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「こんにちは」


 シルシエがダンジョンの奥から来たと思われる人たちに挨拶をすると、突然挨拶をされた男女混合チームは驚きつつも挨拶を返してくれる。


 三十後半から四十前半と言った感じの男三人と女二人のチームは、シルシエを不思議そうに見る。


「僕シルシエって言います。実は今日がこのダンジョン初めてなんです。このダンジョンについて教えて欲しいんですけど、あ、もちろんお代は払います」


 シルシエの自己紹介と提案に訝しげな表情になる男女だが、一人の男が前に出る。


「俺はブルメイって言うんだが、お前さんは何しにここに来た?」


「はい、僕は探索者をやってましてこの度は探し物の依頼でこのダンジョンに来ました」


「探し物? まさかと思うがマルコイのじいさんの依頼か? 花を探して欲しいっていうやつだろ?」


 ブルメイの問いにシルシエが目を大きく開き少し驚いた表情を見せる。


「なぜ依頼の内容が分かったのかって顔だが、なに簡単なことさ。マルコイのじいさんが幻の花を求めていることはププレの町じゃ知らないヤツはいないってことさ」


「そういうことですか。びっくりしました」


 驚くシルシエに後方にいる男女可笑しそうに笑う。


「見たところ幼いが、その年で探索者をやっているとは立派なことだ」


「捜し物専門ですけどね」


 笑顔で答えるシルシエにブルメイはふと笑うと、自分たちが来た道を指さす。


「このダンジョンは地下五階の比較的小さなダンジョンさ。ここから落ちている水は地下五階に降り注いでいる。壮大な光景だろ? 五階はもっとすごいから腰を抜かすぞ」


 シルシエが目を輝かせ前のめりでうん、うんと何度も頷くのを見て、ブルメイは嬉しそうな表情を見せる。


「だがな、このダンジョンの驚くべきところは、地下三階にある。それはな……」


「それは?」


「見てのお楽しみだ」


 さらに目を輝かせて前のめりになったシルシエがズッコケて、よろけるのを見たブルメイが愉快そうに笑う。


「ちなみに地下三階からモンスターが出現し始める。お前さん一人で行く気なのか?」


「ええ、地下五階に行かないことには探し物も見つけれないでしょうから行きます。モンスターなら大丈夫です。僕、逃げたり隠れるのは得意ですから」


 満面の笑みを見せるシルシエにブルメイは頷いてみせるが、その表情は険しい。


「生きるために必要なのだろうが、死に急ぐ行為だけはするなよ。タダでとはいかないが、安くしておくから俺らを頼ってこいよ。あとな、このダンジョンの収穫ポイントは水上の足場にあることが多い。足場にはコケが生えていて滑りやすいから気をつけろよ。水の流れが速いから落ちたらほぼアウトだ。もしも花がそこにあっても、慌てて採らない方がいい」


「お気遣いありがとうございます。今日は様子見なので危ないと思ったらすぐ逃げますし、危険そうなところには入りません」


「そうしろよ。じゃあ、俺らは帰るから気をつけてな」


 今度は納得したような表情で頷いたブルメイは、手を振ってくれる仲間と共に上へと歩みを進める。


「循環は三階からか……」


 ニコニコと笑顔を振りまいていたシルシエが、ふと真顔になって呟き、考え込む。


「さてと、ここに僕の探し物はあるのかな。っと、まずは依頼、依頼」


 再び笑顔を見せたシルシエは地下三階へと向かう。

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