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恋つらたん短篇集~クリスマス2013年度企画など~  作者: イサギの人
【クリスマス企画】藤井ヒナサンタ【SS】
15/34

09 【助けてください】


ヒナさん「はー、スタジオは暖かくていいですねえ」


シュルツ「あー」


ヒナさん「お外でこんな格好していたら、寒いですもんねえ」


シュルツ「うーあー」


ヒナさん「わたし結構寒がりなんですよね。手触ってみます? 冷たいですよー?」


シュルツ「うし」


ヒナさん「え、う、牛? ふ、太ってはいない、と思い、ます、よ?」


シュルツ「乗り越えた」


ヒナさん「あう?」


シュルツ「なんか、眠くなくなった!」


ヒナさん「お、おお」(パチパチパチ……)


シュルツ「テンションあがってきたわー」


ヒナさん「いいですねー」


シュルツ「今のボクなら大体のお便りになら対応できる気がする!」


ヒナさん「や、やりましたね」(グッ)


シュルツ「そうさ、我こそはネオシュルツ」


ヒナさん「えっ」


シュルツ「すべての記憶、すべてのそんざい、すべての次元を消し、そして、ボクも消えよう……永遠に!!」


ヒナさん「……」


シュルツ「……フフフ」


ヒナさん「……消えちゃだめ、ですよ?」(じー)


シュルツ「あまり長くは持たなさそうだ。早く読んでください」


ヒナさん「は、はい」


シュルツ「へっへっへ」


ヒナさん「……お名前【arb】さんからです」(アセアセ)


シュルツ「かかってこいやー」(シュッ、シュッ)


ヒナさん「お便り【社会人になりたてなのですが】」


シュルツ「おう、後輩かー。ゆっくりしてけやー」


ヒナさん「【勤めている会社の経営が借金でガタガタになり、旅行に行く2日前に購入して2年目になる車が交通事故によりローンを残して廃車になりました。】」


シュルツ「……お、おう、そうかー」


ヒナさん「【その後旅行で出雲にお参りにいっておみくじを引いたところ、厄災あり気をつければ大丈夫と書いてありました。】」


シュルツ「……おー」


ヒナさん「【何を気をつければいいのでしょうか? 助けてください。】」


シュルツ「……」


ヒナさん「さ、シュルツさん」


シュルツ「うん」


ヒナさん「助けてあげてください」


シュルツ「……うん」


ヒナさん「さささ」


シュルツ「……まーね! あのね!」


ヒナさん「あ、吹っ切れた音が」


シュルツ「世の中ね、どこから不幸が来るかなんてわからないわけよ。当たり前のように生きていると思ったら、ある日突然奈落に落ちることだってあるわけよ」


ヒナさん「あれ、なんだか妙に説得力がありますね?」


シュルツ「結局ね、頼れるのって最後には『健康』と『お金』なんですよ」


ヒナさん「おおー……」


シュルツ「やる気も勇気も愛も技術も必要じゃないよ。まあ『人脈』は多少はね? でもそれくらい」


ヒナさん「すごい」


シュルツ「『健康』か『お金』のどちらかがあれば、9割の危機なんて乗り越えられるよ。備えるっていうのは、ボクはそういうものだと思うな」


ヒナさん「シュルツさんはっちゃけてますね……!」


シュルツ「それでもまだ、気をつけることがあるとしたら、あとは『人事を尽くして天命を待つ』しかないんだよ」


ヒナさん「ふむふむ……」


シュルツ「今できることを精一杯して、あとはとにかく日々を過ごす。健康に気を遣いながら、お金を貯める。これ以外にボクたちができることなんて、たかが知れているさ。え、なんかめっちゃ真面目に答えているよ? これでいいの?」


ヒナさん「いいと思います!」(グッ)


シュルツ「あ、そう……まあ、ほら、あれだ。人間、所詮は自分の面倒は自分で見るしかないからね。会社だって潰れるし、車だって廃車になるし、おみくじだって厄災あるし、乙女ゲーにだって閉じ込められるよ。前途は多難、道のりは険しく、困難だらけ。それでもボクたちは生きていくしかないんだ……この長い人生という名の坂を……」


ヒナさん「しゅ、シュルツさん?」


シュルツ「うん……」


ヒナさん「あの」


シュルツ「なんか」


ヒナさん「はい」


シュルツ「凹んできた」(ズーン)


ヒナさん「はい……」


シュルツ「つらたん」


ヒナさん「シュルツさん」


シュルツ「うん」


ヒナさん「わたしがそばにいますから」


シュルツ「うん」


ヒナさん「いっしょに、がんばりましょう、ね?」(ニコッ)


シュルツ「ああもう寝ようかな」


ヒナさん「乗り越えたんじゃ!?」


 シュルツより一言:現実から目を背けることだって立派な生き方だとボクは思うね。それが人の心のセーフティなんだから、さ。

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