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41 揺れる決断の刻

 ギルドマスターは全員を真剣な表情で見渡し、一つ咳払いをしてから、低い声で口を開いた。

「雷野、星川、リア。今日、あなたたちを呼んだのは、功績を称えるためだけではない。あなたたちのチームに、ある特別な人物を迎え入れてもらいたい。」

 その言葉が終わるか終わらないうちに、ホールの扉が静かに開き、やわらかくもしっかりとした足音が響いた。全員が一斉に扉の方へ目を向け、戸惑いと好奇心を浮かべる。

 月明かりの下、白鷺のように優雅で気品あふれる姿が、ゆっくりとホールの中へ歩み入ってくるのが見えた。

 それは、足首まで優雅に揺れる淡い色のギリシャ風ロングドレスに身を包み、その高く美しい体躯を際立たせる女性だった。紫の波打つ髪は肩に柔らかく流れ、頭上の優美な一対の悪魔の角は、灯りの中で夜空の星のように淡く輝いている。今の彼女からは、戦場で見せた鋭い威圧感はすっかり影を潜め、代わりに底知れぬ気高さと優雅さが漂っていた。

「サティーナ……?」

 真一の瞳孔がわずかに縮み、思わず低い声でつぶやく。この女を忘れることなど決してない。――魔王軍四天王の一人、戦場で計り知れぬ力を誇示した悪魔の女、サティーナだ。

 落ち着きを取り戻しながらも、なおわずかに眉をひそめ、その目的を探ろうとする。

 愛理は本能的に真一の隣に立ち、驚きとわずかな不安をその瞳に浮かべた。緊張した面持ちでサティーナを見つめ、声を潜めて囁く。

「真、な、なんで彼女がここにいるの……」

 活発な性格の彼女だったが、かつての強敵を目の前にして、やはり心はざわめいていた。

 リアは後ろの方に立ち、思わず両手で魔法の杖をぎゅっと握りしめる。長い栗色の巻き毛が灯りの下でかすかに震え、青い瞳には不安と鋭い警戒心が宿っていた。恐怖を感じながらも、サティーナに対する感情を必死に隠そうとし、ほとんど真一の背後に隠れるようだった。

 ホールの中は一瞬、静寂に包まれた。そんな中、サティーナだけが穏やかで礼儀正しい微笑みを浮かべ、優雅に一礼する。

「雷野さん、星川さん、リアさん。お会いできて光栄です。本日はどうかご安心ください。我は平和の立場として参りました。」

 その口調は、いつもの彼女とはまるで違い、柔らかな親しみさえ感じさせる。その姿は、かつての傲慢で好戦的な魔王軍の女将軍とは到底結びつかない。しかし、この柔和な態度にもかかわらず、リアの警戒は解けず、鋭い視線のままサティーナを睨み続けていた。

 ギルドマスターは場の緊張を察し、そっと手を上げて皆に落ち着くよう合図する。

「皆さん、どうかご安心ください。サティーナさんとはすでに我々幹部全員で合意に至っております。今回は重要な提案のために訪れたのです。」

 愛理は思わず小声で問いかけた。

「重要な……提案?」

 サティーナは静かに頷き、その瞳に揺るぎない決意を宿しながら告げる。

「ええ。もし我を皆さんの仲間として受け入れていただけるなら、この要塞の安全を守り、二度と攻撃しないことを約束します。それに加え、魔王軍の動向をより深く知っていただくため、機密情報も提供いたします。」

「なっ!?」

 真一と愛理が同時に驚きの声をあげ、リアは信じられないといった表情で、思わず口元を手で覆った。魔王軍四天王のひとりであるサティーナが、なぜこんな衝撃的な提案を持ちかけてきたのか。これはまさに、彼らが抱いていた魔王軍への常識を覆す出来事だった。

 その言葉は、まるで湖に投げ込まれた石のように波紋を広げた。真一と愛理は顔を見合わせ、かつての強敵が自ら和平の手を差し伸べてきたなど、にわかには信じ難い様子だった。リアも眉間に深い皺を寄せ、サティーナの提案を警戒の色濃く見つめている。

 サティーナはそんな彼らを優しく見つめ、静かに口を開いた。

「はい。我は本当に汝らのチームに加わりたいのです。魔王軍四天王として、これまで己の信念を貫いてきました。しかし、汝らとの戦いを通じて、自分自身を見つめ直すようになりました」

 真一はようやく心を落ち着かせ、複雑な表情を浮かべながらギルドマスターに尋ねた。

「ギルドマスター、君はどう思われますか?」

 ギルドマスターは微笑み、意味ありげな光をその瞳に宿して答えた。

「雷野、この件については、すでに各組織の首脳たちと十分に協議を重ねた。そのうえで、これはまたとない好機だと判断したのだ。サティーナさんの誠意は誰の目にも明らかであり、彼女の加入は我々に計り知れない恩恵をもたらすだろう。ただし、最終判断はあなたたちに委ねる」

 真一は深く考え込んだ。サティーナの提案は確かに非常に魅力的だ。彼女が魔王軍の情報を提供すれば、彼らの戦闘力は飛躍的に向上するだろう。しかし、魔王軍の幹部だった彼女が、本当に自分たちと共に戦う覚悟があるのかは、まだ分からない。

 それを見た愛理は、そっと声をかけた。

「真、どう思う?」

今日から外伝第5章の執筆をスタートしました!第2部の主人公とお姉さん系能力者も、いよいよ本気を出して、それぞれの能力を披露し始めます。主人公の能力は、もう「思いついたら何でもアリ」って感じで、できないことはないレベルです(笑)。


前にも言った気がしますが、第2部はこれまでの自分のACG経験を全部ぶち込んだ集大成的な作品で、いろんな作品のキャラ、シーン、設定なんかも、ちょっとずつ形を変えて登場させてます。もちろん今回の外伝も例外じゃなくて、タイトルもちゃんと物語の内容に合わせて、某作品のタイトルをオマージュして付けてます。


まあ、正直ちょっと権利関係は気になるところですが(汗)、読者のみんなに楽しんでもらえたら嬉しいです!次回もぜひお楽しみに!

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