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ハグミープリーズ!-ウチの孫が美少女幼馴染を抱きしめて優勝する話-  作者: 自爆霊


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14/21

第14話_ダウンウィズユー……

 さて、前回最終回みたいな告白を行ったワケですが、当然その後も人生は続くものであり、本作もまたおばあちゃんが満足するまで続くのです。本日は日曜日、前日あれだけのイベントをこなした二人がどれだけイチャついているのか、読者の皆様も気になっていることでしょう。果たして本性を現した直美ちゃんは何処まで好き放題しているのか、孫はどこまでそれに付き合ってあげているのか! その答えは……!!






「……死ぃ……死ぬぅ……うぐえぇ…………」

「…………死ぬ……というか死んだ……もうマジムリ……うぐえぇ……」


 この朝九時に、二人は死んでいました。二人そろって床に転がり、「死ぬ」の類義語をうわごとのように口ずさみ続ける、ダンゴムシのように丸まったその姿は、人として死んでいると言っても過言ではありません。果たして何がどうなってこうなったのか、勘の良い方なら気づいているでしょうが説明しましょう。


 時間は今朝の七時に遡ります、リビングで目覚めた幸樹は寝ぼけた頭のまま朝ごはんを作り、直美ちゃんが起きてくるのを待っていました。しかし時間が経っても直美ちゃんは現れません、休日とはいえせっかく目玉焼きを焼いたのですから早く食べてほしいのが人情という物、今だ寝ぼけている彼は深く考えないまま、自分の部屋で寝ている直美ちゃんを起こしに行ったのです。そして「朝ごはんできたぞー」と扉越しに言われた直美ちゃんは「ッピャァ!?」と、悲鳴とも鳴き声ともつかない素っ頓狂な叫び声を上げました、当然幸樹もこれにはビックリ、驚きのあまり4cmほど飛び上がってしまいます。そして混乱している彼に投げかけられる「おまっお前! よく昨日あんなこと言ったのに普通に話しかけれるね!? いや別に言ったこと自体は嬉しかったけどさぁ! 羞恥心とか無いの!?」とのお言葉、それを聞いた幸樹は「昨日? 昨日は確か……直美に……? …………アッ」とコンパクトな断末魔を上げ、扉の前に蹲ってしまいました、昨日の言動を思い出したことで羞恥心に頭が押し潰されてしまったようです、かわいいですね。

 さて、ここでネタバラシです、実は直美ちゃんは孫が起きる一時間前、朝六時頃にはすでに起きていました。じゃあなんで出てこなかったという話ですが答えは簡単、今の孫と同じように羞恥心に悶えていたからなのです、「昨日の私は何を言って……いやでも、そこで踏み込んだからこそ…………いやそれでもアレはぁ……!!」等々の言葉をぶつぶつ言いながら、布団にくるまってカタツムリ状態になっていました、そこに件の孫が現れたのですから「ッピャァ!?」なる奇声も致し方ないでしょう、それを差し引いても素っ頓狂過ぎるとは思いますが。そうして一通りもぞもぞ悶えた後、朝ごはんを食べるために力を使い果たした二人がこうしてリビングで死んでいるのです。


「うぐぐ……幸樹ぃ……」

「うぅ……何……?」

「このまま、死んでても……ラチが空かない……待って、話すだけで辛い、う……うえぇぇ…………」

「そうだな……そして俺も辛い……顔見てるだけで思い出して……うああぁぁ……!」


 酷い有様ですね、いや本当に酷い、二人には申し訳ないですが視覚的には二日酔いで死にかけてる時と同じくらい酷いです。今の二人はひらがなの“い”の字になって向き合いながら横になっています、時々目を開けては馴染みのある顔を見て昨日のことを思い出し、「……っ! ~~っ……!」と呻きながらビクビクしています、陸に打ち上げられた魚か何か? 直美ちゃんは何か言おうとしていましたが結局羞恥心に敗北して黙りこくってしまいました、これはしばらくこのまま動かなさそうですね。しかしまあこうしていつも通りの直美ちゃんを見ていると、なんというか安心しますね。昨日の様子を見て一瞬、これからの直美ちゃんがずっとあんな感じでとんでもないことになるのかとビビッていましたが、どうやらそうでもない様子。きっと昨日のアレはテンションが上がり過ぎた暴走状態だったんでしょう、私も勢いでおじいちゃんに哺乳瓶を握らせたことがありましたから気持ちはよく分かります、誰にでも気の迷いというものはありますから、ね?

 そう、誰にでも気の迷いという物はあります。敢えてゲテモノを食べてみる、試しに変な中国製を買ってみる、なんとなく砂糖を二倍にしてみる、人間の心に潜むチャレンジ精神というものは思わぬタイミングで顔を出し、人生に愉快かつ割と手痛いイベントを齎すもの。例えば今の直美ちゃん……この惨状の中敢えて孫に引っ付こうとしている彼女のように、何やってんだこの子。ほら孫がものすごい顔してるじゃない、テスト前日に徹夜でゲームしてる人間を見るような目をしてるわよ、メチャクチャ正気を疑われてるわよアナタ、何なら私も疑ってるわよ、何考えてるのちょっと。


「何やってるの直美……? 本当に何やってるの……!?」

「くっつく、回復する、というかやけっぱち……」

「ねえそれ死ぬよね……!? 直美もだけどその前にまず俺が死ぬよね……!?」

「ふへへ、もうほぼ死んでるから関係ないよ……回復量がダメージを上回れば実質ノーダメ……ダメだった時も一緒に死ねば怖くない……! いざ無理心中……!!」


 そんなキマったことを言った直美ちゃん、「ふへっ……ふへへ……!」みたいな感じのジメジメした笑い声を上げながらのそのそと床を這い、そして孫にのしかかりました、一般的にキショいと言われても仕方ない行動ですね、はい。そして“い”の字から“メ”の字になった二人は当然動かなくなりました、そりゃ顔見ただけで大ダメージを負うのに引っ付いたらそうなりますわ、なんかもう二人共悟ったような顔をしていますね、何もかもを諦めた、燃え尽きたような顔です、綺麗な顔してるんだろ? 死んでるんだぜ、コイツら。ただそのおかげかさっきから痙攣はしなくなっていますね、どう考えても死後硬直の類ですがダメージが入ってないように見えるのもまた事実、意外と回復出来てるのでしょうかね?

 しかしこうして引っ付いて横になっている様子を見ると、昔のことを思い出しますね、幼稚園ぐらいの物心つき始めたくらいの頃の話です。






 時は大雑把に10年くらい前のこと、当時の私たちは幸樹の今後を憂いていました。息子夫妻は頑張って子育てしやすい環境を整えてくれましたがそれも七年程度、幸樹が小学二年生になれば二人共出張だらけの働き方に戻らねばなりません。いや二人共頑張ったんですよ? 二人共仕事できるからガンガン働きまくって、その結果責任と報酬が増えまくって出張であちこち飛び回らざる得ない身分となってしまったのです、それなのに七年も子育てできる状態を保ったのだからそれはもう本当に頑張ったのです、あの歳でそこまで評価されているのも含め、私とおじいちゃんの自慢の子たちです。

 ですがそれはそれ、これはこれ、父母のいない環境はまずよろしくないですし、私とおじいちゃんが代わりに面倒見るにも限度があります、具体的には寿命。もし私たちが死ぬまでの間に友達ができなかったら祖父母が死んだ後、この子が完全に孤立して悲しみを背負うことになってしまいますから、会話もたどたどしい年齢の孫に「早く友達出来てくれ……」と、一家総出で年齢を考えない祈りを捧げていたものです。

 そんな時に彼が家に連れてきた友達第一号、それが直美ちゃんでした。そりゃ私たちはビビりましたよ? だって知り合ってから家に来るまで一週間のスピード感でしたからね、最初に家で遊ぶ子は砂場で一緒に遊んでた、元気な子たちだと思っていたのに、実際に連れてきたのはいつも公園の隅っこで一人ボーっとしてる女の子だったのです。まあ確かに「なんか相性良さげだなー」とは私たちも思ってましたよ、ある日砂場遊びで一人あぶれた幸樹が「ひまだからいっしょにあそぼ~」って話しかけてから毎日一緒に話してましたからね、いや本当に毎日、それもガッツリ長く話してたんですよ。どこからそんなに話の内容が湧いてくるのか我々は甚だ不思議に思っていました、まあ実際はネタ切れになると中身のない会話を延々と繰り返してケラケラ笑っているというオチでしたが、そりゃ「ふとんが~」「ふっとん、だー」みたいなこと延々と言ってたらいくらでも時間を潰せるわな。香織ちゃん(幸樹ママの名前です)なんかは「この年で嫁を見つけるとはやるねぇ」なんて冗談半分に言ってましたっけ、当時の私は「なーにアホなこと言ってんのよ」と笑い飛ばしましたけど、こうなったのを見るに意外と本気で言ってたのかもしれません。そうそう、家で遊び疲れた二人はいっつもその辺の床で横になっていました、手をつないだまますぅすぅと寝息を立てる姿は大変かわいらしくて、押し入れの奥にあるアルバムには当時の写真が残っています。


 まーぶっちゃけ当時の私は「小四にもなれば疎遠になるんだろうなぁ」なんて思ってたんですけど、いやだってそれくらいの頃になると異性と話してるだけで揶揄われ始めるじゃないですか? 孫は普通に同性の友達もいましたし、そっちを優先して直美ちゃんとはたまーに挨拶するくらいの仲になって自然消滅すると思ってたんですよ、実際小二中盤から男の子たちと下校する日も増えてましたし。だから小三になった頃、直美ちゃんがいじめられてるのを何とかしたいと、幸樹がそう私に言ってきた時は本当にビックリしました、お前ガチで女子と友達やる気かと。そうそう当時の直美ちゃんまだ割とノリが悪かったから、一時期面倒な女のガキ共にいじめられてたんですよ、まあ幸樹が頑張ってなんとかしたんですけどね、具体的には直美ちゃんと一緒に下校して絡んできたクソガキ共をおじいちゃん仕込みのコンプラ違反ワードで怒鳴り倒して、学校に呼ばれた私が本場のロジハラで先生もとい事なかれ主義のカスを黙らせました、これぞコンプラ意識の無い時代を生きた老人の年の功……

 さて、そうやって私が老人特有の長い昔話をしている間に孫たちは正気を取り戻したようです、直美ちゃんの「回復量がダメージを上回れば実質ノーダメ……」作戦は上手くいったようですね、良かった良かった。


「ん~……よしっ、私完全復活! 体力全回復って感じ、幸樹はどう? 回復した?」

「割と、というか恥に慣れてきた、これならいつも通りにできそう」

「言われてみれば確かに、私も慣れてきた感じがしてきた……じゃあガッツリ抱き着いてもいい?」

「えっ…………まいっか、よし来い、ドスコイ」

「はっけよーい!」


 何も考えてなさそうな掛け声で直美ちゃんが抱き着こうとして……腕を回すスペースが無いことに気づきましたね、床に転がってるんだからそりゃそうだ。とはいえそこで黙る直美ちゃんでもありません、スッと立ち上がりクッションを持ってきて、幸樹の頭と床の間にインターセプト、何事も無かったかのようにまたのしかかり、首の下に出来た隙間に両手をねじ込んで抱き着くことに成功しました、この間僅か五秒の出来事。


「幸せぇ~~……」

「何今の手際、一瞬で枕差し込まれたんだけど」

「必要なことだからね、必要なことはちゃちゃっとやらないと」

「そんなもんかー」

「そんなもんだよー、それじゃあ幸樹、これからはこうやって今まで以上に甘えるから、この距離感でよろしくお願いね?」

「よろしくお願いされた」

「わーい!」


 いやぁもう当然のように引っ付きますね、ハグ一つで倫理が云々言って抵抗していた頃が遠い昔のように感じられます、これも直美ちゃんが頑張ったおかげですね。私もNTRの可能性が潰えてとても嬉しいです、最初の頃の幸樹はハグ等禁止令なんぞ出して距離を取ろうとするし、直美ちゃんは異性として見てないなんて嘘ついて幸樹が他の女に靡く可能性を増やすし、おばあちゃんはいつ直美ちゃんがラブコメ特有の幼馴染負けヒロインになるかとビクビクしていたものです。とはいえ油断大敵とも言いますから、二人にはこの状況に胡坐をかかずガンガン好感度を稼いでルート固定の強度を高めていってほしいですね、私は。

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