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08 蓮華城決戦!燃え上がる覚悟と最後の砦!

 一方、評議会の会議室にも緊迫した空気が漂っていた。

 議員たちはディスプレイに映し出される障壁の変動データと魔王軍の進撃映像を凝視し、冷や汗を滲ませていた。

 防御障壁の維持を担う魔法技術者たちは中央制御室で設定やエネルギーの流れを必死に調整しながら、障壁の燃料である魔晶石を次々と評議会棟最上階のコア装置へ運び込んでいた。

 評議会議長は眉をひそめ、低い声で命じる。

「障壁のエネルギー消費が予想をはるかに上回っている……調整を急げ! 魔晶石の備蓄と輸送を徹底し、供給を絶対に途切れさせるな! 魔法攻撃装置は起動したのか?」

「起動はしましたが、まだ時間がかかります……!」

 若い魔法技術者が焦燥を滲ませながら報告する。

「もう待てん!」

 議長は机を叩き、強い口調で言い放った。

「全魔法攻撃装置に命令を下せ! 全力で遠距離攻撃を開始しろ! 敵の攻撃を食い止め、障壁への負荷を少しでも軽減するのだ!」

 同時に、治安部隊も緊急作戦を展開していた。隊長は城壁のそばに立ち、焦燥の色を浮かべながら遠くを見つめる。

 空では嵐のように荒れ狂う闇の魔法が障壁を激しく打ちつけ、今にも要塞全体が呑み込まれそうだった。隊長は深く息を吸い込み、振り返ると隣の兵士たちに厳かに命じた。

「至急、避難作戦を開始しろ!すべての住民を避難所へ誘導せよ。守備隊は城壁へ布陣し、魔法兵器を用いて遠距離攻撃を展開せよ!」

 兵士たちは即座に動き出し、街には緊急警報が響き渡った。治安部隊は魔法兵器を携え、それぞれの防衛拠点へと急行する。城壁にはエネルギーを帯びた魔法弩砲が次々と設置され、迫り来る敵に備えた。

 一方、街にある能力者アカデミーでも、若き能力者たちが緊急招集されていた。アカデミーの院長である厳格な老紳士は中央に立ち、冷静な眼差しで生徒たちを見渡す。そして、片手を挙げ、静かに指示を下した。

「戦闘および支援に適した者は、ただちに守備隊の援護に向かえ。防御や魔法装置に長けた者は障壁修復部隊に合流し、評議会を支援せよ。残る者は住民の避難を手助けするのだ!」

 命令が下るや否や、アカデミー内では素早く部隊が編成され、インストラクターたちが若き能力者を率い、それぞれの持ち場へと散っていった。

 冒険者ギルドは、活気と混乱が入り混じる異様な空気に包まれていた。冒険者たちは次々と装備を整え、魔王軍との決戦に備える。だが、他の場所とは異なり、ここには恐怖の影はなかった。あるのはただ、熱い闘志と高揚感のみ。彼らは知っていた——今回の戦いが、蓮華城の命運を決するものであることを。

 真一、愛理、リアの三人もまた、ギルドの中央に立ち、出発の準備を整えていた。真一は静かに装備を確認すると、隣の愛理とリアに目を向け、力強く言う。

「どうやら、僕たちも動く時が来たようだな。」

 愛理は力強く頷き、銀色の双銃をしっかりと握る。その動きに合わせて、明るい茶色のツインテールが軽く揺れた。彼女の瞳には、強い決意と闘志が宿っていた。

「そうね、真!絶対にあの悪魔どもを蓮華城に踏み入れさせはしない!」

 緊張感が漂う中、その言葉はどこか明るく、仲間たちを鼓舞する力を持っていた。

 リアは静かに魔法の杖を掲げる。栗色の長い巻き髪が肩に流れ、蒼い瞳の奥を一瞬、不安の色がかすめた。しかし、それもすぐに確固たる決意へと変わる。

「アザールの力は確かに強大……でも、私たちに退路はない。この要塞、必ず守り抜く。」

 その声は決して大きくはなかったが、不思議と人々の心を奮い立たせるような、優しさと覚悟が滲んでいた。

 その時、ギルドのギルドマスターが一歩前に進み出る。鋭い瞳には、熱い闘志が燃えていた。

「冒険者たちよ!この戦いがいかに危険か、誰もが承知しているはずだ。ここで魔王軍を食い止められなければ、二年前の悲劇が再び繰り返される。だが、お前たちは今ここに立っている!覚悟を決めろ!退くことなど考えるな!今こそ、我々が二年間でどれほど成長したかを奴らに見せつける時だ!」

 その言葉に、ギルドの冒険者たちは歓声を上げた。ホール全体が熱気に包まれる。

 真一は静かに頷き、冷静ながらも決意を込めて言った。

「準備はできた。行くぞ!」

 号角が高らかに鳴り響くと同時に、蓮華城の各地が一斉に動き出す。治安部隊は住民の避難を誘導し、評議会の魔法装置は遠距離攻撃を開始、能力者たちはそれぞれの戦場へと急行する。

 巨大な危機を前に、この街は未曾有の団結を見せていた。

 しかし、誰もが知っていた。魔王軍の力は計り知れず、障壁は今にも崩れ落ちそうなほど激しく揺らいでいることを——。

ついに第23章の執筆を始めました!インスピレーションって本当に不思議なものですね。ずっと良い始まりが見つからなくて悩んでいたのに、突然ひらめいて、頭の中に映像が浮かんできて、ようやく次に進めるようになりました。時々、ある点にこだわりすぎて思考が行き詰まってしまうことがありますが、そういう時こそ心を開いて新しい視点で考え直すと、予想外の結果が生まれるんですね。引き続き、どうぞお楽しみに!

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