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48 雷鳴残光荒野録

 静寂が訪れたそのとき、会議室の片隅で、たくましい体格の男が朗らかな笑い声を響かせた。

 彼は鍛え上げられた筋肉が覗くノースリーブのTシャツ姿で、両手にダンベルを握りながらトレーニングを続けている。

「おいおい、肩の力抜けよ、兄弟! どんな手強い敵だろうと、最後に勝敗を決めるのは結局、力だぜ!」

 そう言って腕を振り上げ、誇らしげに筋肉を見せつけ、ニヤリと笑った。

 それに対し、眼鏡の女性は冷たく鋭い口調のまま、小さくため息をついた。

「ほんと、あなたたちは相変わらず自信過剰ね。」

 腕を組み、凛とした威厳を帯びた声で続ける。

「魔王軍の脅威は、力のぶつかり合いだけじゃない。本当に重要なのは情報よ。そして、雷野真一のチームこそが、今この状況で唯一、魔王軍の内部に食い込める鍵なの。」

 ジェイソンは微かに驚いた。彼の目には考えの兆しが浮かび、再び窓の外に視線を向けると、口元にわずかな笑みが浮かんだ。その傲慢さの奥に、どこか含みのある深い気配が垣間見える。

「情報か……面白い。もし本当に価値のあるものをもたらしてくれるなら、この協力――期待する価値はあるかもしれない」

 会議室の空気は次第に重苦しくなり、四人は互いに目を交わした。それぞれが、真一のチームの到来によってもたらされるであろう変化を胸の内で思い巡らせる。

 これは、単なる協力関係などではない。レサージス・シティ全体の未来を左右する試練なのだ。

 眼鏡をかけた女性が静かに囁いた。

「結果がどうであろうと、備えは怠れません。それから――チーム・ジェイソンが、このレサージス・シティの頂点だということを、決して忘れないで」

 そして場面は荒野へと切り替わる。

 アメリカ大陸。夜の帳が下り、夕焼けが空を真っ赤に染め、雲はまるで炎のように渦巻いていた。風と砂が容赦なく吹き荒れ、荒涼とした景色が広がっている。

 遥か地平線は、すべてを呑み込もうとする希望と恐怖に燃えているかのようだった。

 その果てしない荒野の中、突き出た巨大な岩の上に、一人の美しい女性が伏せていた。

 彼女は流線型の暗銀色のスナイパーライフルを手に、スコープ越しに遠くの巨大で獰猛な魔物を捉えている。

 突如として、その目が鋭さを増し、息を潜め、引き金を絞った――。

 ズドン――。

 爆音が荒野の静寂を切り裂き、遠くの魔物が土煙を上げて崩れ落ちる。命の気配は、瞬く間に消え去った。

 彼女はスコープから目を離し、一瞥して目標が完全に行動不能となったことを確認する。

 腰の通信機を手に取り、低く呟いた。

「ターゲット、クリア。ミッション完了。」

 通信機の向こうから、無機質な電子音声が返ってくる。

「撃破確認。記録を更新しました。新たな任務を発令。目標地点の座標を送信しました。至急向かってください。」

 彼女は手首の端末画面にちらりと目をやると、すぐさまミッション情報が表示された。

 しばし沈黙し、ゆっくりと立ち上がる。

 このとき、ようやく彼女の顔がはっきりと現れる。

 長く滑らかなダークブラウンの髪が風に揺れ、黒のレザージャケットがしなやかな肢体のラインを際立たせる。タイトな戦闘パンツとロングブーツを身につけたその姿は、冷たく、誰も寄せつけない空気を纏っていた。

 氷のように澄んだ蒼い瞳は、霧を貫き、遥か遠くの未知なる地平を射抜く。

 低く、複雑な感情を孕んだ声が、唇から漏れた。

「雷野真一……」

 その声には、断ち切れぬ想いと、心の奥底に秘めた執着が滲んでいた。

 まるでその名が、心の最奥に眠る記憶を呼び起こしたかのように、彼女の瞳にかすかな陰りが差す。

 彼女は静かに顔を伏せ、首元の細いネックレスをそっと撫でた。

 ペンダントは代々家に伝わる家宝で、残光を受けて控えめながらも気高い輝きを放つ、美しい銀のバッジだ。

 彼女はわずかに瞳を閉じ、冷たいその装飾品に指先をそっと触れ、そこに宿る遥かな想いを感じ取るかのようだった。

 それは家族の象徴であり、彼女の胸の奥に秘めた、誰にも言えぬ秘密でもある。

 しばらくして、彼女はスナイパーライフルを収納し、装備を整えると、流線型のバイクに軽やかに跨った。

「ふふっ……」

 突然、彼女はくすりと笑った。その笑みには、わずかに自嘲と諦めが滲んでいた。そして、瞳はふと優しくなる。

「真ちゃん……私のこと、覚えていてくれるかしら。きっと、あなたの世界では私はただの通りすがりの、見知らぬ人かもしれないわね。」

 彼女は一瞬黙り込み、氷のように透き通った青い瞳に鋭い光を宿す。

「いいえ、あなたは忘れない。忘れるなんて、ありえないわ。」

 彼女は優雅に手で髪を整え、赤いヘルメットをかぶった。突風と砂塵が吹き荒れ、彼女の足元のバイクが低くエンジン音を響かせる。赤い車体は稲妻のような閃光となり、テールの炎が長い光の帯を引きながら、広大で荒涼とした空と大地の中へと消えていった。

 何もない荒野には、ただ低い囁き声だけが響いていた――

「すぐに、また会えるわね、真ちゃん……その時、あなたは気づいてくれるかな……私がずっと、そばにいたって。」

 彼女の声は柔らかく、それでいて複雑な感情の奥底に潜む執念を滲ませるような、抗いがたい力を帯びていた。

今日はさらに第2部「魔界統一戦編」の対決構成を細かく詰めてました!準決勝の前に「バトルロイヤル」で対戦順を決めるんだけど、これ…どのACG作品からネタ拾ってきたか、読者の皆さん分かるかな?(笑)

そして対戦形式は合戦スタイル!これはまぁ、分かる人にはすぐバレると思う(笑)


対戦の流れとか結果もだいたい決めてあって、あとは執筆しながら、もし新しいネタが降りてきたらその都度ぶっ込む感じでいこうと思ってます!


あと、「魔王幸せデート編」の内容も細かく調整しました。デートのシチュとか恋愛エピソードの描写も増やしてみたんだけど、やっぱりまだ恋愛感情が盛り上がるまでの流れが足りないな〜って思ってるところ。さすがにヒロインたちがいきなり主人公に惚れるのもご都合すぎるから(笑)、前の章に戻って伏線と心の動きの描写をもっと丁寧に足していく予定。


はい、というわけで今回の章や巻もここまで!次の巻はあと1時間に公開予定です。ぜひお楽しみに!

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