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35 隠された真実

 真一の脳裏に、サティーナの語ったかつての姿が浮かぶ。

 平和と秩序に満ち、四つの種族から敬われた悪魔族の王。しかし、混乱と暴力が広がる決定的な時、その魔王は表舞台から姿を消し、何の行動も起こさなかった。その沈黙が、悪魔族を次第に暴力と侵略の泥沼へと陥れ、ついには世界への無差別な侵攻を引き起こしたのだった。

「こんな変化が……」真一は眉をひそめ、呟く。

「偶然のはずがない」

 胸の奥に、漠然とした不穏な感情が湧き上がる。サティーナが語った、あの息苦しいほどの暴力の気配。それは悪魔族の本性ではなく、まるで何者かによる外部からの干渉や操りによるもののように思えた。

 彼の心には、魔王の沈黙する姿が少しずつ浮かび上がり、その得体の知れない顔の奥には、計り知れぬ陰謀が隠されているのではないかという疑念が拭えなかった。

「魔王の沈黙……もしかしたら、その裏には別の理由があるのかもしれない。」

 真一の思考は次第に冴え渡り、拳を強く握りしめる。その目には、これまでにない決意が宿っていた。

「たとえ真実がどれほど危険でも、僕たちはこの終わりなき暴力を止め、その背後に潜む理由を突き止めなければならない!」

 心の中で固く誓い、その決意はもはや揺らぐことはなかった。たとえこの先、いかなる恐ろしい秘密が待ち受けていようとも、彼はすべてを受け止め、立ち向かう覚悟を固めたのだった。

 夜が訪れ、あたりは静寂に包まれていく。遠くの戦火の煙も次第に薄れ、冷たい月光が荒廃した大地を静かに照らしていた。

 真一はサティーナを見つめる。彼女の鎧は傷だらけで、その顔には疲労と寂しさがにじんでいた。警戒心を解いたその姿は、どこか儚げに映る。

「サティーナ」

 真一はそっと声をかけ、心配そうに目を細めた。

「もし魔王軍の行いに疑念を抱いていたのなら、なぜ今まで声を上げたり、抗おうとしなかったのだ?」

 サティーナは顔を上げたが、目はうつろで、小さくため息をついた。

「どんなに激しい戦いの最中でも、時折不安を感じ、心の中に疑念が湧き上がるの。でも、その感情もすぐに戦いの喧騒にかき消されてしまうのよ。」

 彼女は苦笑し、目に自嘲の色を浮かべた。

「疑念を抱いたところで、どうなるの?悪魔族の将軍として命令に従い、軍のために戦うのが我の務め。地位と名誉には誇りを持っていたし、ここに立つ以上、全力を尽くして族の者たちを失望させないと、ずっと自分に言い聞かせてきたわ。」

 真一は静かに彼女を見つめ、胸の内にわずかな憐れみが芽生えた。そして低い声で尋ねる。

「君は、本当に心からそれを望んでいたのか?これまで、一度でも、自分の意志に反していると感じたことはなかったのか?」

 サティーナの目に、一瞬痛みの色が宿り、彼女は囁くように答えた。

「もちろん…何度も。我は自分の目で、他種族の故郷が焼かれ、人々が追われるのを見てきた。心が完全に揺さぶられることはなかったけれど、何度も彼らに同情したわ。それでも、我は隊の先頭に立ち、悪魔族を率いて侵略と略奪を続ける道を選んだの。」

 彼女の声はわずかに震え、伏せた目に後悔の色が滲む。

「ただ、それらの意味について、これまで真剣に考えたことなんてなかった。ただ一族の未来のため、魔王様の目的のためだと、いつも自分に言い聞かせてきたのよ……でも今になって思うと、もしかしたら我は、自分の心の奥底の声に向き合う勇気がなかっただけなのかもしれない。」

 サティーナは、恥と自責の念を宿した目で真一を見上げた。

「もしかしたら我は、自惚れが過ぎたのかもしれない。それとも、名誉に目をくらまされていたのかも。戦場の熱気に、心の奥底の声がかき消されてしまっていたのね。」

 真一はわずかに眉をひそめ、深く考え込んだ。

「だが、戦いの興奮は本当の心を覆い隠すことはできない。恐ろしくなったことはないのか? 自分を見失い、大切な尊厳を失うことが。」

 サティーナの表情は一瞬で凍りつき、目に苦痛が浮かんだ。彼女はゆっくりと目を閉じ、囁いた。

「怖かったの。戦いが終わるたびに、空虚感に苛まれて、魂のない操り人形みたいに感じていたわ。それでも、歩みを止めることはできなかったの。」

 真一は静かに耳を傾け、胸の奥に悲しみが込み上げ、小さくため息をついた。

「それは、サティーナが本当に望んでいたことじゃないだろう?」

 サティーナはしばらく黙り込み、低い声で答えた。

「……そうかもしれない。でも、あの頃の我は止まる力も、その疑問に向き合う勇気も持っていなかった。悪魔族の将として、あまりにも多くの期待を背負っていて、ほんのわずかな躊躇さえ裏切りとみなされる。だから、自分から逃げて、勝ち続ければ疑念も消えると、そう信じるしかなかったの。」

 真一は優しい目で彼女を見つめ、そっと頷いた。

「サティーナ、その苦しみ、よくわかる。でも、逃げれば逃げるほど疑念は深まり、やがて自分自身を蝕んでしまう。君は心の奥底で信念を手放せずに抱き続けていた。それこそが、君の苦悩の本当の理由なのだ。」

ついに外伝の第1章を書き終えました!前はちょっとサボってて、書きたくなかったんですけど、今朝なんとなく、「まずは章の大まかなアウトラインを作ろうかな」って思ったんです。そしたら気づいたら内容まで全部書き終わってました。この章、けっこうヤバい感じで、まさに終末のバイオハザードって感じです(笑)。次の章は第2部の主人公に戻って、ストーリーは王道の終末学園ものになるので、お楽しみに!

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