21 【問題なく活動】
ヒナさん「お便りも、残すところあと四通です」
シュルツ「……」(ビクビク)
ヒナさん「読めなかった方には、本当にごめんなさい」
シュルツ「……」
ヒナさん「せめて、読むお便りはせいいっぱいがんばりますので」
シュルツ「……」
ヒナさん「最後まで一緒に楽しみましょうね!」(ニコッ)
シュルツ「……」
ヒナさん「ところでシュルツさん」
シュルツ「……!」(ビクッ)
ヒナさん「わたしのお悩みなんですけど、やっぱり最後にします」
シュルツ「……?」
ヒナさん「エンディングトークでお話しましょう、ね?」
シュルツ「……!!」
ヒナさん「最後までゆっくり、たっぷり、じっくりと、楽しみましょう……? ね……?」
シュルツ「ボクはにげられないのか」
ヒナさん「え?」
シュルツ「そのときぼくは、しをかくごしたのだった」
ヒナさん「えっ、覚悟しないでくださいよ。もうちょっと一緒に踊りましょうよ」
シュルツ「死の舞踊をか……」
ヒナさん「でもなんだって、終わりが来るのは寂しいですよねえ」
シュルツ「いや、うん、どうかな……」
ヒナさん「もしシュルツさんが良かったら番組を延長して、届けていただいたすべてのお便りに返事するまで帰れま10っていうのはどうですか?」
シュルツ「Fuck You.ぶち殺すぞクソビッチめが」
ヒナさん「と、シュルツさんも元気が出たところで」
シュルツ「出てねえよ」
ヒナさん「次のお便り、参りましょうー」
シュルツ「ビッチは質問に答えたりしない……それが基本だ……」
ヒナさん「お名前【山田】さんからのお便りです」
シュルツ「もうありがとうなんて言えやしねえよ、なんで送ってきたんだよ……」
ヒナさん「えー、【やはり歳には勝てないものです。このごろ、めっきりと体調が落ち込んでおります。】」
シュルツ「つらたん」
ヒナさん「【そこで、おそらく歳を取っても問題なく活動できるだろうヒナさんの毎時間における私生活を教えていただきたいです。】。わたしの私生活、ですか……?」
シュルツ「教えてあげればいいじゃない」
ヒナさん「うーん、そんなの聞いても、面白いんでしょうか」
シュルツ「興味深いんじゃないの。奇妙な動物を観察する的な意味で」
ヒナさん「えと、【私などが真似できるようなものではないのでしょうが、目標としたいと思っております。よろしくお願い致します】。以上です」
シュルツ「ヒナさんは何時起き?」
ヒナさん「わたしは大体23時に寝て、4時半に起きていますね」
シュルツ「え、ちゃんと睡眠とっているんだ」
ヒナさん「乙女ゲーの発売日は別です」(キリッ)
シュルツ「安心した。まあ早寝早起きっすね」
ヒナさん「父と母の朝ごはんと、三人分のお弁当を作っているんですよー。それの準備でちょっとお時間がかかって」
シュルツ「ふーん、やるじゃない」
ヒナさん「で、それが済んだらランニングにいきます。ウォーミングアップして、辺りをぐるっと走ってきて、クールダウンしてシャワーを浴びて、それで大体みんなが起きてくる時間です」
シュルツ「健康的すぎる」
ヒナさん「それから身支度を整えて、登校します。歩いていける公立高校なので、すぐですよー」
シュルツ「いいねえ」
ヒナさん「学校で真面目にお勉強して、それで放課後ですね。わたしは部活動に所属していないので、お買い物を済ましても17時過ぎぐらいには帰宅しています」
シュルツ「ヒナさんなんで部活やってないの?」
ヒナさん「え?」
シュルツ「いやだって、なにをやっても天下取れそうじゃん、ヒナさん。将棋でも陸上でもテニスでも柔道でも」
ヒナさん「いやいや、そんな簡単なものじゃないですよ。あの人たちはわたしなんかとは比べ物にならないほどに努力していますし」
シュルツ「でもなんで? やってみたいこととかなかったの?」
ヒナさん「特にはなかった、かなあ。好きな人が同じ部活だからその人と一緒にっ! って思っても、わたしのことだからすぐに目移りしちゃいますしね。そんな気持ちなら最初から参加しないほうがいいと思いまして」
シュルツ「ふーん、ビッチなりの苦労ってことだ」
ヒナさん「ビッチじゃないですけど、まあそんな感じです」
シュルツ「家に帰ってきてからは?」
ヒナさん「おゆはんの支度をして、それが終わったら学校の宿題をやりますよー」
シュルツ「ヒナさんが三食作っているんだ」
ヒナさん「ええまあ。うちは両親が共働きなので。あ、でもわたしもご飯作るの大好きなんですよ」
シュルツ「いつも言っている洗濯とか掃除とかもやっているの?」
ヒナさん「はい。帰ってきてから手の空いている時間にやっちゃいます」
シュルツ「ふーん、それから?」
ヒナさん「ご飯を食べて、お風呂かシャワーを浴びたら、お部屋で本を読んでますね。それか乙女ゲーをするか、ネットをするか、たまにはひとりファッションショーしちゃったり、メイクの練習してたり、美容体操してたり、まあ色々です」
シュルツ「……それで?」
ヒナさん「23時になったので寝ます。おやすみなさい」
シュルツ「いや、あの」
ヒナさん「はい?」
シュルツ「なにそれ、ちょっと健康な女子高生の生活リズムみたいじゃん」
ヒナさん「ええっ?」
シュルツ「そんなのヒナさんじゃないよ。ボクらのヒナさんはそんなんじゃないよ」
ヒナさん「いや、あの……ええっ?」
シュルツ「だってそんなので今のヒナさんが生まれるわけないじゃん。嘘だよ全部。龍脈とかどこいったの」
ヒナさん「いやそれは、昔の話で」
シュルツ「やり直して」
ヒナさん「ええっ?」
シュルツ「いい? ボクの言うとおりに言って」
ヒナさん「えと」
シュルツ「基本的にヒナさんは寝ません」
ヒナさん「ええっ?」
シュルツ「朝はまず近所の地下裏闘技場にいって、100人を越える挑戦者を皆殺しにします」
ヒナさん「いや、ええっ? それランニングの代わりですか?」
シュルツ「家に帰ってきて丸焼きの牛を一頭食い散らかします」
ヒナさん「朝ごはんワイルドすぎですよ」
シュルツ「学校にいき、部活動は天地創造部です。大気の組成図を組み替えたり、天候を操作したりして、万人単位で餓死者を出したりして遊びます」
ヒナさん「神様! それ神様!」
シュルツ「帰りにはクジラを一頭捕まえてきて、やはり丸焼きにして食べます。骨まで噛み砕きます」
ヒナさん「なんなんですかわたし、なんなんですか」
シュルツ「あとはずっと乙女ゲー。朝の地下裏闘技場に行くまでずっと乙女ゲー。こう、背中から1000本の手を生やして、500個の携帯機を同時プレイしています」
ヒナさん「千手観音様の手ってあれ、救済のためにあるのに……」
シュルツ「以上。これがヒナさんの日常です」
ヒナさん「ち、違います」
シュルツ「【山田】さん、ご参考になりましたでしょうか?」
ヒナさん「違いますってば!」
シュルツ「とてもボクたちが真似できるような生活ではないんです。ここにヒナさんの秘密が隠されていましたね」
ヒナさん「もぉ~」
シュルツ「それではまた次回」
ヒナさん「あと三回です~」
ヒナさんより一言:今回のシュルツさんはいじわるです。