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ダンジョン シェルシェ  作者: 功野 涼し
愛のカタチ

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45/71

3

 地下へ潜っていくにつれて緑が増え草原から林に。林から森へ、そして地下五階では密林へと姿を変えていくダンジョン。


 地下へ向かっているはずなのに木々は覆い茂り、さんさんと輝く光と生命に溢れていく様子におかしな感覚に苛まれてしまう。


 太陽光に近い光を発する、太陽石と呼ばれる石から降り注ぐ強い光を遮るうっそうと伸びた木々の下を流れる大きな川。

 濁った川は汚いのではなく、木や葉っぱが朽ちて泥となり、栄養素がふんだんに満ちているからである。


 底の見えない濁った川の上を一艘の小さな船が進む。


 その船のオールを漕ぐシルシエが、木々の隙間から射し込む光に顔をしかめたとき、前にいるロイターが両手を上げて伸びをする。


「南の国に存在するジャングルと呼ばれる場所がこことそっくりだとよく聞くが、私にとってはここは懐かしい場所以外のなにものでもない」


 大きく息を吸い込んで、空気の匂いを確かめ懐かしむロイターにシルシエが話しかける。


「ダンジョン内で商売をする人は数多く見てきましたけど、船の貸出しは珍しいですよね」


「木などの材料には困らないだろうし、食料も豊富だ。ジャングル内に工房などの拠点を持っている者もいるぐらいだからな」


「工房ですか。そのうちダンジョン内に村とか、果ては国とかできそうですね」


 シルシエの言葉にふっと笑ったロイターは遠くを見つめる。


「ダンジョン内に集団で移住することはどの国でも禁じている。だがそんな法律うんぬうんの前に、ダンジョン内に人が住むということはあまりに過酷すぎる。数日寝泊まりするのも命がけだろう」


「やっぱりダンジョン内に住むのは難しいですよね」


「そうだな。ここは罠も少なく食料もあり比較的過ごしやすいダンジョンかもしれないが、やはりモンスターがいるからな。特にここ五階からは獣人が多く存在しているからなおさらだ」


 機嫌良さそうに流暢に話すロイターをじっと見つめていたシルシエが口を開く。


「危険になるのに護衛を四階までしかつけなかったのは、やはり例の獣人を驚かせないためですか?」


「あぁ、ソレユは警戒心が強いからな。私とシルシエくんだけの方が都合がいいんだよ」


「なるほど、相手をよく分かっているからこその配慮ということですね」


 シルシエの言葉にロイターはニンマリと笑う。


「それにシルシエくんは強い。四階までついて来た四人の誰よりも。だから二人でも問題ないと確信できたから護衛の四人を安心して帰らせれたよ」


「そんなことはありませんよ。僕は逃げ回っていただけですし」


「今でこそ老いぼれてはいるが元冒険者なんだ。強さを見極めることくらいできるつもりだがね」


「買いかぶり過ぎですよ。それよりも、この広いジャングルの中からどうやって探し出しますか? よく出会っていた場所とかありますか?」


 シルシエの問いに力強く頷いたロイターがジャングルの奥深くを指さす。


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