15 【だけど不定形】
ヒナさん「はー、もう完全に朝ですねえ」
シュルツ「完全に朝だねえ」
ヒナさん「11時ですからねえ」
シュルツ「むしろお昼だよねえ」
ヒナさん「完全にお昼ですねえ」
シュルツ「いや、どうでもいいんだけどさ、いいのかな」
ヒナさん「なにがですか?」
シュルツ「えっと、こんなに色々と包み隠さずに喋っていいのか、ってさ」
ヒナさん「なにを言うんですか、シュルツさん」
シュルツ「えー?」
ヒナさん「相手の方々は、本気でわたしたちを頼ってくださっているんですよ!」(キラキラ)
シュルツ「あ、はい」
ヒナさん「それなのにわたしたちが程々に答えてどうするんですか!」
シュルツ「やべえスイッチ押しちまったこれ」
ヒナさん「全身全霊! 楽しんでいただくために! 藤井ヒナは労苦を惜しみません! それがわたし、藤井ヒナの乙女道です!」
シュルツ「いろんな道を歩んでいるなあ、ヒナさんは。覇道とか鬼道とか」
ヒナさん「そんな怖そうなところ歩きませんよー」(エヘヘ)
シュルツ「地獄の鬼もヒナさんを避けて通ると思うんだけどな……」
ヒナさん「というわけで、質問いきましょう」
シュルツ「そうしよう」
ヒナさん「実はこちら、シュルツさん宛のお便りです」
シュルツ「まじで」
ヒナさん「お名前【シュルツさんラヴ】さんからです」
シュルツ「あ、はい、どうも……」
ヒナさん「【こんにちは、ヒナさん、シュルツさん。いつも心から応援しながら、見させて頂いてます。】」
シュルツ「おっすおっす」
ヒナさん「【実は好きな人がいるのですが、その人は次元も時代も違う所の人でした。叶わなくてもいい、想いを伝えたいのです。】!!!」
シュルツ「ヒナさん?」
ヒナさん「【今まで一歩も踏み出せなかったのですが、クリスマスということで頑張ってみました。】!!!!!」
シュルツ「テンションあがりすぎ」
ヒナさん「【シュルツさん好きです!!】ですって! ですってー! キャー! あはぁ!」
シュルツ「アッハイ」
ヒナさん「【とっても苦労性な所とか、お人よしな筈がスレていった所とか、いつしか悟りきってしまった所とか、実際の姿は不明だけど不定形な所とか、挙げきれません。】」
シュルツ「不定形……?」
ヒナさん「【質問ではなくてごめんなさいですが、シュルツさんの幸福をお祈りしています! ヒナさん、どうかヒナさんも幸せを掴んで下さいね】。わざわざわたしのことまで、ありがとうございます!」
シュルツ「えっと……」
ヒナさん「はー……」
シュルツ「あの」
ヒナさん「はふぅ……」(満足)
シュルツ「いやいや、あの」
ヒナさん「あ、なんですか?」
シュルツ「それだけなの?」
ヒナさん「え?」
シュルツ「お便り、こう、相談とかじゃないの?」
ヒナさん「なにを言っているんですか、シュルツさん!」(バンッ!)
シュルツ「……」(ビクッ)
ヒナさん「これはラブレターですよ! ラブレター!」
シュルツ「あ、ああー」
ヒナさん「愛を綴ったお手紙! ラブレター! 告白ですよ! 生告白ですよ!」
シュルツ「いや生じゃあねえだろ」
ヒナさん「くっはー、たまらない、たまらないですね! 乙女センサーがラブラブ反応しています!」
シュルツ「変な乙女パーツいっぱいあるな、ヒナさん」
ヒナさん「さ、さ、さ、さ」
シュルツ「え? な、なに?」
ヒナさん「今の心境をどうぞ! シュルツさん!」
シュルツ「えー……」
ヒナさん「好きです、って言われたんですよ! シュルツさんはなんて答えるべきですか!」
シュルツ「いや、まあ、うん、ありがとう、って……?」
ヒナさん「【シュルツさんラヴ】さん、ありがとうですって!」
シュルツ「いや聞こえてるだろ」
ヒナさん「はー……ラブレター、いいものですね、ラブレター」
シュルツ「まあ、うれしいものだけどね」
ヒナさん「このお手紙はあとでラミネートして額縁に入れてシュルツさんのお部屋に送っておきますね?」
シュルツ「ああもうありがた迷惑」
ヒナさん「靴下に入れておいたほうがいいですか? ものすごい、こう、四角い感じの」
シュルツ「巨人族の靴下かよ」
ヒナさん「ああ、はちきれちゃいそうですねー、残念ー」
シュルツ「あとその話、一時間前の冒頭だよ。冒頭からオチに繋げるなら前の話でやるべきだったやつだよ」
ヒナさん「えへへー」
シュルツ「『そのツッコミがほしかった』みたいな顔をするな!」
ヒナさん「このお手紙を届けてくださった方々みたいに、わたしもシュルツさんのことを頼っても、いいですか?」
シュルツ「マジ勘弁」
ヒナさん「こちょこちょ」(コチョコチョ)
シュルツ「いきなりなに!?」(ビクッ)
ヒナさん「いえ、【シュルツさんラヴ】さんのために、ひとつでも多く、シュルツさんのいろんな一面をお見せしようかと」
シュルツ「はいそれじゃまた次回!」
ヒナさん「ああん」
ヒナより一言:今度ぜひ、シュルツさんトークで盛り上がりましょうね。わたしも何時間でも続けられますよ。えへへ。




