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ハグミープリーズ!-ウチの孫が美少女幼馴染を抱きしめて優勝する話-  作者: 自爆霊


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第4話_プレイズミープリーズ!

 さてさて、前回は二人が電車を降りたところで終わりましたね。今の二人はどうやら、電車を降りて改札から出たところの様子、アイスがどうこうとお話をしています。


「そういえばかき氷系のアイスって季節によって生産量変えてるらしいよ」

「そうなの?」

「そうそう、冬は売れないから減らして夏は増やしてるんだって」

「そんなに売上変わるのか、季節の力ってスゲーな」

「私もまさに今暑いからアイス買おうとしてるとこだしね、人間暑さには逆らえんよ」


 そうこう言いながら二人は駅前のスーパーに入っていきます、安くなり始めたきゅうりを買おうとした幸樹が「前買った野菜まだ残ってるしな」と思い直したり、在庫処分で半額シールの貼られた草餅を見た直美ちゃんが「お買い得……ダメダメ、アイス買うんだから」と無駄遣いを自制したり、アイスコーナーに売り出されている季節限定スイカアイスを買おうか二人で悩んだりしながら、二人は目的地である氷菓の前に着きました。


「メロン味とソーダ味、悩みどころさんだ」

「限定味一択じゃないの? 直美限定系好きじゃん」

「メロンは当たりはずれあるからね、たまーにキュウリ食ってるみたいな瓜臭さ極まってるのもあるんだよ」

「それ引いたら悲しいな」

「そうなんだよねー」


 わかりみが深い、当たりはずれの激しい味ってありますよね、おばあちゃんは抹茶味とか警戒しちゃいます。というのも実は昔、スーパーで投げ売りされてたカップの抹茶アイスを買ったんですよ、ちんまりとしたサイズ感で凝ったパッケージをしていたから「これは掘り出し物だ、高級路線の激うまアイスに違いない」と思ったんです。抹茶アイスは甘さ控えめで香り重視の苦い物もありますから、きっと苦すぎてあまり売れなかったのだろうと、前も言ったかもしれませんがおばあちゃんは苦い物が得意ですから、苦いアイスでもおいしくいただけるだろうと、その結果香りもクソもないゲロ甘アイスで心底悲しい思いをしましたよ、はい。もうね、抹茶味しないんです、本当にガムシロップ混ぜた牛乳を固めて食べているような味わいも何もない砂糖の塊だったんですよ、おかげで半年くらい抹茶アイスってだけで買う気が失せるような状態になってしまいました、まあ半年後に直美ちゃんの食べてた有名高級アイスのグリーンティー味を一口貰って目を覚ましてからは、また普通に食べられるようになりましたけど。


「話してたら俺もちょっと食べたくなってきた、久しぶりだしソーダ味買おうかな」

「ホント? じゃあ私がメロン味買って一口あげるから、そっちも一口食べさせて」

「いいぞ、でもメロンでいいの? 地雷が怖いって言ってたけど」

「そんときは笑って供養する、一口食べた幸樹と一緒に」

「はっはっは、道連れ確定かぁ」


 良い笑顔で道連れ宣言をした直美ちゃんが、アイスを手に取ってそそくさとレジに向かいます、溶けてしまわないように急いで会計を済ませて、同じく急いで会計をした幸樹と一緒に店を出ました。


「それじゃ早速食べよー!」

「空き袋もらうよ、ポリ袋取ってきたからまとめて捨てとく」

「ありがとー」


 このポリ袋はエコバッグに買い物を詰める台に置いてある野菜とか肉を入れるための袋です、ゴミを入れて口を縛ればカバンを汚さずゴミをしまえるから便利なんですよ。想定されてない使い方をするのは良くない、ちゃんと有料のレジ袋を買うべきという人もいるかもしれませんが、まあ細かいことは気にしなさんな、ちゃんとスーパーで物買ってるんだからこれくらい大丈夫ですよ。

 ちなみに直美ちゃんは割とこういうことを気にするタチだったりします、根が生真面目だから色々気にしちゃうんですよね。今は幸樹の影響もあってそこらへん程よくルーズになってますけど、小学校低学年くらいの頃はかなり融通の利かない子でしたよ。まあそんな直美ちゃんも可愛かったですけどね、本人はそういう気質を大きな欠点と思ってるようですが私に言わせれば気にし過ぎですよ、そりゃ自覚無しに周りを振り回すのはよろしくないですけどね、直美ちゃんはそこらへん自覚してますし優しい子だから全然問題ない範囲ですとも、人間多少欠点がある方が可愛げがあっていいってもんです、完璧超人過ぎて行き遅れかけてた友達がいたおばあちゃんとしてはそう思うワケ。ちなみにその友達こと節子ちゃんはなんかもう欠点が無いし人として強すぎるしで男の人たちが勝手に気後れして離れていく子でした、ウィスキーをロックで三杯飲んだ二十九歳の彼女に「どうせ私は喪女として死んでいくんですよぉっ!」なんて言われた時はもうおばあちゃん何も言えませんでしたよ。まあ何もできなかったとは言ってませんがね、酔っぱらってダメダメになってる彼女をちょっと良い感じになってるけど押しの弱い男の子にぶつけてそのままゴールインさせてやりましたとも、学生時代から他人の恋愛に野次馬とお節介焼きまくってたこの私からすれば朝飯前です。


「! うまい! これうまいよ幸樹!」

「マジ? 当たりだった?」

「マジマジ大当たり! スーパーレアって感じ! ほらほら幸樹も一口食べなよ!」

「では失礼して……おお、本当にうまい、これは確かにスーパーレアだ」

「でしょー? ほれほれ、ゴミ回収の礼にもう一口あげよう」

「わーい」


 私が脱線してる間に二人は恐怖のメロンアイスに挑戦していたようです、今回は当たりを引けたようで、幸せそうな顔でパクパクと食べ進めていますね。


「ごちそうさま、んじゃほれソーダ味じゃ、一口食べよ」

「はーい……うん、やっぱ王道はうまいね、実家の味って感じ」

「分かる、久しぶりに食べたけどやっぱおいしい、流石ロングセラー」


 このアイスはおばあちゃんがアラサーぐらいの頃からある、ロングセラーの中のロングセラーですからね、長年生き延びてきただけあって洗練された味をしているのです。直美ちゃんはメロン味が気に入ったようで、幸樹がソーダ味を半分食べる頃には全部食べきってしまいました。


「ふへー、うまかったうまかった、幸樹~棒引き取って~」

「へーい」

「ありがとー、キウイ食べたいから家寄っていい?」

「いいぞ、ヨーグルトと合わせてみたいから試してもいいか?」

「いいね、やろうやろう」


 ヨーグルトキウイはいいですよ、いやマジで、同じ酸味系同士相性がメチャクチャいいんです、ただしそれだけだと酸っぱすぎるのでハチミツとかヨーグルトについてくる砂糖を多めに入れるのが良いでしょう。果物の風味が薄れると思うかもしれませんが、砂糖に匂いはないから果物の香りは損なわれないんですよね、マジでおいしいから無糖派の人も試してみてほしいです。そうそう、あのヨーグルトについてくる袋入りの砂糖好きだったんですよね、いつしかついてこなくなってしまいましたが私は単品で買ってずっとヨーグルトに入れていました、あれフロストシュガーって名前で単体で売ってるんです、幸樹はハチミツの方が好きみたいであまり食べませんでしたが。

 二人の家はちょっと駅に近いので、少し歩けばすぐ着きます、駅前の坂を上って妙に待ち時間の長い信号を渡り、道路沿いに五分歩いたらまた少し坂を上って、そうすればもう幸樹の家です。ちなみに直美ちゃんの家はここからもう三分歩いたところにあります、ご近所さんですね。

 玄関で靴を脱いだ幸樹はカバンをそのへんに置いてすぐに手を洗います、最近はコロナとかもおっかないのでハンドソープを使うことも忘れません、泡を手に塗りたくって手にくっついたばい菌を丁寧に洗い流します。手を拭いて洗面所を出たら、入れ違いに入っていく直美ちゃんを後目にリビングに向かい、冷蔵庫を開きます。冷蔵庫の中にある残り五個になったキウイの袋から二つを取り出した幸樹は、ささっと水洗いして手早く皮を剥きそれをカット、その手早さたるやまさに職人技、具体的に言うと直美ちゃんが手と顔を洗って出てくるまでの間にヨーグルトまで出して、あとはカットしたキウイを入れるだけのところまで作業を済ませました。いや早いな、お婆ちゃんそんな速く皮むきできないわよ、しかも可食部もあまり巻き込んでいませんし、なんだこの無駄なスキル。ていうかあなた前に「キウイの皮剥くのはめんどいから苦手」とか言ってませんでした? もしかして面倒くさい(出来ないとは言ってない)ってヤツですか? 何それデキる人っぽい。


「おー、もう切ってある、早い」

「でしょ? コレが俺の包丁スキルよ」

「スゲー! でも前キウイの皮剥くの苦手って言ってなかったっけ?」

「実際苦手だよ、可食部削り過ぎないよう神経使うから」

「そっかー」


 ドヤ顔を決めた幸樹がちょっと嬉しそうにしながら、食器にヨーグルトとキウイをよそいます、ちゃんとハチミツも用意してありますね、いい子です。


「あれ、ハチミツ入れるの? 風味飛ばない?」

「入れすぎなければ大丈夫、昔おばあちゃんにヨーグルトキウイ出してもらった時、入れた方がおいしかったんだ」

「なるほど、では幸樹を信じて私も入れてみよう」


 あら、覚えてくれていたのですね。確かに私が生きてた頃は毎年作ってあげてましたし、私が死んだのも二年前ですから覚えていても特に不思議は無いです、無いのですが…………うん、思ったより嬉しいですね、コレ。そっかぁ、覚えててくれたかぁ、おばあちゃんが毎年ノリノリで十個入りの袋売りキウイを買ってきて、ヨーグルトに入れてたの忘れないでいてくれたのかぁ、嬉しいな、本当に嬉しい。人が死ぬのは忘れられたときって言葉の意味が分かった気がします、覚えてくれているだけでこんなに嬉しいのですから、忘れられるのは本当に死ぬように辛いことなのでしょう。よしよし、いつか幸樹がこっちに来たらおいしいもの沢山食べさせてあげましょう、特別にメロンもつけてあげちゃうわよ。


「んむんむ、確かにこれはおいしい、フルーツの風味とハチミツの甘味が上質な味わいを感じさせる、まさに高級ヨーグルト」

「急に食レポするじゃん、褒められて嬉しいぞ」

「うまいから仕方ない。いいねこの食べ方、また食べたい」

「キウイ残ってるしまた今度やるか」

「わーい」


 おばあちゃんも褒められて嬉しいわよ、ヨーグルト一皿にキウイを半分使ってる贅沢ヨーグルトですから、きっとさぞおいしいのでしょう。しかし考えてみればこの夏に入ってからおばあちゃんはキウイを食べていませんでしたね、せっかく死後の世界でも夏の果物が売られ始めたのですし、私も帰りに買うとしましょう。おばあちゃん朗読配信で割とお金稼いでますからね、ちょっと多めにキウイを買って二人が食べてた以上のキウイ大盛贅沢ヨーグルトで優勝しちゃいます。ちなみに朗読配信を始めた理由は面白半分で投稿したルイズコピペ音読動画がバズったからです、キメッキメの服着た高身長の姉ちゃんが早口でコピペ音読してればそりゃバズりますよね、おじいちゃんも爆笑してました。最近はクソデカ羅生門とかノムリッシュ人間失格とかイマイチ需要の見えない動画を投稿してますよ、真面目な近代文学音読配信よりコピペ募集音読配信の方が視聴者集まるのは納得いきませんけど、お前らネットミーム好きすぎでしょ。あ、言ってる間にヨーグルト食べ終わってる、何なら直美ちゃんが食器洗ってます。


「ふーい、洗ったから乾いたら拭いてねー」

「はーい」

「いやあ、こうしてるとなんか馴染んできた感じがするね」

「それな、馴染み過ぎて心配になってくる」

「ふっふっふ、油断したら背中からバクっと食べちゃうかもよ?」

「腕相撲負けるクセに何言ってんだコイツ」

「中三までは勝ててたのになぁ、時の流れは残酷だよ」


 こんなこと言ってますがまだまだ腕相撲は接戦ですし、何なら幸樹は今でも時々負けてます、なんか昔から直美ちゃん力強いんですよね、昔の私より強いから別に身長の力でもないっていう、謎パワー。

 その後は特別なこともなく、課題をやったりアニメを見たり、午後の六時まで、土曜日と同じようにだらだら過ごしました。


「もう六時、流石にそろそろ帰らないとなぁ」

「時間の流れは速いな」

「だねー」


 よっこらせ、なんてちょっとおっさんっぽい掛け声とともに立ち上がった直美ちゃんが玄関に行って、置きっぱなしにした荷物を持ち上げ……ませんね、なんじゃ?


「んじゃ幸樹、ほれ」

「うん? ああ、ハグね」

「イエース! プリーズハグミーナーウ!」

「欧米? んじゃほい、ギュギュっと」

「んにゅ~~……」


 よしよし、ちゃんとハグは続けているようですね、三日坊主にならず続けている姿勢は偉いですよ。直美ちゃんは前にとった言質をフル活用して、幸樹から愛情を摂取し続けています、動画投稿と同じでこういうのはコツコツと続けるのが一番良いのです。しかしまぁ相変わらず奇声は上げるんですね、なんですか「んにゅ~~」って、ソシャゲのマスコットモンスターが「や~ら~れ~た~」みたいなノリでギリギリ上げるかもしれないくらいの変な声ですよ、一体どういう心境で直美ちゃんはそんな声を上げているんですか、なんかもうおばあちゃんはこれが普通なんじゃないかと思い始めてきましたよ、感性が歪んでしまいます。


「しあわせ~……」

「相変わらず楽しそうだなぁ」

「ただちょっと物足りない……、もうちょっと力入れて」

「大丈夫? 潰れない?」

「大丈夫大丈夫、仮にヤバかったら言う、だからもっと」

「じゃあちょっとだけ……」

「もっと」

「じゃあもうちょっと」

「遠慮しなくていい、思いっきり力いっぱいやって」

「……痛かったら言ってね」

「ん"ん"っ!んん"んぅ~~……!」

「大丈夫? 声ヤバイよ?」

「ん"!」

「大丈夫なんだ……」


 あっ、ついに幸樹が奇声につっこんだ、いや違うか? 明らかにうめき声だから心配になっただけ? なんかそんな気がしてきました、直美ちゃん明らかに圧で喋れなくなってますし。というかコレ大丈夫なんです? いや直美ちゃんの身の安全もそうですけどそれ以上に絵面がそういう特殊なプレイなんですよ、同衾しろとか好き放題言ってたおばあちゃんの言うことじゃないですけど、付き合ってない関係でやるには少々ヤバイと思います。というか幸樹も幸樹で何でそれを了承してるんですか、ハグ如きすら倫理的によろしくないと却下してたあなたは何処に行ったんですか? 一回やったらあとはどこまでいっても同じとか思ってるんですか、なんかエロいですねそれ。

 まあでもこれで好感度が上がるならおばあちゃんもそれで良いと思います、道徳なんて合意さえあれば多少無視しても何の問題もありませんからね、是非そのまま突き進んでください。


「んじゃ終了です、離れんしゃい」

「しゃーい」

「大丈夫? 背中痛んだりしない?」

「だいじょーぶだいじょーぶ、多少痛むけど全然へーき」

「痛むんかい、やっぱ加減したほうが良かったんじゃ」

「満足度の方が高いから問題ない! 必要経費だよ必要経費、愛情を大量摂取できて幸せだった、是非またやってほしい」

「それならまあ、またやろう、でもなんか直美の価値観ねじ曲がってきてない?」

「やったー! これくらい普通だよ普通、なんにもおかしくないから幸樹も安心して!」

「そっかー」


 二十秒たっぷりハグ(パワータイプ)を堪能した直美ちゃんはものすごく嬉しそうです、ひまわりみたいな笑顔してるから騙されそうになりますけど、この子さっきまでうめき声しか上げられないくらいの力を込められて喜んでたんですよね……おばあちゃん正直ちょっと直美ちゃんが怖いわよ。なんか気のせいかもしれないんですけど、直美ちゃんちょっと性欲を出してきてませんか? なんというかこう……アルファベット表の十三番目で表される性癖をじわじわと感じるんですよね、気のせいだとは思うんですけど、多分。


「そういえば親が喧嘩してるって言ってたけどアレ大丈夫?」

「うーん……大丈夫と言えば大丈夫だし、ダメと言えば終わってるって感じ?」

「と、言いますと」

「相変わらず険悪だしヘラってるんだけど、ぶっちゃけいつも通りなんだよねぇ。割と年中こんなんだから、イチイチ気にしてらんないというか」

「……もしかしてかなりストレスフルな人生を歩んでいらっしゃる?」

「その分幸樹にハグされたり撫でてもらったり、甘やかしてもらってるから大丈夫」

「ホントに?」

「ホントホント、だってほら」


 「ん」といきなり直美ちゃんが頭を下げて、頭に疑問符を浮かべた幸樹が何も考えずにそれを撫で始めます。いやぁこうして反射でいちゃつけるなんて本当に仲が良いですね、これで結婚どころか付き合うかどうか未定なんて信じられない話ですよ、正気の沙汰ではありません。おじいちゃんは「ありゃくっつくから大丈夫」とか言って余裕綽々でいらっしゃいますけどね、私はこういう時こそ油断してはならないと思ってるんですよ、まあ私が臨戦態勢でいたとろで出来ることはないんですけどね、死人はつらいよ。



「私が辛いときはこうやって、幸樹がいつでも甘やかしてくれるでしょ?」



「…………おう」

「ふふん、どうよ? 今のすっごいそれっぽかったでしょ? 素敵でしょ? 可愛いでしょ??」

「……ははっ、そうだな、思わずドキッとしちゃったよ」

「でっしょー!? 私可愛いもんね! 素敵だもんね!」

「うんうん、素敵だし可愛いし美人だよ、直美は」

「イエーイ!」


 もう直美ちゃんったら、せっかくキャッチーに決めたのにその後はしゃいじゃ台無しですよ、あの幸樹の顔見ました?「…………おう」ってなんですかその間もう完全に一目惚れ案件じゃないですかヤダー! もしあそこで直美ちゃんが抱きつきでもしたらそれはもうゴールイン確定でしたよ画面いっぱいの『エンダァァァア!イヤァァァァアア!』弾幕が流れてスタッフロールも流れ出してたことですよ! なんて勿体ないことしたんですか直美ちゃん控えめに言って人生最高のゴールインを果たすチャンスをふいにするなんて!


 …………えー、こほん。派手に取り乱してしまいました、失礼。まあ覚悟も決まってないのにゴールインするようなことをしたら「そんなつもりじゃなかったし……」ってフラグが折れる可能性も無くはないですもんね、ここは慎重な直美ちゃんを褒めるべき場面でした。本当にそうか? まあそういうことにしましょう。

 少なくともこれで幸樹が向こう十年は直美ちゃん以外の女とくっつかないことが確定したハズですから、NTRリスクは限りなくゼロに近づいたと言えます、素晴らしいことですね。え? 直美ちゃんが他の男に行く可能性? ナイナイあり得ナイナイ、あの子相手が男ってだけで二年くらい好感度上がりませんし好感度上がり切る前に告ったらフラグへし折れますし、最低条件が幸樹以上の好感度ですからね、十年来の付き合いを超える好感度なんざどう稼げって言うんですか、事実上の攻略不能キャラですよ。……なんかこうやって改めて言葉にしてみると、喪女一直線って感じですね直美ちゃん、幸樹がいる分彼氏探しにがっついてないのもあるとはいえ、ちょっとかぐや姫染みてきてますよ。おら孫、お前ちゃんと責任もって死ぬまで面倒見て差し上げなさいよ、お前が安心感という名の蓬莱の玉の枝を大量摂取させた結果がこれなんですからね。


「それじゃ帰るから!またねー!」

「またなー!」


 直美ちゃんが玄関を出て幸樹もリビングに戻ります、冷凍庫から今日の夕食を取り出してから、風呂を出て布団に入るまでの間、幸樹はずっと嬉しそうな笑顔のままでした。

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