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37 月光に解かれた忠誠のHeart

 サティーナはしばらく目を伏せ、まるで自分の心の奥と対話するかのように静かに考え込んだ。そして、ゆっくりと顔を上げたその瞳には、確かな決意の光が宿っていた。

「雷野、汝らと戦ったことで、これまで知らなかった異なる力の在り方を目の当たりにしました。それだけじゃない。強さとは、内なる信念から生まれるものだと教えられた。どんな苦境にあっても、汝らが決して折れず、互いに支え合えるのは、その信念があるからこそなのですね」

 彼女の声には、これまでにない穏やかさと敬意が滲んでいた。

「自分自身を見つめ直すきっかけをくれて、本当にありがとう」

 真一は微笑み、優しい光をたたえた瞳で彼女を見つめる。

「サティーナ。こうした出会いやぶつかり合いも、きっと偶然じゃない。互いを深く知るために与えられたものなのだ。そして君は、忠誠を捨てたのではない。自分なりの忠誠の形を探し始めたに過ぎないのだよ」

 サティーナは小さく頷き、遠くの空を見上げる。その瞳には、これまで縛られていた執着と盲信を乗り越え、ようやく辿り着いた真実の光が宿っていた。心を縛っていた鎖は少しずつほどけ、代わりに、かつてないほど穏やかな静けさと解放感が胸の内に広がっていく。

 月の光が彼女の顔をそっと照らし、その優しい輝きが、瞳の奥に宿る静かな決意を映し出していた。

 ふと振り返り、複雑な思いを込めて真一を見つめる。そして、感謝と安堵が滲む声で静かに言った。

「雷野……まさか、敵と交わした言葉が、これほどまでに我の心を揺さぶり、考えさせることになるなんて思わなかった」

 長く重くのしかかっていたものが、ほんの少し軽くなったように、口元がふっと和らぐ。

「汝らの絆と信念があったからこそ、自分の心の葛藤にも気づくことができた。きっと、本当の強さとは勝ち負けなんかじゃない。自分の心と向き合い、それを受け入れる覚悟こそが強さなのだと、今ならわかる。」

 真一は優しく頷き、まるで暖かな陽だまりのような眼差しで言葉を返す。

「サティーナ、心は決して強制できるものじゃない。だからこそ、自分の信念を見つけた君は、本当の意味で自由な選択ができるのだ。」

 サティーナは大きく深呼吸し、その瞳に静かな決意の輝きを宿した。そして、ゆっくりと拳を握りしめ、厳かでありながら、どこか安堵を含んだ声で告げる。

「雷野、我は今、この場で撤退を命じ、蓮華城への進軍を一時中止する。魔王軍四天王の一人として、これまで命令に逆らうなど考えたこともなかった。けれど、今ならわかる。他人への忠誠も、自分自身への忠誠も、価値ある信念のためにこそ尽くすべきなのだと。」

 真一は静かに彼女を見つめ、その瞳には深い感謝と敬意が宿っていた。魔王軍四天王として、その決断には計り知れない重圧があることを、彼は誰よりも理解していた。それでもなお、彼女が下した撤退の決断は、二人の間に生まれた絆の証だった。

 彼は微笑んで頷き、こう答えた。

「サティーナ、本当にありがとう。これからどんな未来になろうと、たとえ敵でも味方でも、君の選択を尊重するよ。僕たちもまた、それぞれの答えを探し続けている。君もきっと、心の中の真実を見つけられると信じている。」

 サティーナは小さく頷き、口元にかすかな笑みを浮かべ、まるで心の重荷がようやく下りたかのような安堵の表情を見せた。そして、静かに優しく手を振り、言葉にしなくても伝わる温もりを残した。

「行って、雷野。汝の道は、まだまだ続いているわ。」

 真一は静かに彼女を見つめ、その瞳には名残惜しさが滲んでいた。それでも、そこには温かさと揺るぎない決意が宿っている。

「また会おう、サティーナ。」

 彼は軽く頭を下げ、深々と敬礼したあと、毅然と向きを変え、仲間たちのもとへ歩き出した。夜風が頬をかすめ、わずかな冷たさを運んでくる。しかし、サティーナとの約束が彼の心を深い温もりで包み込み、まるで静かに希望の光が灯るようだった。

 少し離れた場所では、まだ意識の戻らない愛理を腕に抱きながら、リアが静かに佇んでいた。真一が近づくのを見て、リアの瞳には不安と安堵が入り混じり、ようやく心が落ち着いた様子を見せた。

「真一くん……」

 リアは涙ぐみながら、感動と安堵に満ちた声で彼の名を優しく呼ぶ。

 真一はくすりと笑い、優しく言った。

「もう大丈夫だよ、リア。すべて終わった。サティーナは撤退して、蓮華城への攻撃も一時中止することに同意してくれた。」

 それを聞いたリアは、ぽろりと涙をこぼし、安堵の笑みを浮かべた。

「そう……私たち、やり遂げたのね……蓮華城を守ることができたのだ。」

 ついに激闘の幕が下りた。真一とリアは並んで立ち、月明かりに照らされながら、静かに輝く蓮華城を見つめていた。だが、真一は心の奥で、これが新たな旅の始まりに過ぎないことを知っている。

 異世界からの神の降臨の真実、魔王軍の激しい感情の根源、そして魔王の突然の変化の理由。それらを解き明かすまで、彼の使命はまだ終わらない。

 世界に再び平和をもたらすために。

 真一はさらなる努力を重ね、未知なる闇と試練に立ち向かっていくのだった。

勢いそのままで外伝第3章の執筆に突入しました!今回の章は王道のモンスターホラー展開で、主人公たちと他の生存者が逃げる途中、次々と倒されていって、最後は主人公たちだけが生き残るっていう流れです。


それにしても、あの女キャラへの愛着がどんどん増してきて、ついに彼女のために大量のフラグを立てちゃいました!最初はただのモブだったのに、今ではすっかり主役クラス。創作のひらめきって本当に予想外の展開をくれるから面白いですね。


はい、というわけで今回の章はここまで! 次の章は6日後の6月7日に公開予定です。 ぜひお楽しみに!

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