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恋つらたん短篇集~クリスマス2013年度企画など~  作者: イサギの人
【クリスマス企画】藤井ヒナサンタ【SS】
16/34

10 【人類は何日生存できるの】

ヒナさん「おはようございまーす」


シュルツ「……」


ヒナさん「朝ですよー、こちらのほうはとっても晴れていい日ですよー」


シュルツ「……」


ヒナさん「えーと」


シュルツ「……」


ヒナさん「今回は、わたしひとりだけ、です」


シュルツ「……」


ヒナさん「シュルツさん、さっきから動かなくなっちゃったんです」


シュルツ「……」


ヒナさん「たぶん、寝落ちしてしまった……のではないでしょうか」


シュルツ「……」


ヒナさん「でもそのかわり!」


シュルツ「……」


ヒナさん「わたしがひとりでがんばりますので!」


シュルツ「……」


ヒナさん「とりあえず、あの、シュルツさんは横に置いて、と」



ヒナさん「んしょ」


ヒナさん「シュルツさんのファンの方は、ちょっと、ごめんなさい」


ヒナさん「でも、きっと疲れてらっしゃったと思うんです。こんなこと、わたしもシュルツさんもなにぶん、初めての試みですので……」


ヒナさん「だから、その、シュルツさんを責めないであげてください」


ヒナさん「わたしにできることなら、がんばりますので」


ヒナさん「え?」


ヒナさん「なにか、読者サービス、ですか?」


ヒナさん「えーっと……」


ヒナさん「わたしが、ですか……?」


ヒナさん「なにか、ありますでしょうか……」


ヒナさん「んー」


ヒナさん「救急車を呼ぶかどうか迷っているときにかけると、医療の専門スタッフが対応してくれて、必要ならば119に転送してくれる番号『7119』とかどうですか?」


ヒナさん「え、そういうのじゃない?」


ヒナさん「じゃあアマゾン川で有名なピラニアは、獰猛で凶暴なイメージがあるんですけれど、実際はすごく臆病な魚で、泳いでいる人間を襲ったという記録はほとんどない、とかどうですか?」


ヒナさん「え、だめ?」


ヒナさん「ただし、血液臭には敏感で、その状態で川に入ることはオススメできないとか……あ、そういうのじゃなくて?


ヒナさん「女子高生っぽい、サービス的な……?」


ヒナさん「えと……」


ヒナさん「あの……」


ヒナさん「……」


ヒナさん「……ちゅ」


ヒナさん「……」


ヒナさん「……み、みたいな、感じ、ですか?」


ヒナさん「……あ、はい」


ヒナさん「いえ、なんか、こちらこそ、え、ありがとうございます?」


ヒナさん「な、なんか恥ずかしいですね」


ヒナさん「わたしよく言うキスプリとか、キス顔とか、たぶん無理だと思ってたんです」


ヒナさん「今初めてやってみたんですけど……」


ヒナさん「まあその、やっぱり、恥ずかしいものは恥ずかしいですね」


ヒナさん「あうあう」(テレテレ)


ヒナさん「じゃ、じゃあ、お便りいきます」


ヒナさん「いきますいきます、うう」


ヒナさん「お名前【ヒナ様に踏まれ隊】さんからです、ありがとうございます」


ヒナさん「……ヒナさまに踏まれたい? 踏まれたいんでしょうかわたしに」


ヒナさん「まあそれはいいとして」


ヒナさん「【ヒナ様、こんにちは。 理想のコーディネートのために、何度も何度も死んでまで働


き続けるヒナ様のお姿、涙を流さずにはいられません。】」


ヒナさん「えへ、ありがとうございます」


ヒナさん「【服飾のために命をかけ捨てる、そんなヒナ様を拝見して思ったのですが、もしヒナ様が本気で色気を出すとしたら、どのような格好、言動をなさるのでしょうか。】」


ヒナさん「色気、ですかあ」


ヒナさん「【また、その姿でご降臨なさり続ける場合、世界がヒナ様のものになるまで最短何時間かかるのか、もしくは人類は何日生存できるのでしょうか。よろしくお願いします】」


ヒナさん「後半のほうのご質問は、ちょっとわからないんですけど……」


ヒナさん「でも、うーん、本気で色気を、かあ」


ヒナさん「『色気』っていうのは、その人の価値観に大きく左右されると思うんですよね」


ヒナさん「ようするに『セックスアピール』ってことですから、裸婦に色気を感じる人もいれば、スカートからちらりと覗くショーツに色気を感じる人もいますし」


ヒナさん「人それぞれ、年齢も様々だと思います」


ヒナさん「それでもある程度、普遍的な要素を取り入れるとして……」


ヒナさん「髪、唇、鎖骨、くびれのライン、指先、そして仕草に気をつけますね」


ヒナさん「メイクは言わずもがな、香水や衣装も整えた場合」


ヒナさん「んー……」


ヒナさん「結局、うん、ご令嬢や女優さんみたいな格好になる気がしますね」


ヒナさん「言動はあんまり変わりませんよ?」


ヒナさん「あ、でも本気で、だとしたら、うーん」


ヒナさん「その相手の求める理想の姿を、相手によって使い分ける感じになる、かなあ」


ヒナさん「男の人も女の人も、ここをくすぐられるのが一番気持ちいい、ってところがありますよね? プライドでも、なんでも。そこをずっと優しく刺激し続けることになると思います。ずっと、ずっとです。わたし以外目に入らなくなれば、色気の問題でもなくなっちゃいますしね」


ヒナさん「と、こんなところでよろしいでしょうか」


ヒナさん「それでは皆さま、きょうも一日、よろしくお願いしまーす」


ヒナさん「最後にもう一度」


ヒナさん「メリークリスマスです」(ニッコリ)


 ヒナより一言:相手を恋に落とすだけなら、『色気』はほとんど必要じゃありませんからね。やっぱりわたしは、あんまり色気ないんだと思います。

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