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06 蓮華城決戦!闇を纏いし魔王軍の侵攻を阻め!

 静かな午後、蓮華城の城壁は陽光を浴び、壮麗な城に温もりを帯びた金色の輝きを纏わせていた。

 穏やかな空気が漂う中、幾月にも及ぶ復興を経て、街の住民たちは次第に日常を取り戻しつつあった。広場には子供たちの笑い声が響き、街道の両脇では商人たちの威勢のいい掛け声が飛び交う。通りを行き交う冒険者たちの足音が小気味よく響き渡り、この堅牢な要塞に新たな活気をもたらしていた。

 この静寂は、何よりも貴重なものだった――だが、誰も気づいていなかった。破滅の嵐が、密かに迫りつつあることを。

 突如として、蓮華城の上空にぽっかりと巨大な裂け目が生じた。

 晴れ渡っていた空は、裂け目から溢れ出した暗黒の瘴気に侵され、一瞬にして深い闇へと染まる。圧倒的な重圧が辺りを支配し、空気は凍りついたかのように停滞した。大地でさえ、その異様な力にわずかに震えている。

 烈風が吹き荒れ、暖かな陽光はかき消された。

 城の守備兵たちは、息を呑みながら空を仰ぐ。

 そこには、裂け目の奥深くから押し寄せる闇の奔流――尽きることのない恐怖の波動があった。そして、その中心に現れたのは、魔王軍・魔族の先鋒――アザール。

 暗黒の中で際立つその巨体。

 黒き双翼がゆったりと羽ばたくたび、夜の帳のように空を覆い尽くす。

 燃え盛る紅蓮の瞳は、まるで悪魔の宝石のごとく妖しく光り、蓮華城を冷ややかに見下ろしていた。

 引き締まった長身に、異様なほど発達した筋肉。

 その手に握られているのは、災厄の象徴たる漆黒の魔杖。杖からは死の気配が漂い、わずかに動くだけで、瘴気の奔流が渦を巻く。

 そして――

 空を裂く亀裂はさらに広がり、そこから無数の悪魔たちが姿を現した。

 歪んだ醜悪な肢体。背には漆黒の翼を持ち、血に飢えた紅い瞳が妖しく光る。

 その全身を包むのは、濃密な闇の魔力。

 彼らはアザールの背後に列をなし、宙に浮かびながら、両手に破壊の力を蓄えていく。今まさに、城への攻撃が開始されようとしていた。

 アザールは眼下に広がる青白く輝く防御障壁を見下ろし、冷笑を浮かべた。

「哀れな人間どもよ……この障壁にすがるとはな。なるほど、これがあるせいで転移陣を直接展開できなかったわけだ。」

 低く響く声には、圧倒的な威圧感が込められていた。その声を聞く者すべてが、肌を刺すような震えを覚えた。

 ゆっくりと魔杖を掲げると、周囲の光が吸い込まれるように消え、漆黒の魔力が一点に凝縮されていく。

 やがて、それは深淵を思わせる巨大な魔力球となった。アザールは鼻を鳴らし、それを一気に防御障壁へと投げ放つ。

 魔力球は猛然と回転しながら、全てを引き裂く勢いで防壁へと迫る。

「ドォン――!」

 凄まじい轟音とともに、魔力球が防御障壁に激突した。

 衝撃により、障壁の表面には激しい波紋が広がる。

 青白い光が脈打ちながらも、障壁はなおも堅固にその役目を果たし、アザールの一撃を防ぎきった。

「ほう……人間の障壁が、我の一撃を防ぐとはな……」

 アザールはわずかに目を細め、無傷の障壁を見つめると、口元に微かな笑みを浮かべた。

 しかし、その笑みはすぐに不気味な歪みを帯びる。

 突如、大きく翼を広げ、禍々しき闇の波動をさらに強く迸らせた。

 アザールは背後の悪魔たちに向き直り、魔杖を高々と掲げると、冷徹な声で命じた。

「全軍――攻撃開始!」

 その一声が響き渡った瞬間、悪魔たちは一斉に動き出した。

 それは、破壊と絶望をもたらす戦端の幕開けだった――。

 アザールの命令が下るや否や、悪魔の眷属たちは闇の魔法を解き放つ。

 無数の黒き魔力球が夜空を切り裂き、暴風雨のごとく蓮華城の防御結界へと襲いかかった。

 轟音が響き渡り、障壁を包む青い光が激しく明滅する。

 波紋のような揺らぎが次々と広がり、衝撃のたびに耳をつんざく音が戦場にこだました。

 闇のエネルギーは果てしない奔流のごとく、絶え間なく障壁を侵食していく。

「どこまで耐えられるか、見せてもらおう!」

 アザールの狂気じみた笑い声が戦場に響き渡る。

 紅く燃え上がる双眸には、凶暴な嗜虐の色が宿っていた。

 眷属たちは次々と闇の魔法を放ち、その一撃一撃が死神の鎌のごとく、容赦なく蓮華城の防御結界を襲う。

第15章の翻訳が完了しました! 内容が少し多めで、約15,000字にもなったので、これで4月末までの公開には十分ですね。さて、執筆に戻ると、やはり第23章の回想編はまだ納得のいく良い始まりが見つからず、一旦保留しています。このままだと、モチベーションを取り戻さないと、残りの章があっという間に終わってしまいそうですね。どうぞお楽しみに!

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