エピローグ_ハグミープリーズ!
「そういうわけで、お付き合いしました」「お付き合い始めました」
「マジかよ」
「ハッハッハ! だから言ったろ、私らの幸樹ならここで決めるって! そういうわけでパパはレギュラーシングル奢りな」
「俺の負けだ、受け入れよう」
「もしかして賭けをしていらっしゃった?」
そういうわけで今は夕食後、首元に大型絆創膏を張り付けた幸樹と直美ちゃんが、お付き合いを始めたと親に報告しています、ご挨拶第二段ですね。ママは自分たちがいない間に息子が勝負を決めると見抜いて「邪魔しちゃ悪いし映画見に行こうぜ」と買い出しの終わったパパにデート延長の申し出たのです、そして「いや流石にねぇだろ」と言うパパに「い~や間違いないね、読み外したら何でも言うこと聞いてやるよ」「良いぜ乗った、俺が外したらそれにプラスでアイスも奢ってやるよ」と、そんなやり取りを経て、このようなことになったのです。
「おうさ、お前のおかげでアイスゲットだぜ、流石は私の息子だ。あとヤるなら言えよ、ちゃんと家空けてやるから」
「負けたのは悔しいが、それよりお前が勝負を決めたことの方が俺は嬉しい、交際おめでとう」
「ありがとうママ、パパ、あとちゃんとお前らが出張行った後にするから余計なお世話だボケ」
「これからもよろしくお願いします」
いやぁ賑やかですね、ママの戯言はいつも通り放置するとして、パパも言葉の裏に喜びがにじみ出ています、こりゃ晩酌で二十年物が空きますね間違いない。パパとママは私の影響でウィスキーを飲みます、コスパ良いですしね、二人の手元には私が飲み切れなかった……もとい、私が遺した良いウィスキーが数本あるハズです。なまじ良い物なせいで「いつ飲めばいいんだコレ……」と二人共消費に困っていたんですよ、丁度良い機会ですからこの機会に消費してやってほしいですね、酒は飲んでこそですから。
「おうおうこちらこそよろしくな! 娘が増えてママも嬉しいぜ」
「パパからもよろしくお願いします、せっかくの告白後にあんま時間貰っても悪いし、二人は部屋に戻るといい、パパとママは酒盛り始めるから」
「そうそう、せっかくの告白後なんだから存分にいちゃつくが良いわ!」
存分に酒盛りできるよう、もとい二人が存分にいちゃつけるようにという配慮で、孫と直美ちゃんが部屋に戻りました。クッションに背を預けた二人が幸せそうに、なんでもない話をしています。
「いちゃつく、いちゃつくかー、そうだね、付き合ったから、好きにしていいんだよね」
「そうだな、とはいえ正直、現実感がそこまで湧かない」
「まあゆっくりやってこうよ、時間はたくさんあるんだから」
そうそう、これからも一緒にいるんですから、ゆっくり慣れていけば良いんです。無理せずゆっくり、幸せを噛みしめて行けばよいのですよ。
「それじゃあ恋人らしく過ごすための第一歩として、いつも通りハグからやっていこっか」
「だな、いつも通り、俺達らしくやっていこう」
「うんうん! それじゃああれ、いつものように────ハグミープリーズ!」
いつも通り、しかし新しい距離感で、二人がひしと抱き合います。せっかく良い感じにタイトル回収してくれましたし、本作はここまでといたしましょう。ここまで読んでくれた読者の皆様に心からの感謝を、二人の幸せな今後を、そして読者様方の幸福を祈って、お元気で!




