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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
2章 6月 涙の暴雨、天舞う朱は侵界を祓う
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41話 明無心掴手 Ⅴ 罪でもあり粛清でもある

VS武者型 1戦目

私は安齋さんに謝罪し、頭を下げる。

「ごめんなさい、安齋さん。私のせいで変な人に絡まれてしまって」


「そんな気にしないでください。毎度のことですから」

 聞けば取り巻き2人の彼氏が安齋さんの方が良いと言うことで別れたらしい。

 しかも、安齋さんは2人の彼氏が落とした教科書やハンカチなどを拾っただけ。それだけの接点だったらしい。真ん中にいた偉そうな人は深見茉姫ふかみまき仁宇胡にうこ町の市長の娘だとか。うん? にうこ町? 何処かで聞いたような……何処だっけ? 後で調べよう。


 私達は3人で帰ることにした。

 学園で時々、天織灯が超がつくほど塩対応……正確に言えば男性限定(告白・ナンパ人)でドSな雰囲気で毒舌な言葉を吐くことは周知の事実だったが、この日を持って、彼女を怒らすと処刑される噂が広まる。その姿を見て『素敵』と口を揃えて言う人が後を絶たない状態になり怒られたい人が増殖していった。灯を悪く言う人はいなく、寧ろ良くやってくれたと心に思っている人が大勢いた。



「しっかしあの女……性懲りも無く月音ゆみちゃんを狙うなんて、許せない!!」

 帰る道中、綾ちゃんは毒づいていた。それこそ、1分に一言のペースで……


「綾ちゃん……そろそろ落ち着こう? 私が釘刺しといたからこれ以上何かするとは思わないけど」

 一応、三守みかみ先生といわお理事長に事の顛末を伝えてある。私達に危害があれば私達を最優先で守ると連絡があった。それはありがたいけど、教育者がそれで良いのかと考えてしまう。


「ほら、綾ちゃん。笑顔! 笑顔! 怒ると美人が台無しだよ。お願いっ!!」


 私は両手を互いに握り顎に置き、上目遣いでおねだりする。

 綾ちゃんの瞳が一瞬、ハートマークになっているような現象に見えたがすぐに通常通りに戻っていた。不思議なこともあるな……??


「わ、分かったよ……あぁあああ!! もうお終い! 今からハンバーガー食べに行くよ!」


 3人でファストフード店に向かうことにした。

 有名なファストフード店に向かう途中、ポツポツと上から雨粒が降ってきた。

 そうだった……今、空が怪しかったのすっかり忘れていた。

 現在、少量の雨が降っていたがその威力がだんだん強まり、すぐに土砂降りの様相となり、私達は近くの屋根があるお店に避難することにした。

 3人とも持っていたタオルやハンカチで濡れた身体を拭く。


「まさか、誰も傘を持っていないんてね」


「仕方ないよ。今日は降水確率10%って朝の天気予報で言っていたから」


「私もそれ信じていた……放課後になって曇りになるからまずかったけど、すぐに晴れて案外なんとかなると思っていたのに……これだもんね」


 屋根の外では私達と同じように雨への対抗策がなくずぶ濡れになっている人達が大勢いた。

「今日は全世界の人、不運の日かな〜」


 これ以上、止む気配がなければクロを呼ぼうかな……クロって意外と多種多様な車種を乗りこなれる。普通自動車、キャンピングカーの様な特殊な車から大型トラック。果ては飛行機まで乗りこなせれると豪語していた。本当かどうか分からないが、普通自動車を乗れるのは知ってるから連絡すれば向かいに来るはずだ。


 3人で雨が止むのを待っていると、左側から走ってくる人がいた。雨が降り続いているので道路が濡れ足音がしっかり聞こえてくる。

 また、新たな雨の被害者が増えた様だねと3人でその人を見ようとしたら安齋さんが驚いていた。

「あの人……茂上もがみさん?」


「知り合いなの?」


「お姉ちゃんが所属していた剣道部のメンバーの一人です。確か、公式戦で先鋒を務めている人ってお姉ちゃんから教えてもらった事があります」


 その茂上さんが私達を見るなり鬼気迫る声を発した。

「お前達っ!! 逃げろっ!!」

 その言葉を最後に茂上さんは倒れた。雨の粒が背中に打ち付けられながら動かなかった。

 倒れた茂上さんの背中には一瞬だが斬られた後があったがすぐに消えていた。


「2人は彼を連れて逃げて……」


 私はサングラスを付け外に出る。幸いにも息がありすぐに助けと呼べば助かる。茂上さんは2人に任せる。私は左側に視線をやると、茂上さんとは違い淡々と歩いている足音が聞こえてきた。歩いてくる人を見る。

 身長は代々、190cmほどある。身体は一才素肌が見えないように黒色で統一されており、頭にかぶっている兜も豪華な飾りが付けられている。鎧を着ていた。戦国武将が着ているような鎧にはマゼンタと紫色の色合いになっている。そんなふざけた色合いでも着ている鎧は重厚かつ絢爛な作りになっている。

 私は手に握られているものを確認して、警戒した。日本刀だった。よくテレビで日本の歴史番組で登場したり大河ドラマで役者の方々が腰に携えている刀。武者の鎧を着ているんだから所持していても不思議ではない。私の前方にいるやつ——武者型のソドールは不思議そのものだった。まず、ソドールと断言したのか。唯のコスプレ好きが雨の中楽しんでいるだけだと考えれるがこいつはその思考すらさせないことをしている。鎧は雨で濡れているが持っている日本刀の刀身には雨が当たっておらず、寧ろ雨の方が避けている状態になっている。似たような状況は私が【キャット】を起動すると私の周りに薄い青色の膜が出現しあらゆる攻撃を弾き中の人を守る完全防御状態になるに近かった。あの刀も同じ様に絶対に、この刀身には触れさせない——そんな気配がしていた。


 武者型は刀の剣先……刀だと切先だったっけ。とにかく先端部分を私に向ける。その後、加工してるのか変な声で私に語りかける。

「そこの男に用がある。お前に用はない……消えろ」


「あの人にどんな用があるか知りませんがその力をこれ以上、悪用させません」

 クイーンズブラスターASKを取り出し、自分専用のスライドキー【レッド】を装着して、トリガーを引く。


 普段の灯の髪は黒色になっているが【レッド】を装着したクイーンズブラスターASKのトリガーを引くと赤く染まったストレートの髪になる。真っ赤な髪は腰まで伸びている、モデル体型のような細い体は烏の羽のような艶のある黒色のワンピース・ドレスに包まれている。ドレスの上に羽織っている深みのある華やかなワインレッドカラーのコート。右手には【レッド】専用ナイフ【裁紅の短剣】(ピュニ・レガ)を持ち構えた。


 最大限警戒しつつ構える私。恐らく武者と何かのソドール。もう一つが分からない以上、無闇に接近するのは得策ではない。その警戒を怠ってクロを危うく失うとこだったから。

 しかし、さっきより雨が強い……視界が悪くなる一方。この状態だとまともに戦う事ができない。かといって雨が入らない建物に誘い込み、そこで戦うこともできるが生憎、周りの建物にそんな都合が良い建物がない道路だった。雨で視界がせいで私達以外は武者型の姿を捉えていなく近づけば武者型の餌食になってしまう。それはなんとしても回避しないといけない。もう、これ以上誰かが傷つくことに耐えられない。例え誰であろうと……


 武者型が刀を横に構える。そして薙ぎ払いの様に刀を前に降る。避けることは簡単だが、周りに誰がいるか分からない以上、ダメージを最小限にしつつ放たれた斬撃を受ける必要がある。


『ボーン』!

 放たれた斬撃にもし状態異常な付与があると【裁紅の短剣】(ピュニ・レガ)でまともに受け流すのは危険と判断し【ボーン】で作られた骨を【裁紅の短剣】(ピュニ・レガ)に纏われる。

 こうすれば、被害は骨のみ。仮に纏っている骨部分が破壊されてもすぐに再生する。

 直撃した攻撃により私は後ろに転がるが無傷に近い状態だった。【ボーン】で上手くクッションの役割になってくれたおかげだ。生憎、【裁紅の短剣】(ピュニ・レガ)に纏っていた骨は粉々になる。破片が地面に散らばっていたが【裁紅の短剣】(ピュニ・レガ)に吸いつけられるかのように集まり、再度纏う。

 クソッ! 更に視界が悪くなってきた。あれ?

 私は片足を地面に付きながら周りを見渡す……周りが雨に遮られ一切、見えなかった。今私は雨のカーテンの中に囚われている。激しく降る雨が水の壁の様に見えてしまい左右何処からも脱出できないでいた。

 兎に角、この空間から脱出しないと……この雨のカーテンに止めれば四方八方敵からの侵入を許してしまう。

【ボーン】を外し、【タカ】をクイーンズブラスターASKに装填し起動した。


『タカ』!


 怪盗服の背中部分に外付けの様にピンク色の大きな翼が装備され、私は上へ翔ぶ。雨柱の外側から武者型が侵入し私の足を斬った。


 しまった……あれ? 痛くない?? 当たらなかったのかな。それより、今はここから脱出しない。


 武者型は私の足を斬った後、雨のカーテンの中に入り外側に出ていった。

 私は空中で再び、翼を羽ばたかせ上へ移動する。しかし、上へ移動しても一向に外に出てなかった。寧ろどんどん離れていった。手を伸ばしても雨柱の一番上の外側に届かず気づけばスタート位置の地面に私は倒れていた。倒れた拍子なのか不明だがひどく喉が渇く。こんな周りに水分があり時折、私の口に入っていたがそれでも足りず今すぐ大量の水を接種したい気持ちになっている。身体も思うように動けなかった。まるで私の身体の運動能力が低下しているみたいに……


 私を囲っていた雨のカーテンは上から下へ下がり無くなる。残されたのは変身解除して倒れている私だけだった。


雨は降っていない

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