13 【哀れな子羊に安眠を】
ヒナさん「開始から12時間が経過しましたー」
シュルツ「おー」
ヒナさん「半分ですねー」(パチパチパチ)
シュルツ「折り返しー」
ヒナさん「今のご気分はいかがですか? シュルツさん」
シュルツ「んー、まあまあかな。ちょっと寝たしね」
ヒナさん「それはなによりですー」
シュルツ「ていうかヒナさんは起きてて平気なの? リハーサルから参加してたし、ほぼ徹夜じゃ」
ヒナさん「大丈夫ですよー、えへへへへ」(ニヘラ)
シュルツ「そ、そう。え、なに?」
ヒナさん「だって、シュルツさんが心配してくれたからぁ……」
シュルツ「マジで元気だな、ビッチ」
ヒナさん「ちょっぴりお腹が減ってきちゃいましたけどね」
シュルツ「好きなだけ男を食ってくればいいじゃん。貪ってくりゃいいじゃん」
ヒナさん「シュルツさん」(じー)
シュルツ「なんでしょう」
ヒナさん「いくらシュルツさんでも、そういうはしたない言い方は……メッ、ですよ」(ジッ)
シュルツ「解せぬ」
ヒナさん「では、次のお便りですー」
シュルツ「はいはい、どうぞー」
ヒナさん「お名前【シュルツさんもふもふしたい】さんからです」
シュルツ「やめて」
ヒナさん「【ヒナサンタさんこんばんは。乙女つらたんいつも楽しく読ませていただいてます。
もちろん、イサギもね!】」
シュルツ「はいはいこんばんはー、って言ってももう朝になっちゃったけど」
ヒナさん「えー、【質問です。ヒナさまはいままでに53万の恋愛力で何人落としてきたのでしょーか。気になって夜も寝られません。ヒナさまのお力で、どうかこの哀れな子羊に安眠をお与えください】だそうです」
シュルツ「ああ、なんかそれ……」
ヒナさん「はい?」
シュルツ「いや、ボクも聞くのが怖いな、って……」
ヒナさん「でも、うーん、何人、かあ」
シュルツ「数え切れないんじゃないの?」
ヒナさん「『落とす』の意味にもよりますね」
シュルツ「というと?」
ヒナさん「もし『落とす』が、『堕落』という意味で、身も心もすべてわたしだけのものになるように堕落させた、ということならば、そう多くはありません」
シュルツ「何人かは、いるんだ……」
ヒナさん「ただ、それが『恋に落ちる』のほうの『落とす』なら、ちょっと正確な数はわたしにも……」
シュルツ「まあ普通に言って、ヒナさんが接触して相手を惚れさせた、ってことじゃないかな」
ヒナさん「だとしたらー……」
シュルツ「はい」
ヒナさん「んー……」
シュルツ「数えております」
ヒナさん「えーと……」
シュルツ「思い出しているようです」
ヒナさん「あれと、あれと……」
シュルツ「時間かかってんな」
ヒナさん「ほとんどは小学校時代のことですからねえ……」
シュルツ「そうか、最近は男ひでりなんだっけ」
ヒナさん「わたしはずっと乙女ゲーに支えられて生きています」
シュルツ「さいで」
ヒナさん「うん、集計完了しました」
シュルツ「はいはい、それで何人ぐらい?」
ヒナさん「まあ、たぶん、その条件なら……3000人ぐらいだと、思います。ほとんどが小学校一年生と二年生の頃の人ですから。あとは、三年生にあがってからちょっぴりと、四年生の頃、ぐらいかな……? たぶん、そんなものだと思います」
シュルツ「……ふーん」
ヒナさん「な、なんですか? こんなところで男性遍歴を話すのって、それなりに恥ずかしいんですからねっ?」
シュルツ「いや、そんな今さら清楚ぶられても。そんなの清楚の暴力だよ」
ヒナさん「清楚の暴力!?」
シュルツ「でもまあ、案外そんなもんかな、て」
ヒナさん「そ、そうですか」(ホッ)
シュルツ「ヒナさんの割には、ってね」
ヒナさん「えへへ。どうですか、わたし、平凡で普通な女の子でしょう?」
シュルツ「……」
ヒナさん「……」(アセッ)
シュルツ「……ははは」
ヒナさん「……え、えへへ」
シュルツ「天魔覆滅」
ヒナさん「なんの呪文ですか!?」
ヒナより一言:数よりふたりの絆ですよね? ねっ? ねっ?