16 【解放する選択肢】
ヒナさん「ねえねえ、シュルツくーん」
シュルツ「！？」（ビクッ）
ヒナさん「この楽しい楽しいおしゃべりも、あと1/3で終わっちゃうねー」
シュルツ「おまえだれだ！」
ヒナさん「なんだか寂しいなあ。もっともっとシュルツくんとおしゃべりしたいよー」
シュルツ「去れ！ 悪霊！ ヒナさんの体から！ 去れ！」
ヒナさん「どうしたの？ シュルツくん」（パチクリ）
シュルツ「おまえがだよ！」
ヒナさん「とまあ」
シュルツ「あ、ヒナさんだ」
ヒナさん「たまには馴れ馴れしく接して、シュルツさんとの心の距離を縮めようかなー、なんて」
シュルツ「大概にしろよ」
ヒナさん「やだシュルツさん冷たい」
シュルツ「節度を守ってくれよ」
ヒナさん「そ、そんな悪いことしました？」
シュルツ「動物園は檻があるから安心して見れるんだろうが。放し飼いの虎を目の前で見たら命の危機を感じるよ。つまりそういうことだよ」
ヒナさん「敬語はサファリカーみたいなものなんですか？」
シュルツ「ボクの翼だよ。それなしでは生きていけないよ」
ヒナさん「どういうことなのか、ちょっぴりわかりません」
シュルツ「いいよ、ほら、早くお便りよこしなさいよ」
ヒナさん「は、はい」
シュルツ「お名前【藤井シュルツ】さん」
ヒナさん「あ、素敵なお名前ですね」
シュルツ「呪詛かな……」
ヒナさん「藤井姓の人に怒られちゃいますよ！？」
シュルツ「【初めまして、ヒナさん。シュルツさん。】、ど、どうも」
ヒナさん「はじめましてー。シュルツさん、そんなに身構えなくても」
シュルツ「いや名前の時点で寒気がして……えっと。【お聞きしたい事柄というのは現在ヒナ様が参加なされている乙女ゲーム。いつかは終わりが来ることもあると思います。】」
ヒナさん「そうなんですよねえ、寂しいですよねえ」
シュルツ「人類の夢だよ。満願成就だよ。えー、【そういった日が来た時、シュルツ閣下を解放する選択肢はヒナ王の考えに存在するのでしょうか？そしてどちらにせよ、この乙女ゲームを制作した程の感性を持つスタッフを逃す気はあるのですか！】」
ヒナさん「えっ」
シュルツ「【現在の時間軸にお戻りくださいヒナ大帝！……いやヒナ神よ！どうか私達の…僕達の世界を壊さないでください！】」
ヒナさん「えっ」
シュルツ「【HINAよ！どうかその怒りをお鎮めください！！どうｋ(ここから先は血に汚れて読めなくなっている)】」
ヒナさん「えっ」
シュルツ「以上です」
ヒナさん「えと……」（アセッ）
シュルツ「どうしてそんな困った顔を装っているの？」
ヒナさん「実際に困惑しているからなんです」
シュルツ「ヒナさんは人間のフリが上手だなあ」
ヒナさん「いや、あの」
シュルツ「はいはい」
ヒナさん「どういうことなんでしょうか」
シュルツ「そういうことなんだよ」
ヒナさん「ヒナ大帝？」
シュルツ「まあエカチェリーナ二世みたいなものじゃないかな」
ヒナさん「わたし社会制度の改革に取り組んだりしてないですよ」
シュルツ「数百といわれる男性愛人を抱えたらしいじゃない」
ヒナさん「いや、その、それは……素敵そうですけど」
シュルツ「よっ、ヒナ大帝！」
ヒナさん「えーやめてくださいよぅ」
シュルツ「ボクを解放してください、ヒナ大帝」
ヒナさん「解放もなにも、シュルツさんはシュルツさんの人生がありますし、元々未来からいらっしゃった人ですし……」
シュルツ「どうかその怒りをお鎮めください、ヒナ大帝」
ヒナさん「……シュルツさーん」
シュルツ「現在の時間軸にお戻りください、ヒナ大帝（笑）。いや、ヒナ神（爆）」
ヒナさん「……」
シュルツ「はっはっは」
ヒナさん「……シュルツくん」（ボソッ）
シュルツ「……！？」（ビクッ）
ヒナさん「ねー、シュルツくん」
シュルツ「くっ……」
ヒナさん「もう、シュルツくんってば、わたしを困らせることばっかり大好きなんだからー」
シュルツ「ああうう」
ヒナさん「ねー、シュルツくん、ねー？ ヒナおねえちゃんのこと大好きだもんねー？ シュルツくん、ねー？」
シュルツ「あががががが」
ヒナさん「シュルツくん、ヒナおねえちゃんとあそぶー？ いいよー？ なにしよっかー？ ゲームー？ おままごとー？ ねー、シュルツくんー？」
シュルツ「 」（ピー）
ヒナさん「……ねー？」
シュルツ「 」（ピー）
ヒナさん「……ふう」
シュルツ「 」（ピー……）
ヒナさん「お互い不毛なことは、やめましょう。ね？」
シュルツ「 はい 」
ヒナさん「わかってくれて、嬉しいです」（ニッコリ）
シュルツ「おつかれさまでした」
ヒナさん「おつかれさまでしたー」
シュルツより一言：死ぬ。
