合っていると『あ、このケースはあのケースに比べたらちょっぴり楽かな?』って思えてくるのでいい感じです。おしまい」
シュルツ「はええ」
ヒナさん「さ、さ、さ」
シュルツ「いや、いいんだけど……ボクの苦難はおおかたキミのせいなんだけどね?」
ヒナさん「え?」
シュルツ「おとぼけビッチなの? 世界をビッチの風が席巻するの?」
ヒナさん「いやよくわからないんですけど」
シュルツ「【文系科目が無ければ受かるよきっと】さん、聞いてください」
ヒナさん「よっ、三国一のシュルツ大明神っ」
シュルツ「うぜえ……。あのね、楽しかったことを思い浮かべるんだよ。この困難をクリアしたら、どんな楽しいことがあるかって想像するんだ。月曜日に会社に出勤するときも、週末になったらたんまりゲームをするんだ……ってそう思ってね」
ヒナさん「わーわー」
シュルツ「……不安っていうのは、想像から生まれるものだ。想像力というものは厄介でね、なんだって悪いことを想像してしまう。そのほうが人は、実際に悪いことに直面したときのダメージが軽くて済むからね。心のバリアーなんだ。だから、無理矢理にでも希望を持って。不安が想像力から発生するなら、希望だって想像力から生まれるんだから。超幸せなキャンパスライフを想像するんだよ。そうしなければ人は生きていけないから」
ヒナさん「わー」
シュルツ「どうか、がんばってほしい。負けないでほしい。困難はいつだってつきまとう。人生とは理不尽との戦いだ。キミは学生のうちからその人生の命題を克服するチャンスを与えられているんだ。これは本当に、チャンスなんだよ。どうか、がんばってほしい。ボクもここで、戦っているから……」
ヒナさん「わー」
シュルツ「……ま、こんなところ、かな」
ヒナさん「素敵でした、シュルツさん」(キラキラ
シュルツ「……うん、まあ、うん」
ヒナさん「なんだか、ずいぶんと堂に入ったお言葉でしたね」
シュルツ「そう、だね。苦労しているから、ね」(チラ)
ヒナさん「?」
シュルツ「日頃から、ね……」(チラチラ)
ヒナさん「……えへへ?」(ニコッ)
シュルツ「そういう意味じゃねえよ」
ヒナさん「???」
ヒナより一言:よくわからないけれど、シュルツさんかわいいです。