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翼の行方  作者: カワウソに恋する子
親離れ
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カラスに転生

俺はカラス。名前はまだない。


第二の世界で元気にやってるよ。月は三つに、色は右から赤、藍、そして土星みたいな縞模様が茶色と金色。土星みたいな月はちょうど三日月。煌びやかなのに儚い。昼月なのも幻想的。


・・・綺麗。そういえば、昼月は好きだった。上を見上げることすら忘れてた。


文字通りの新天地。


俺はカラスになって月も違う。俺は意識を取り戻した日から三日。あれやこれやと考えた。夢だったらとか。遂に廃人になったかとか。夢にしては三日は長すぎる。(眠気が強すぎて半分以上起きていない。)そして正常な判断もできている、はず!


これが転生・・・か?


毛も白色の混じりで、黒色の毛は全身に行き渡っていない。餌を与えにやってくる母ちゃんの姿を見れば、雛鳥であることは一目瞭然。


カラスに転生が本当に叶うとは。願ってみるもんだ。


羽でも広げて踊りながら喜びたい所なんでけど、そんなことは許されない程に狭い。


兄弟から前世人間の俺からしたら耳障りな鳴き声で抗議が入る。多人数で入るお風呂並みにぎゅうぎゅうだ。


木の枝で作られた巣は狭さ以外は万事良好。毛が生え揃っていない雛鳥からしたらぬくくていい。思ったよりチクチクはしない。


それにしても、人間は感情のキャパを超えると冷静に対処できるものなんだ~と身に染みて分かった。


羽を広げて羽、体、足、巣を確認してもしや・・・転生?と思ったからな。今思えば、冷静な回答だった。転生を真面目に考える時点でまともじゃないのか

ふわぁ~。また眠くなってきた。どこの赤ん坊も寝るが仕事なのは変わらない。


ゆっくりと視界が狭まる。太陽に光が七色に見えながらぼやけてく。正六角形が連なり太陽まで届く。空気が澄み切ってるような気がする。透明度は違うような。全部が綺麗に鮮明に見える。視界が白と黒に染まって意識は泡になった。


ピーチク、パーチク。それはもう必死に。鳴き叫んでるのかって言うぐらい。


みんな叫ぶと婆ちゃん地の田んぼのカエルの合唱も超える。カエルは寝てしまえば何とかなる。けどカラスは近いから睡眠を邪魔される。本来の俺ならブチ切れ案件。寝起きの機嫌の悪さには定評があった俺だ。当然よ。


しかし!許してやろうという理由がある。


ご飯の時間なのだ!騒ぎ出すのは決まって親鳥が胃の中に貯めこんだご飯を運んでくる。帰宅を待つ猫みたいに鳴きはじめるから餌に取り合いに負けることもない。今やいいタイマー係ですよ、弟どもは。


餌?イモムシですけど・・・何か?


うまいんだよ。味覚はちゃんとカラスになれたみたいだ。だから、安心してくれ。ゲテモノの感覚はない。


生まれた直後は暗い中から明るい場所になったな~と感じるぐらい。かなり恐怖感はあったけどな。何か硬いものに閉じ込められている感覚。ずっと暗闇。のびのびとする程の空間の余裕はない。しっかりとしたその時は視覚はなかったが、精神的に良好な状態とは言えなかった。


自我の存在すら明暗が見えない。鳥の本能だったかもしれない、監禁状態への恐怖だったかもしれない。分かるわけない。だって、意識が曖昧って言ったろ。記憶だってもうほぼない。


殻割って這い出て、明るさを実感する。眼を閉じてても明るいか暗いかぐらいは分かる。そんな感じだ。母なる太陽を体に受けて寝た。


そして、起きたら腹っあペコペコよ。孵化一番乗りだったらしく最初に出れた嬉しさの余り鳴き叫ぶ以外、驚きとぼけていた俺にも新鮮な餌をくれた。


もう究極的に餓死寸前だったのよ。胃液、涎まみれのご飯を流し込まれた。


嫌ではあったけどまぁ早いか遅いかの違いだからな。


これが案外クリーミーで、って解説できるほど肥えた舌ではないけどやっぱ旨かったんだよな。


世の中は弱肉強食。日本の現代社会と違って、自己主張のない奴は死んだも当然。そして、声のでかい奴は強いというのは同じ!


「ピー、ピー。ピッピッピッ」


俺もご飯のために必死に、親鳥に泣きつくのです。餌をください、と。


俺が年長者や!日本みたいに年上を敬い、へつらえ!弟ども!・・・弱肉強食だからさ。しょうがないじゃん。


俺は口を差し出して半消化された芋虫を流し込まれる。芋虫の破れた体から出る液体に微笑む。


美味しいー!肉の旨味を汁にしたような感じだ。肉汁とは違う。味もあるし何よりドロッとしていて飲み応えがある。


食事で一番違和感があるのは歯がないこと。そういえば雛が口を開けてる時に歯のような存在はなかった。大人になっても生えてくるわけではなさそう。親鳥の口にも歯は見えなかった。すべて丸呑みになる。カラスの胃は強いみたいだ。


何回か口渡しをしてもらった所でまた親鳥は立ち去っていった。巣の周りを何度も旋回しこっちを気にかけてくれるのが分かる。警戒と我が子から離れたくないという気持ちが伝わってくる。俺らのご飯の確保で大変だろうに。やはり母は偉大か。


え、父親?


母親も分かんないだから父親が分かるわけなくない。


ご飯くれるから母親かなって思ってるだけで、カラスの雄雌だって分からんし。


他のカラスがもし来てても分からない自信がある。たぶん、母親(と思われる)カラスしか来ていないとは思うけど。


もうご飯をくれるんだったら誰にでも着いてくよ。ヒヨコの刷り込みみたいにもうトコトコと着いていきます。


お腹もいっぱいになったし、一眠りとしゃれこみますか。この寝たい時に寝れる環境。高校の夏休み以来か。ご飯は親鳥の気分だけど簡単に言って最高。今日も月は綺麗ですなぁ~

何卒ブックマーク、いいね、評価よろしくお願いします!


面白かった、続きが一瞬でも気になったそこのあなた!作者が喜ぶので・・・お願いします!


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