12 【微妙に上から目線】
ヒナさん「メリークリスマスー!」
シュルツ「……」(むくり)
ヒナさん「あれ、シュルツさん?」
シュルツ「……あー」
ヒナさん「シュルツ、さん?」
シュルツ「うん」
ヒナさん「えとえと」
シュルツ「ねてた」
ヒナさん「あ、はい、おはようございます」
シュルツ「うん」
ヒナさん「もう朝の8時ですよー?」
シュルツ「うん」
ヒナさん「……寝ぼけてらっしゃいます?」
シュルツ「まあ、うん」
ヒナさん「前足を舐めて顔を洗います?」
シュルツ「割とね、でも結構スッキリしたよ」
ヒナさん「あ、それはよかったです」
シュルツ「これで12時ぐらいまではまた頑張れるはず」
ヒナさん「お便りいっても、いいです?」
シュルツ「どぞどぞ」
ヒナさん「それでは参ります。お名前【龍の落とし子】さんからです」
シュルツ「どうもどうも」
ヒナさん「【ヒナさん、シュルツさん、初めまして。】。初めましてー」
シュルツ「お初ー」
ヒナさん「【早速ですが質問です。先日実の妹に、私が投稿している小説を読まれてしまいました。】」
シュルツ「おやおや」
ヒナさん「【見つかって恥ずかしいやら読んでくれて嬉しいやら、なんとも形容し難い気持ちになったのですが、もしヒナさんが小説を書いているとしてそれを家族に読まれたとしたら、一体どんな 気持ちになると思いますか。それと、家族からは何と言われると思いますか。教えてください。】」
シュルツ「そっかそっかー」
ヒナさん「【ちなみに私は「いや、なかなか面白いんじゃない」と微妙に上から目線で言われてしまい、無意識的に右手がデコピンの形になっていました。】です」
シュルツ「いい妹さんじゃないかな」
ヒナさん「ですよねー」
シュルツ「で、どう? ヒナさん」
ヒナさん「わたしだったら、うーん」
シュルツ「ヒナさん、黒歴史とかそういうのまったく思わなさそうだよね」
ヒナさん「そうですねえ。別に誰に危害を加えるというわけでもありませんし」
シュルツ「ああそうだった。このビッチの黒歴史はとんでもないやつだった」
ヒナさん「父はたぶん、見なかったフリをしてくださると思います。母はにやにやしながら『ヒナちゃんこういうの書いているんだぁー』って感想とか言ってくれるかなあ」
シュルツ「この妹さんタイプだね」
ヒナさん「でもわたしも読まれちゃったら、やっぱり恥ずかしいと思いますよ」
シュルツ「ほんとにー?」
ヒナさん「だって言うなれば、自分の頭の中身をまさぐられるような気持ちですもん。恥ずかしいですよお」
シュルツ「常人がヒナさんの頭の中身を覗いたら10D100ぐらいの精神ダメージを受けそうなんだけど」
ヒナさん「それを一番距離が近くて一番顔を合わせる関係の家族に読まれるんでしょう? やっぱり恥ずかしいと思うなあ」
シュルツ「へえ」
ヒナさん「気付かなかったフリをしてほしいっ、って思いますねー」
シュルツ「ふーん」
ヒナさん「まあ記憶を消し飛ばすほどではないですけど……」
シュルツ「……うん?」
ヒナさん「数日間は目を気にしてコソコソして、しばらく経って開き直って、またいつもの日常に戻るんでしょうね」
シュルツ「いや、あの」
ヒナさん「【龍の落とし子】さんのように、近くに読者がいてくれるっていうのは、恥ずかしいですけど、幸運なケースだと思います。わたしの場合はただの妄想ノートですので……」
シュルツ「聞き捨てならぬ一文が」
ヒナさん「デコピンせずに、大切にしてあげてください、ね?」
シュルツ「まあいいか、ヒナさんだし」
ヒナさん「創作って、難儀ですよねえ」
シュルツ「そうねえ」
ヒナさん「読またいけど恥ずかしい、でも読んでもらえないと寂しい。人は矛盾を抱えながら生きているからこそ、可愛いんだとわたしは思います」
シュルツ「出た、地平のゴッデスオブビッチ目線」
ヒナさん「そんな人間が愛おしいから、わたしはこれからも生きてゆきます」
シュルツ「キミはなんなの? 地球なの?」
ヒナさん「生まれたばかりの雛ですよ? ぴよぴよ」
シュルツ「タマゴのままで潰れれば良かったのに」
ヒナさん「シュルツさんってばぁ、あはは」
シュルツ「ボクのこの状況をノートに書くとしたら、『SOS』以外の文字が浮かばないよ」
シュルツより一言:見たら通報してくれないかな、家族……。