01 【人を好きになるってなんなんですか?】
ヒナさん「さ、それでは始めましょうー」
シュルツ「おー……」
ヒナさん「まだ一通も読んでないうちから元気ないですね、シュルツさん」
シュルツ「なんというか、あれだよ、あれ。学校に行くまでが一番ダルいってやつ」
ヒナさん「わたしは学校好きですよ?」
シュルツ「好きとか嫌いとかじゃないんだよ、この人間の心の機微、わからないかなあ。わからないよなあ、人間じゃない子には」
ヒナさん「えへへ、それはまあいいとして、早速一通目にいきましょう」
シュルツ「これマジでボクいる意味あるのかな」
ヒナさん「お便りは【ツナ缶】さんからです、ありがとうございます」
シュルツ「どうもどうも」
ヒナさん「えー、お便り【私は人を好きになったことがありません。幼い頃からずっとです。】」
シュルツ「わかる」
ヒナさん「【学生時代から友人と遊びに明け暮れておりましたが、ふと気づいたら友人のほとんどが彼女や彼氏を作っており、恋愛経験が無いのは私だけになってしまいました。】」
シュルツ「わかる……」
ヒナさん「【そして皆が口をそろえて私に言うのです。「恋愛しろ」と。でも私には人を好きになるということがわからないんです。】」
シュルツ「つらたん」
ヒナさん「【というわけで、人を好きになったことがあるヒナさんに質問です。人を好きになるってなんなんですか?】」
シュルツ「最初からずいぶんとヘヴィな質問がやってきましたよ、ヒナさん」
ヒナさん「ああ……っ……」(陶酔の表情)
シュルツ「ヒナさん!?」
ヒナさん「な、なんか、しゅごい、しゅごいこれ……お悩み相談っぽい……わたし、わたし、求められている……?」
シュルツ「目を覚ませ! 番組中だぞ!」
ヒナさん「あははははえへへへへへへ……うふふふふ……」
シュルツ「アカンやつだこれ。修理、修理ー!」
(見せられないよ)
ヒナさん「というわけで、【ツナ缶】さんからのお便りですね」(キリッ)
シュルツ「……」
ヒナさん「人を好きになる……それは一言で言い表すのはなかなか難しいです」
シュルツ「……」
ヒナさん「あえてわたしの実体験を交えて言わせてもらえれば、それは『本能』だと思います」
シュルツ「……」
ヒナさん「誰かに触りたい、抱き合いたい、キスしたい、それは本能の発露です。生殖本能です。まあ、あれです。言っちゃうと、人間のプログラムだと思います」
シュルツ「……」
ヒナさん「それは実際にとても気持ちいいことですし、子孫を残すために人はやらなきゃいけないことなんですけれど、でも世の中にはいろんな人がいますよね」
シュルツ「……」
ヒナさん「食欲、睡眠欲、性欲が人間の三大欲求と言いますけれど、でもあんまり食にこだわりがない人がいるように、【ツナ缶】さんのような人がいらっしゃるのは全然おかしいことではないんです」
シュルツ「……」
ヒナさん「人を好きになるのは、『本能』。でもそれがいつ訪れるかは、『タイミング』が非常に重要です。『出会い』と言い換えることもできますね」(チラ)
シュルツ「……っ」(ビクッ)
ヒナさん「なので、あまりお気になさらないでください。すべての条件が整ったとき、ストンと人を好きになっていると思います。それが『恋に落ちる』ということなんです」
シュルツ「……」
ヒナさん「人を好きになるというのは、本能の発露です。焦らずに、その日を待ちましょう。ね?」(チラ)
シュルツ「……!」(ビクビクッ)
ヒナさん「こんなところで、よろしい、でしょうか?」
シュルツ「……」
ヒナさん「あの、シュルツさん」
シュルツ「アッハイ」
ヒナさん「なんでわたしがコイバナしていると、そんなにオドオドしちゃうんですか?」
シュルツ「……」
ヒナさん「シュルツさん?」
シュルツ「あと23通?」
ヒナさん「はい」
シュルツ「ヒナさん」
ヒナさん「はい?」
シュルツ「諦めよう」
ヒナさん「シュルツさん!?」
シュルツより一言:逃げよう。