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7.味覚の秋とは言うけれど夏の味覚が個人的には美味しい

 このところ祖父の元気がない。

 毎朝必ず二杯はご飯をお代わりするあの祖父が、お代わりどころか茶碗の半分ほどしかご飯を食べない。朝以外は普通に食べているが。

 原因は前回、旅先で見つけて持って帰った高い壺をフィスに破壊された事……ではなく、ただの便壺を値打ちの骨董品と間違えたのがかなり応えたらしい。

「坊っちゃん、坊ちゃん。取れたてほやほやの旬の味覚。いかがーっスかー!」

 もぐもぐ――ゴクン!

 考え事をしている最中、無意識に開いていた口の中へと何かが投げ込まれた。

 あ……意識が……遠く……なって……。

 薄れゆく意識の中であのフィスの声が響く。

「あちゃー。やっぱ、悪魔にゃポピュラーでも人にモンゴリアンデスワームの干し肉は無茶でしたか。坊っちゃん以外の人にあげる前でよかったデス」


※モンゴリアンデスワーム

 ゴビ砂漠周辺に生息するといわれる巨大なミミズのような未確認動物。毒持ち。


 あん……にゃろ……う。

 フィスへの恨みを残して僕の意識は途絶える。


「ポ○ゾナ!」

 FFで有名な解毒の白魔法の名前を聞いて、僕はベッドの上で意識を取り戻した。

 目の前にはフィスいる……ちょうど人の股間真上の位置に跨って。

「は、早くどけよ!」

「んもう、仕方ないデスね。……少しはドギマギしてくてましたか坊ちゃん?」

「ああ、したよ。脳裏に恐ろしいことが無数に浮かび上がって、動機がなかなか止まりそうにないくらいにな!」

 コイツのことだから絶対ろくでもない事をしようとしていたに違いない。

 例えば……、

「それにしても、目を覚ましてくれてよかったです。どうやら解毒が上手くいったみたいデスね……寿命を少々頂きましたが」

 こういう事とか。

「何してくれんの!」

 だーかーら、人の意識が無い間に勝手に寿命を持っていこうとするんじゃない!

 ――いや、あっても駄目だ!

「あはははっ、冗談ってことにしといて下さい」

「そこはハッキリ『冗談です』と言って欲しかった」

「坊っちゃん声真似というか声の雰囲気を真似るの上手いデスね」

「うるせっ!」

 ハッキリされても嫌だけどね。結果が見えているから。

「所で坊ちゃん。メイドの手でも借りたいほど悩んでいることがあるんじゃないデスか? 主にプライベートなことで。そしてこのフィスが関係していることで」

 満足満足とフィスは恒例の僕弄りを済ました後、本題とばかりに真面目な顔を作って僕に聞いてくる。

 相変わらず人の心の中を読んでくるな。大当たりだよ。

「実は……もう読めているだろうけどお前が壊したあの壺。あの壺を便壺と知らずに買ってしまったのが余程ショックだったらしい」

「まったく、あんなの骨董品への知識がちょこっとでもあれば直ぐに分かろう物を。いくらでも気付くとこはあったでしょうに」

 そういえば、あの時フィスは壺に宿っていた怨霊を見はしていたけど、別に壺を見ていた訳じゃなかった。

「えっ!? フィスって骨董品の鑑定できたの?」

「失敬な。悪魔なんて契約の対価にお宝だの貴重品だの頂いたりしますからね。仕事の関係上、宝石も不動産も骨董品もなんでも鑑定資格は持ってますよ」

 僕はメイドとして働く姿しか知らないので、実際のところ悪魔としての仕事をしている姿を知らない。

 そうか、悪魔に鑑定士の資格は必要だったんだ。初めて知ったよ。

「で、爺ちゃんだけどどうしようか」

「その話題をフィスに振りますか!?」

「話は聞くんだろう?」

「確かにそうデスけど、仕事している人間にプライベートなことを頼るもんじゃないデスよ。プライベートはプライベートに解決。そうしないと仕事もプライベートも大体良くない方向に転ぶもんデス」

「ここにきてお前がそんな正論いうとか思わなかったよ、ビックリだ!」

 人間じゃなくて小悪魔だろうとか、プライベートにがっつり介入して僕を弄っているお前が言うのかとか、そもそもお前が切り出してきた話題だよな?

 今のフィスに思いっきりツッコミを入れたい。

「正直、番外と本編の二話も挟んでんのに未だにブーたれているジジイの為に動くのは気に食わないデス。しかし、他ならぬ坊ちゃんの頼み。ここは一肌脱いであげるデス」

 普段の行動は信用ならないが、きちん引き受けた頼み事はなんやかんやでこなしてくれる。

 悪魔を信じてはいけないが、その一方で契約や制約には厳しいという話を以前にフィス本人から聞いたことあったな。

 約――約束事については、彼女らなりのこだわりがあるのだろう。

「いいデスか、人の機嫌を取る一番簡単な方法とは、強い欲望を満たさせること。そうすれば人なんてちょろいもんデス」

「強い欲望って?」

「例えば、睡眠欲、食欲、排泄欲などの欲望――まあ、生理的欲求デスね。生存本能にも直結するこれらの欲望は、生きている限り逆らうなどありえません」

 確かに、どれもどの欲求も外してしまったら生き物は生きていけないな。

 食うな、寝るな、トイレに行くな。どれも禁止されたらとても辛いだろう。

「強い欲望っていうのが生理的欲求なのは分かった。それでお前はどうやって爺ちゃんの機嫌を取るつもりなんだ?」

「まだ分かんないんデスか坊ちゃんは。食欲とか出たし、ついでに今話のタイトルからちょっとは察してくださいよ」

「読めねえよ、そんな所! お前には何が見えているんだ」

「とにかく、要はですね。最高に美味し好物を食わせればばジジイのご機嫌取りなんてちょろいもんデスよ」

 おい!


「とゆーわけで、やって来ましたDIE所!」

 気のせいだろうか、台所を不吉な字面で呼ばなかったか? DIE(死ぬ)とかなんとか。

 しかし、いちいちコイツの言動に付き合っていたらツッコミきれない。こういう些細なのはスルーが一番だ。

「そういえば坊ちゃん、大旦那様の好物ってなんデしたっけ?」

「爺ちゃんの好物はたしか、ローストさせた香ばしいガーリックを効かせたステーキだったかな。焼き方はブルーで」

 ブルーとはレアよりも火を通さない焼き方で、その名前の由来が冷たい(ブルー)状態であるから。

 もちろんこんな食べ方、品質の良い新鮮な肉でないとできないうえ、その状態で美味しく食べられる部位も限られてくる。

「へえー、ガーリックステーキデスか……無理、パス!」

 うおいっ!

「なんでパスなんだよ。肉を焼く単純な料理がお前に作れないはずがないだろう」

 フィスは今までに何度も家の食事を作っている。その腕は、そん所そこらの高級レストランの味は軽く凌ぐほど。

「いやー、ニンニクって聖なる野菜デスし、小悪魔であるフィス的には?、その?ぶっちゃけ触れたくないっていうか?、手荒れしたくないデスし?」

「ニンニクが苦手とか吸血鬼かよ、それと手荒れぐらいなら何とかなるだろ!」

 あと、しゃべり方がウザイ。

「確かにニンニクは手袋して触れば平気デスけどね」 

 そんなんでいいのか聖なる力!? これだと、聖水はレインコートで平気なんじゃないだろうか。

「却下するなら、なんで好物なんか聞いたのさ」

 ニンニク嫌いだから作らないとか、自分の好きなものばかりを作る御都合主義の主婦と変わりない。

「本当の問題は別の所なんデス。いいですか、ここは千年院家。美味しい料理なんて当たり前に毎日食べているんデス。デスから、ただの好物じゃ効果が弱いんデス。おまけにほぼ生の殆ど手を加えない肉料理ときたもんデス。いつもの好物を食べるのと変わり映えがしないデス」

 フィスの言い分に感心してしまう。そういえば肉料理って大部分が焼き方だとかソースだとか違う余地があまりない。焼肉とステーキを比べると分かる気がする。

「結構考えているんだ。フィスのことだからてっきり全部が冗談だとか、人をからかう為だけに言ったのかと」

「失礼な。誰がこの家のほぼ毎日の献立を考えていると思っているんデス……千年院家の料理人たちデスよ」

 あれだけ自身満々に偉そうなことを並べて、お前じゃないのかよ!

「全部をウソ吐いているのでもないデスけどね。フィスの作った料理を坊っちゃんや大旦那様や大奥方様にお出ししたことあります。坊ちゃんは一際美味しそうに食べてましたね」

 ……え? あったの?

「本当に?」

「マジデス」

 確かにフィスは、家事全般はおろか、明らかにメイドの仕事を逸脱したこともこなしている。

 ――のになんでだ? なんで、途端に口に入れていたものとなると一気に不安になるのだろうか。

 いままで全部ノリだとか、「なーんちゃって、ウッソー」とか言い出すと思っていたから平気で入れた。

 そういえば、ご飯が妙に美味しくて、どんどんお代わりしてしまうことがあったけど、それがまさかなんてことないよね。

 事実とはは残酷だ。後味を悪くしかしてくない。

「変なものは入れてないから心配しなくてもいいデスよ。フィスはいままでだって、仕事はキチンとこなしていたじゃないデスか」

 そう、それだけが唯一の救いだ。

「さっき僕に食わせたような得体の知れないものは使っていないんだな? 正直に答えろよ」

 つい先ほど、ミミズバーガーよりもよっぽどショッキングなものを食わされた身としては、正直に答えてもらわないと安心できない。

「ちゃんと、千年院家の仕入れた安心安全産地直送の使ってますってば」

 それを聞いて一安心。ついでにフィスの料理の腕前も分かった。

 これで材料が真面と分かれば、これ程心強いものもない。

「それで? フィスはどんな料理を作るの」

「うーんとそうデスネー、確か、大旦那様は旅行がお好きでしたよね。郷土料理とかってお好きでしょうか?」

「そうだよ。各国を巡るついでに、その地域の食べ物とかも物色して楽しんでいるみたい」

 祖父母の旅行先で撮って帰ってくる写真には、料理が一緒によく映っている。

「だったら作る料理は『サルタ仕込みのロマーネ風ピオビアオーロラソース掛けグラーニャサルボー』で決まりデス」

「それってどんな料理?」

 全く聞いたことのない名前の料理だ。名前にロマーネと付いていたからイタリア料理かな?

「坊っちゃんが、知らないのも無理ないデス。なぜなら、たった今考え着いたテキトー名前デスから。考えるだけ無駄無駄無駄デス、そんな料理はこの世にない」

 無いの!?

 実際の料理名にありそうな単語を付随させるものだから、てっきり本当にある料理なのかと。

「不満そうなお顔ですね坊ちゃん。だったら『足狩りカマキリの即死系猟奇煮込み』にしといた方がよかったデスか?」

 すごい、一つ一つの言葉を抜き取っても、何一つ美味しそうな気がしてこない。そして、食べ物とすら思えそうにない。

 食べ物と呼ぶより、凶器か?

「言っとくけど、絶対にそんなもの作るんじゃないぞ、絶対にだからな」

「分かってますって、『作れ』という坊っちゃんの前フリなんデスよね?」

「そんな訳ないだろ!」

 誰がそんなお笑い芸人の体張ったコントの煽りのように捉えろといったよ。

 人が嫌がっている場合の九分九厘は本当に嫌がっているの知らな――いや、フィスの事だから知っていて言っているに違いない。

 フィスの顔見たら、アイツは今すごくニヨニヨと笑みをこちらに向けているんだもん。狙ってて言ったのは間違いない。

「爺ちゃんには変なものを食べさせないでくれよ」

 いくらフィスが変な事を企んでいようとも、こうやって命令にしておけば害はない。

 爺ちゃんの身に何事か起きないよう、僕は他にも、いくつかのことでフィスに釘を刺しておいた。

「もー、坊ちゃんったら。さすがに冗談デスよ。フィスが千年院家の人間に危害を与えられる訳ないじゃないですか――直接は」

「間接的にも禁止!」

 あー言えばこーする真似を、するんじゃない。ホントこのメイドは油断ならない。

「これも冗談デスって。フィスが本当に作る料理は、即興で創作したオリジナルデスけど、『味に自信あり』デスよ。坊ちゃんの不安な気持ちはわかりますが大人しく見物しといてください」

 何時の間にか、フィスが前に立つまな板の上とその周りには、食材と様々な調味量とハーブやスパイスといった香辛料が並べられていた。さらには、菜切り、牛刀、出刃、片刃と両刃の違いでそれぞれ別々にあるなど各種包丁まで並べられていた。

 僕に構って、料理の準備を進めている素振りなんて少しも無かったはずだけど、そもそもフィスは小悪魔で、その気になったら魔法でも使って何でも有りにしてしまうからさほど疑問でもない。

 フィスはまず手始めに、大出刃包丁を手に取ってその重さを確かめるよう握ると料理が開始された。

 フィスの事だろうから、さぞやおどろおどろしい調理風景が展開されるのかと思いきや、後ろで見ていて魅了される鮮やかな手際が繰り広げられた。

 真面目に目につくのが、料理の最中にも関わらず調理場がとてもきれいだ。調理過程で出てくる野菜屑や内臓は綺麗に綺麗に一か所へと纏められ、その総量は少ない。使った調理器具は出番を終えて元に戻す時点では綺麗な状態に戻っている。

 フィスの料理の腕前は切るだけじゃない、味付けもなかなかのものだった。味見を頼まれたので応じたのけれど、塩や砂糖のでシンプルな味の下地だけの段階ですでに「美味しいと」声を出してしまった。塩梅がとても絶妙だった。

 その段階からさらに手が加えられていくと、つい何度も喉を鳴らしてしまったほど美味しい匂いが辺りに立ち込み始め、料理が出来上がった頃にはお腹を鳴らしてしまっていた。


 結果を伝える。フィス発案の料理での祖父の機嫌回復作戦は見事成功を修め、千年院家の安寧は守られた。

 フィスの料理が完成した後、フィスと僕はその完成した料理を持って、祖父の許へと向かった。

 そこでしたことと言えば、フィスの料理を食べながら祖父と他愛のない事を喋っていただけなのだけど、祖父はあっさりと機嫌を良くしてくれた。

 あんなに長い間、意固地になっていたはず祖父があんなにもあっさり機嫌を良くしてくれた理由について、このことを言い出したフィスに聞いてみる。

「見よ、これが食べ物の力デス。

 人は人との付き合い場と食事の場を一緒にする、それは何故か?

 ――それはデスね、美味しい食事を他者と共にすると、その幸福を共有したくて、他人に心を開きやすくなっているんデス」

 パーティーや会食など、社交の場ではよく美味しい料理は付き物で、「人付き合いとセットになりやすいのは、そういった理由があるのかな」って、フィスの言葉ながら関心してしまった。これでその後、フィスが「ドヤァッ!」と自分で言ってしまわなければ崩れないで完璧だったのだけれど。

 それにしても、あの料理は美味しかった。どれだけの美味しさだったのかと訊かれたら、条件反射に組み込まれて、思い出すだけで涎が止まらなくなりそうなほど。あの味は当分は忘れられそうにない。

「フィス、よかったら近いうちにあの料理をもう一度作ってくれない?」

 機嫌を直した祖父と談笑していた部屋を出て、

 僕は、すっかりあの料理の味に魅了されてしまい、フィスにあの料理をまた作ってもらえないか聞いて見た。

「私は構いませんけど、止しといたほうがいいデスよ?」

「どうして? 変なものは入れてないんだろ」

 料理する前のあの時、確かに変なものは使わないようにフィスには言つけた。

 約束事にだけは五月蠅いフィスは、この事を必ず守っているハズだ。

「次にあんなもの食べたら確実に寿命を縮めますよ。よく昔から謂われませんデスか? ――体に悪いもの程、美味しいって」

 フィスはどどめ色の毒々しいジャーキーを口へと放り込む。

「体に悪いものって――フィス。僕と爺ちゃんに何を食べさせた?」

 まさかと思うが、お前の口にあるその毒々しいものとは違うよね? 

「やだなあ、食べ物は押しなべて毒にもなりうるんデスよ。

 砂糖を取り過ぎれば糖尿病、油なら高脂血症、醤油の致死量は一リットル、これは虫よけのクスリより高いってしってます? あの無害そうな水ですら水中毒があるんデス。

 フィスの使ったものだって、そういうものの一つです。取り過ぎなければどうってことはないデスよ」

「話をぼんやりとはぐらかすなよ。あの料理に何を使った?」

「坊ちゃんの意地悪。坊ちゃんはその味を既に知ってじゃないデスか」

 僕の既に知っている味?

 それは体に悪いものなわけで、ボクが知っている物で……。

「…………」

 心当たりに辿り着いたとき、体中から脂汗が湧き出てきた。

「ありゃま、坊っちゃんにはアレが何だったのか分からないんデスね。ここは仕方ないので、フィスがお答えします。

 答えは――じゃじゃじゃーん、これ! モンゴリアンデスワームの干し肉でーした。ぱちぱちぱちぃ?」

 やっぱりか。やっぱりなのか。

「ご安心ください」

 そのご安心は、お前が話したところで絶対に得られるものじゃないよね? そうだよね。

「一流のフグ調理師は、致死量にならない程度の毒を身に残して、お客様に舌の痺れを楽しんで頂くと謂われています。

 すなわちデス。量さえ誤らなければ、毒さえも美味しさのエッセンスなのデス。大旦那様は、美味しそうに平らげていましたよ」

 だから何さ。

「誰の何が原因で、今日の僕は死にかけたと思っているんだ!」

 こっちは一度死にかけたんだ。痺れを楽しむってレベルじゃない。

「あれは、坊ちゃまに臨死を楽しんで頂こうと思って、特別に毒素の高めのやつを」 

 楽しくない! 僕は、全く楽めてなんかないよ!?

 臨死体験を楽しむ奇特なクセなんて、生憎なことに僕は持ち合わせてない。

「フィス! いつもいつ――ングウッ!」

「正真正銘、今度こそ人が食べても平気な、美味しいものデス」

 フィスを怒ろう口を僕は開けた所へ、そこにまたもやフィスに得体の知れない食べ物を放り込まれた。

 直ぐに口から出そうかと思ったのだが、悔しいことにフィスの言う通りそれは美味しくて、そのままよく噛んで飲み込んでしまう。

 僕は何を食べさせられたのか聞いて見たのだけど、最後に一個だけ取って置いたものを僕に食べさせたようで、結局どんなものだったのか分からずじまいになってしまった。

 自分は何を食べさせられたのか。きっとろくでもない物に決まっている。

 けれどもあの味は、淡いくちどけ、ほんのりとした甘さ、素朴な味わいをしていて、なんというか優しい味をしていた。

「小悪魔の癖に似合わない」

 なんてことを言う気だったのが、食べた終わった後は直ぐ消え失せた。不思議な味だった。

 これも食べ物の力なんだろうか。

坊っちゃんが最後に何を食べたのか。具体的な物は避けますがヒントぐらいは……サブタイトルとそれに関連したキャラに関係します。

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