28 戦場に芽生える愛しき敬意
サティーナはその言葉を受け、わずかに口元を歪めた。
次の瞬間――彼女の瞳が凍りつくように冷たく輝き、抑えきれぬ戦いの悦びが滲む。
「――ならば、見せてもらおうぞ……汝の覚悟を!」
声が響き終わると同時に、彼女は疾風のごとく舞い降りた。
その掌には、漆黒の闇が凝縮し、瞬く間に黒き魔力球を生み出す。
轟音と共に、それは鋭く真一へと放たれた。
しかし、真一の表情は微動だにしない。彼は静かに手を掲げ、飛来する闇の魔力球を正確に受け止めた。
その刹那――魔力球に触れた指先から、氷の冷気が瞬時に広がり、漆黒の魔力はたちまち鋭利な氷刃へと変貌する。
真一の意志に導かれた氷の刃は、唸りを上げながらサティーナへと突き進んだ。
「ふん……」サティーナは鼻を鳴らし、真一の変換の速さに一瞬舌を巻く。しかし、迷いはない。彼女は魔剣を軽く一振りし、飛来する氷刃を次々と叩き落とした。そして、目を細め、獲物を狩る者のような鋭い視線を真一に向ける。
次の瞬間――黒き剣を携え、雷のごとき速さで真一へと襲いかかった!黒剣が空を裂き、稲妻のような軌跡を描く。それに対し、真一もまた、躊躇なく応じた。
彼は静かに微笑むと、空間を震わせるように両手を振るう。
すると、その手には蒼白き双剣が現れた。二本の刃はサティーナの魔剣に決して劣らぬ鋭さを放ち、戦場に閃光を生み出す。
閃光が交差するたび、鋼の咆哮が響き渡る。火花が散り、殺気がぶつかり合う。この戦いに、退く者は、いない――。
サティーナの攻撃が勢いを増していく中、突如、真一の周囲の空間が微かに光を帯びる。
次の瞬間、氷青色の輝きを放つ盾が出現し、彼女の魔剣を完全に防いだ。
さらに驚くべきことに、その刹那の攻防の隙を突くように、数本の短剣が音もなく真一の周囲を漂う。
まるで彼の意思に導かれるかのように、それらはサティーナの死角から鋭く襲いかかった。
「何……?」
サティーナの瞳に驚愕の色が浮かぶ。即座に魔剣を振るい、周囲に闇の魔力を広げて短剣を弾き返したものの、真一の攻撃はまるで精密な網のように絡みつく。
二本の剣と短剣が絶妙に連携し、あらゆる角度から彼女を追い詰めていく。
真一は微かに笑みを浮かべ、その瞳には冷静な戦術眼が光っていた。「どうやら、僕の力に驚いたみたいですね。」
彼は両剣を巧みに操りつつ、盾と短剣を駆使してサティーナの攻撃を次々と無力化していく。
やがて、彼女の動きには焦りの色が滲み始めた。
サティーナは息を整え、僅かに眉をひそめる。予想をはるかに超える真一の戦術眼と柔軟な対応力により、徐々に劣勢へと追い込まれていくのを感じた。
不利を悟った彼女は、即座に跳躍して間合いを取り、冷たい視線で真一を睨みつける。その瞳には、再び闘志の炎が燃え上がっていた。
「汝ほど、我を本気にさせた者は他にいないぞ。」
サティーナの体を中心に、黒き魔力が再び収束する。
彼女は両手を胸の前に掲げ、指先に暗黒の光を凝縮させると、一気に解き放った。
真一は瞬時に危険を察知し、鋭く目を細める。
先ほどとは桁違いの魔力が戦場全体を覆い尽くし、圧倒的な気迫が辺りに満ちる。
サティーナは低く詠唱を紡ぎ、溜め込んだエネルギーを解放する。瞬く間に、闇の波動が空間を呑み込み、刃のごとき黒き光がいくつも放たれる。
逃げ道など、どこにも存在しなかった。
真一は迫りくる闇の奔流を見据え、静かに息を整える。そして、両手に持っていた剣を投げ捨て、掌を前に突き出した。
その手のひらには、まばゆいばかりの白き光が瞬く。
次の瞬間、彼は冷然と呟いた――。
「これは……返してやる。」
放たれた闇の魔力をその手で受け止め、瞬時に変換する。黒き波動は真一の手の中で猛々しい炎を纏い、無数の砲弾となって逆襲の軌跡を描いた。
戦場に轟く爆音。火焔を纏った砲弾の群れが、サティーナへと降り注ぐ。
サティーナは眉をひそめ、魔剣を構えて迎撃しようとする。しかし、次の瞬間、彼女は気づいた。
――この砲弾、ただの反撃ではない。
それぞれが異なる色の輝きを放ち、軌道も速度もバラバラ。だが、共通しているのは、すべてがサティーナを正確に捉え、標的を射止めるまで決して止まらないということ。
瞬時に跳躍し、砲弾を振り切ろうとする。しかし、振り払っても、まるで意志を持つかのように付き纏ってくる。
舌打ちしながら、サティーナは驚愕の表情を浮かべた。
「汝……我の魔法を一瞬で変換し、それだけでなく、複数の属性攻撃へと昇華させたというのか!」
真一は何も答えず、ただ微笑を浮かべる。
冷静に砲弾の軌道を制御し、サティーナの防御のわずかな隙を狙い撃つ。
その一撃一撃は――燃え盛る炎、凍てつく霜気、奔る雷光、引き裂く嵐。
あらゆる属性が混ざり合い、サティーナを圧倒していく。
しかし、百戦錬磨の女将軍たるサティーナはすぐに砲弾の秘密を見抜き、徐々に反撃を開始した。
彼女は砲弾をかわしつつ、いくつかを撃ち落としたが、その数はあまりにも多い。
さらに、真一の精密な操縦と鋭敏な戦闘直感により、砲弾は意表を突くような角度から襲いかかる。
サティーナはその猛攻を凌ぎながら、反撃の機会を窺っていた。
さらに厄介なのは、それらの砲弾が物体に接触した瞬間、灼熱の炎や氷結、さらには耳をつんざく雷鳴といった属性攻撃を引き起こし、彼女の動きを制限してしまうことだった。
サティーナは空中で華麗に宙返りをしながら砲撃を回避していたが、その内心では困惑と驚愕を隠しきれなかった。
目の前の男――つい先ほどまで死の淵にいたはずの彼が、今や互角に戦い、むしろ彼女にとって脅威になり得る存在へと変貌していたのだ。
「雷野……汝の力、いったいどこから来たの?」
お久しぶりです、皆さん元気にしてましたか? 4月下旬はずっと仕事でレポート作成に追われたり、ふと思い立って旅行に出かけたりしていて、なかなか執筆の時間が取れませんでした。
さっきようやく第17章の翻訳が終わりました!今回の章タイトルは推理もの風にしていて、物語の一部の真相が明かされる内容になっています。正直、あまり多くの人に読まれてるわけじゃないけど、それでも読み続けてくれてる読者の皆さんに、この物語の展開を楽しんでもらえたら嬉しいです。
次回もどうぞお楽しみに!




