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 風になびく金色の髪を、日の光にキラキラと輝かせながら歩く少年は、大きなリュックを背負い街道を歩く。


「あのちっこい眼帯ヤロウは誰っすか?」


 道端で馬車から荷下ろしをしていた若い男が、よく日に焼けた体格のいい男に尋ねる。

 体格のいい男は荷物を軽々と馬車から下ろすと、大きなリュックを背負った少年に目をやる。


「ああ、あいつか。最近このププレの町にやってきたガキだ。何でも流れの探索者らしい」


「流れ? なんすかそれ?」


 荷物を持ったまま尋ねる若い男に、体格のいい男はジェスチャーで早く荷物を下ろせとしながら答える。


「流れってのはその場に留まらないヤツのことだ。冒険者の多くはダンジョンにある資源を取って生活する者が多いから近くに住み着くことが多い」


 体格のいい男が軽々と荷物を下ろしていく横で、若い男がよろけながら荷を下ろしていく。


「対して、探索者は人探しや落とし物なんかをメインに扱うからその場に留まらず、依頼を求めて色々な場所に行って金を稼ぐんだ。次から次に場所を変えていく。だから流れだ。もちろん冒険者の中にもそういうヤツはいるがな」


「へぇ〜先輩詳しいっすね」


「あぁまあな。俺も昔は冒険者だったからな」


「マジっすか!? なんでこんな仕事してんすか? もったいないっすよ。冒険者って儲かるんでしょ?」


 興奮する若い男に体格のいい男は苦笑する。


「バカ言うな。ダンジョンの中は地獄だ。命がいくつあっても足りねえ。目先の金なんか釣り合わねえし、あんなところ行くもんじゃねえよ」


 そう言って体格のいい男は額の汗を首にかけていたタオルで拭うと、先ほどまで少年が歩いていた場所を見つめる。


(あんなに幼い子がダンジョンに入るとは、酷え親に無理矢理やらされてるか、訳ありか……どっちにしても長生きはできねえな。可哀想に……)


 哀れみの目をシルシエに向けた後、体格のいい男は仕事に戻る。

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