32 静寂に潜むDestiny
戦いは徐々に鎮まり、静寂が戻った。真一は倒れたサティーナの前に静かに立っていた。銃口はまだ彼女に向けられていたが、その瞳からは鋭さが消え、複雑でどこか優しげな色が浮かんでいた。彼女を見つめると、言葉にできない重苦しさが胸に込み上げる。
サティーナの身体がわずかに震え、意地を張るような笑みを浮かべて顔を上げる。敗北してもなお、魔王軍四天王としての誇りと威厳は失われていない。その瞳には恐怖はなく、むしろ期待と決意が宿っていた。
「……雷野真一」
サティーナの声は弱々しくも、なお芯の通った響きを持ち、何かを抑え込むようだった。ゆっくりと口を開く。
「我は敗れた……魔王軍四天王、悪魔族の将として、完膚なきまでに。」
少しの沈黙の後、真一をじっと見つめながら言葉を続ける。
「ならば、とどめを刺せ。強者の手にかかり死ぬことこそ、魔王軍にとって最大の誉れだ。」
その言葉が落ちると、場の空気は一変し、厳粛な静けさが満ちる。真一は彼女の言葉の奥に、紛れもない勇気と戦士としての覚悟を感じ取った。
しばしの沈黙の後、彼は視線を落とし、そっと首を振る。そして、穏やかでありながら揺るぎない微笑みを浮かべた。
「いや、サティーナ。僕は君を殺さない。僕の戦いの目的は、誰かを殺すことじゃないし、君のような戦士を倒すためでもない。」
サティーナの目に、一瞬の戸惑いが走る。眉をひそめ、信じられないというように、痛みに耐えながら身体を起こし、複雑な表情で尋ねた。
「なぜだ? 我は魔王軍四天王の一人。この包囲戦の総司令官だぞ。敵として討つべきだろう!」
真一は優しく微笑むと、手にしていた二丁の銃をゆっくりと下ろし、彼女に歩み寄った。そして彼女と目線を合わせるようにしゃがみ込み、静かに、しかしはっきりと告げる。
「僕は、大切なものを守るために戦っているのだ。」
その瞳は深く澄み、声には揺るぎない信念が宿っていた。
「この戦いの背後には、僕が解き明かさなければならない、さらに大きな謎が隠されていると知っているからだ。」
「異世界の神の降臨、魔王軍の侵攻……その背後に潜む真意は、いまだ掴めていない。その答えを見つけ、僕たちの世界に平和を取り戻すためには、果てしない憎しみと殺し合いに溺れているわけにはいかない。前に進まなければならないのだ。」
その言葉は、一筋の陽光のようにサティーナの胸の奥に差し込み、闇を照らした。彼女は呆然と真一を見つめ、その誠実さと揺るぎない決意に、まるで信じられないものを見るかのような顔をする。弱き人間が、己にも理解できないほどの粘り強さと優しさを持っていることに。
しばしの沈黙の後、サティーナはふっと笑みを漏らした。その笑い声には、どこか安堵と解放の色が混じっている。真一は理由もわからぬまま、けれどついその笑顔につられて微笑んでしまった。
「フフ……雷野真一、この世間知らずの人間め。」
サティーナは軽く首を振り、自嘲気味に笑う。もはやその瞳に敗北の翳りはなく、ただ静かな安らぎが宿っていた。
「汝の追い求める『平和』が、どれほど手の届かぬ理想か……分かっているのか?」
真一は反論せず、ただ穏やかに微笑み、理解と寛容を湛えた眼差しで答えた。
「たしかに、君の言うとおりかもしれない。現実はたしかに残酷だ。でも……生きている限り、僕は答えを探し続ける。この世界に平和を取り戻す可能性だって、決して諦めはしない。」
サティーナの笑いは次第に静まり、頑なだった表情もやわらぎ、隠しきれない感情がその顔に浮かんだ。彼女は静かに真一を見つめ、小さくため息をついた。
「信じがたいわ……人間がここまで純粋で、しかも揺るぎない信念を抱けるなんて、思いもしなかった。」
やがて彼女はゆっくりと顔を上げ、まるで心の奥で既に何かを決意したかのように、遠くを見つめる。しばしの沈黙の後、目をわずかに細め、低く、しかし抗いがたい決意を宿した声で口を開いた。
「そこまで執着するのなら、雷野……汝に真実の一端を語ってあげましょう。」
サティーナは一度言葉を切り、その瞳に複雑な感情を宿しながら、静かに続けた。
「魔王軍が現世を侵略したのは、単なる征服のためではない。その背後に隠された真実は、おそらく汝の想像を遥かに超えているわ。」
真一は小さく身を震わせ、目の色を変えた。この戦いの裏に、さらに深い動機があるなど、考えもしなかったのだ。
サティーナは静かにうつむき、どこか懐かしさと深い悲しみを湛えた表情で、ため息をついた。まるで無数の情景が脳裏に浮かんでいるかのように、かすかに囁いた。
「雷野……汝にはきっと理解できないでしょう。でも、かつて我らの世界も、汝が追い求める『平和』によく似たものだったのよ。」
その言葉に、真一はわずかに身じろぎし、黙って彼女の続きを待った。
やっと外伝の執筆を始めました!仕事もひと段落ついて、ようやく創作に戻れる〜。今回の外伝は第2部の主人公がメインで、しかもこの外伝が第1部と第2部を繋ぐ橋渡しになる予定。伏線もしっかり仕込んでいきます!
前にもちらっと言った気がするけど、第2部は色んなACGのシーンをミックスした感じの作品になる予定で、しかもヒロインが7.5人!(笑)いわゆるハーレムものってやつですね。ただ、正直まだ具体的なハーレム展開は考えてないw 各章は基本それぞれ独立しつつも、全体としてはちゃんと繋がってるような感じにしたいなーって。
あ、ちょっと脱線した!第1部も外伝終わったらあと2巻だけで、4ヶ月で1巻ペースだと、第2部の公開は早くても来年11月になりそう。まだちょっと先だけど、気長に待ってもらえると嬉しいです。これからもよろしくお願いします!お楽しみに!




