お話し中
祝!美女のペットに!全男性の夢が叶うのでは!?
お家で飼われて、ぐうたら生活。一緒にそばで寝たりして・・・なんてこんな牛舎に放り投げられてる時点でないよな。扱いはまるで畜生だもん。
"一時はどうなるかと思ったけど。賢者の縄張りのお陰で魔獣と魔物の変化も減るだろうし。幸せを届けてくる鳥だったね、君は"
デヘヘ、エヘへ、グヘ。
美女に褒められた!!嬉しい、にやけちゃうよ。
独り立ちした大人ですから、自制を働かせる。聞かなきゃいけないことがいっぱいある。
"賢者って?"
"君の親鳥のことだよ。勝手に人間が呼んでるだけなんだけどね"
やっぱり!
もしかしてとは思ってたけど、うちの家族は弱肉強食の『強』だったか。
親鳥が現れた時、態度がなんか尊大だなとは思っていたし。人間はマミーを明らかに怖がっていた。
"普通の烏たちより大きくなって知能までつけて、魔法まで強くなって。魔者飛び越えて、賢者っていうか、もうこの巨大樹の森の王だよ"
え、重要な情報が流れ込んできませんでした?大きくなったって・・・。
"巨人ってこの世界にいますか?"
"いるけど、ここらへんには一切いないはずだけど。"
???
待てよ。小人からしたら普通の人間は巨人だよな・・・。
"巨人の巨人っていますか?"
すんごいバカな質問してないか?
"え、巨人の巨人?ふふっ、いないはずだけど。神話とかの話?"
笑われた、美女に鼻で笑われたよ。
けど、これで分かった!
この人たちは小人じゃない。前世で言う普通の人類ってことだ。
こっちの世界では烏が進化の過程で巨大化していったんだ。
そのせいで脳も巨大化、知能をゲット!みたいな流れじゃないか。
言われてみれば、だって親鳥だって最後なんか喋ってくれていたし、知能は確かにあった。
こっちの世界でどれくらいで話せるようになるか知らないけど、俺の成長は明らかにおかしい。
俺が美女と話しているので、親鳥は俺が話せることに気付いて、語りかけたのかもしれない。
カァーカァー話しかけて言語教育真っ最中だったのに、俺は何の反応もしなかったからな。
色々と辻褄が合ってきた!巨大樹の森の命名も今思えば安直で分かりやすい。
"巨大樹の森に住んでる魔者?ってみんな巨大化してる?"
"一般的な魔獣からしたら、みんな巨大化したよ。ついでに、知能まで手にしちゃった。巨大樹の森はね、世にも珍しい魔者の巣窟だよ"
オオカミさんの件もこれで辻褄がまた合う。
けど、これでオオカミさんが恐ろしいポンコツだってことも分かった。まぁ、なんでも全力でやるのはいいと思うよ。
さぁ!面白くなってまいりました!
一切の先入観が通じない感覚!こんな感覚味わったことがない!
魔法がここまでさせるのか!あーーー、深く考えればきっと切りがない!どうせ俺には深くは分かんないだろうけど!
けど!面白い!異世界が異世界しすぎだよ!理解できないことは恐ろしい、なんて誰だよ言ったのは。嘘、そんなの嘘だ!だって今ここに反例できる俺がいる!
"魔者ってなんですか?"
"魔者はね、君みたいな人間と同等以上の知能を持つ生き物の名称だよ。所詮人間目線だけどね"
悲報!人間、アイデンティティを失う。
よく人間は生きてこれたな。唯一の長所を剥ぎ取られて。知能を持つ生き物は俺の種族しかり、他にもたくさんいるんだろう。
"魔獣って言うのは?"
"知能の低い生き物の総称だね。ここらへんにはあんまりいないから見ることは少ないかも"
魔者に駆逐されたってことだな、おそらく。
火器の代わりに魔法の能力を置き換えれば、前世の生態系に似てくるんじゃないか?・・・知らんけど。
そうなると、火器の発展は魔法があることで抑えられているだろうな。
人間がどれくらいの威力のある魔法を使うのかは分からないけど、巨大樹に傷を付けた親鳥並みの人がいるだけで脅威だ。
魔法は日常生活に使えるから、生活を便利するための科学も発展しない。
魔法があるだけでこんなに変わるなんて。あーーーおもろっ!
これこそ、世界が違う。異世界だ!
聞きたいことだってまだまだある。
美女さん、しっぽりと一晩ぐらい話しましょう!