08 【愛を伝えたい】
ヒナさん「深夜四時ですねえ」
シュルツ「そうだねえ」
ヒナさん「なんだかちょっとのんびりしてきましたねー」
シュルツ「ねむい」
ヒナさん「シュルツさん、まぶたがとろーんとしてますよ?」
シュルツ「うん、ねむい」
ヒナさん「なにか目を覚ますようなことを言いますか?」
シュルツ「え、こわいな」
ヒナさん「ほんのちょっぴりだけでも」
シュルツ「えー……」
ヒナさん「あの、わたし……」(ギュッ)
シュルツ「えっ、ちょ、えっ」
ヒナさん「実はずっと前から、シュルツさんのこと……」(じっ)
シュルツ「えっ、えっ」
ヒナさん「す――」
シュルツ「あー起きた! 今めっちゃ起きた! ちょう起きたわー! マジ起きたわー!」
ヒナさん「わ、わっ」
シュルツ「マジ元気! ボク以上に元気な黒猫のぬいぐるみなんてこの世にはいないね! くあー! たまんねー! 元気が溢れて止まらない誰かボクを止めてくれウオオオー」
ヒナさん「どうしたんですか、シュルツさん、急に……」
シュルツ「……くっ」
ヒナさん「ね、眠気でどうにかなっちゃいました?」
シュルツ「屈辱だ……」
ヒナさん「あのあの……」
シュルツ「ま、うん、眠気はちょっと平気になったよ。お便り持っておいで」
ヒナさん「は、はーい」
シュルツ「はー、マジでそれが一番目覚めるわー」
ヒナさん「持ってきました。どうぞ」
シュルツ「はいはい。それじゃあ読ませていただきまーす」
ヒナさん「お願いします」(ペコリ)
シュルツ「お名前【ちびっこ】さんからのお便りです。どうもどうも」
ヒナさん「ありがとうございますー」
シュルツ「お便り【特に質問はないので……ヒナさんにご相談を。】」
ヒナさん「あら、わたしにですか? なんでしょうー」(エヘヘ)
シュルツ「えーと、【私は感想を書くのが苦手で、ポイントを入れるのは上から目線な気がして、どうしても勇気が出ないんです。】」
ヒナさん「ふんふん」
シュルツ「【それでも、みかみてれんさんに愛を伝えたいです。なにか良い方法はありませんか?アドバイスお願いします。】 、だそうです」
ヒナさん「なるほどー」
シュルツ「というわけでヒナさん、快刀乱麻を断つように、ズバッとどうぞ」
ヒナさん「感想を書くのが苦手、という方はたくさんいらっしゃいますよね。わたしもなかなか思いを伝えるのが上手じゃないんです」
シュルツ「えー?」
ヒナさん「ホントですよ? そんな疑いの目をしないでください。だって怖いじゃないですか。わたしが行ったことがすごく的はずれだったり、『的外れだよ』とか言われたりしたら」
シュルツ「うーん」
ヒナさん「すごくがんばって小説を書いていらっしゃる方々に、批評なんてできません」
シュルツ「まあ、そういうものなのかな……」
ヒナさん「ストーリーを褒めるのも、設定を褒めるのも、構成を褒めるのもなんだかちょっとあれかなあ、って、最終的に『キャラがかっこいいー!』に終始しちゃうんですよねえ」
シュルツ「いいんじゃない?」
ヒナさん「そうなんです、いいんですよ。わたし、わかったんです」
シュルツ「ふむ」
ヒナさん「一言で良いんですよね、『面白かった』とか、『素敵でした』とか、一言だけで」
シュルツ「そうだね、嬉しいものだよ」
ヒナさん「あ、そうですよね、シュルツさん。シュルツさん、製作者側の人ですもんね?」
シュルツ「自分の会社が手がけた乙女ゲーを褒めてもらえると、やっぱり嬉しいよ。どんな言葉でもね。『良い』とか『グッド』とか『パーフェクトだ、ウォルター』とかなんだっていいんだよ。そこに伝えたいって気持ちがあればね。気持ちは届くものだから。もちろん、ポイントもね」
ヒナさん「わー」(パチパチパチ)
シュルツ「あー、なんかボクが答えちゃったね」
ヒナさん「いいと思います。勇気を出して気持ちを伝えるのって、すごく大事ですよね!」
シュルツ「うんうん。特に読者さんや購入者さん、消費者さんはね。何事も伝えることから始まるんだよ」
ヒナさん「じゃあそのみかみてれんさんに愛を伝えるというのは?」
シュルツ「正面から言えばいいんじゃないかな、好きです、って。一度言っちゃえば気持ちいいよ。言ったほうも言われてほうも、ね」
ヒナさん「だそうですよ、【ちびっこ】さん!」
シュルツ「これは決して宣伝じゃないけど、ポイントも入れてやれば泣いて喜ぶと思うよ。大事なのは行動だよね」
ヒナさん「うんうんうん」
シュルツ「すごい勢いで首を縦に振っているね、キミ」
ヒナさん「感動しました」
シュルツ「あ、そう」
ヒナさん「だから、わたしも伝えます」(キリッ)
シュルツ「え?」
ヒナさん「わたし、前から、シュルツさんのこと……」(キラキラ)
シュルツ「それじゃあまた一時間後に! 早く通信を切れ!」
ヒナさん「す――」
ヒナより一言:あれ、あれ? 切れちゃった? むぅ~。