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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
2章 6月 涙の暴雨、天舞う朱は侵界を祓う
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39話 明無心掴手 Ⅲ 天使に迫る般若の騎士姫

 私は窓際に頬杖を付いていた。今は放課後になったばかり。今日も今日とて雨模様。本格的な梅雨シーズンに突入していた。このままここに留まれば傘があっても自分の身体が濡れるのは明白だ。しかし、私は昨日の事を考えていた。当然だが、上の空で授業を受けていて全く頭に入っていない状況である。数日は真面に授業を受けてなくてもクロがいるから意外となんとかなる。


 一旦、勉強は置いておいて……目下の課題は翠の陰包徳(リ・エミナァーデ)内に収まっている悪魔との邂逅だ。クロが7体の悪魔を封印するために魔界から持ち込んだ特殊な黒色の紙切れは封印だけではなく封印された悪魔との会話を可能にする。この黒色の紙切れはあくまで最終手段の奥の手らしい。魔界では悪魔が悪さをした場合、抹殺対象になりその場で討伐部隊に処刑される。しかし、倒すのが困難、もしくは上の指示で生捕りなどの理由も時だけ黒色の紙切れを使用し、対象の悪魔を封印し永久牢獄の刑になる。本来なら罪を犯した悪魔はそのまま永遠に封印をするべきだが、稀に捕まった悪魔と手口が同じ犯行が発生したりなどで封印済の悪魔の精神世界に入り、情報を頂くため用に封印の紙はそのようなつくりになっている。因みに封印されている悪魔からは外に逃げ出すことはできない。捜査する悪魔だけが行き来できる仕組み。こっちの世界では警察が犯罪者に捜査協力するみたいなものと以前、クロが言った。なので、今回の事案も一応、捜査協力みたいなもの。今日、家に帰れば早速、翠の陰包徳(リ・エミナァーデ)に入っている悪魔とのファーストコンタクトを行う。私1人だけだと中に入っている悪魔につけ込まれる危険性があるため、クロの誘導の元、精神世界に入ることになる。


 クロは伊達に長生きしておらず、この手は得意とのこと。というかこのシステムをつくったのがクロだけ聞いた時は私の目が限界まで見開いた。他にも契約など現代の悪魔界のほぼ全てのシステムを魔王と制作した。

 そんな凄い人なのに……部下に逃げられるなんて……この手の話をするとクロが無気力状態になるので私や璃子さんは禁句扱いしている。そうだよね……自分の失敗が元で多くの人の運命が変わったのだから、いくら長生きしている人でもそう簡単に立ち直ることは難しい。今でこそ私に対して何故か熱いアプローチをしてくるが、出会った当初は何度もそれこそ、毎日私に謝罪していた。私は初めは困惑したが、クロを受け入れることにした。あれが正解だったか分からないけど、そんなことがあってからクロは明るくなっている。そして、先日……私のく、唇を……

 もうっ!! 何でこんなに心が騒めくの……あのキスがあってからクロを面と向かって目を合わせると私はすぐ、目を逸らしてしまう。就寝しようとベットに入ってもあの光景が頭を巡り回り私の頭が沸騰してくる。これは緊急事態だと璃子さんに検査してもらいが、拒否られた。


「いや、異常ないから……今まで通り生活してなさい」

 璃子さんは呆れた顔をしながら私の身体は健康そのものだと告げた。


 ……解せない。納得いかない。意味が分からない……誰か相談できる人は……私の今の状況を話しても欲望を爆発しない人……


 私の頭に天命が降りてきた。

 思い立ったらなんやらと勢いよく席を離れる……

 向かった先は隣のクラス。そう、3組である。ここには最近、仲良くさせてもらっている安齋月音あんざいゆみさん。

 少しおっとり口調だけど芯のある子。黄みの強いベージュの髪の型はウェービーヘアーで濃い赤紫色のヘアピンをつけていた。綾ちゃんよりある。何処とは言わないけど。

 別のクラスにずかずか入るのは忍びないが他の子もやっているので便乗することにした。


 彼女ならきっとと思い私は口を開く。

「あの……安齋さん」


「あ、天織さん……どうかしましたか?」


「大事な話があります! ちょっとお時間頂いてもよろしいでしょうか?」



 それでは、ここで皆様に質問です。

 突如、学園に舞い降りたザ・天使と表現しても良い。いや、女神様のような人気のある天織灯さんが突然、わざわざ別のクラスに行き、そこにいる女子生徒に『大事な話があります』と伝えるとどうなりますか? 更に言えば、学園の終わりである放課後……その時間になってから数十分しか経っていない。当然、教室には何人か生徒はおり、帰る人、廊下は歩く生徒、待ち合わせしている生徒、灯を見て今からの部活を粉骨砕身する人など目的は違えど生徒が集まっている。


 その言葉を聞いた生徒達は時間停止でもあったのか微動だにしなかった。

 しかし、そんな空間の中に動く影が1つ。


 急に肩を叩かれた。私は後ろを見ると……

「灯ちゃん……ちょっと良い」

 般若のお面でも被っているのかという位、ヤバいオーラを身体から放出している綾ちゃんがそこにいた。


「えぇ!?」


 私は綾ちゃんに連行されていく。腕を掴まれ決して、今の私でも振り解けない力。私を逃さないようにしていた。

 後から他の生徒に聞いた所、廊下を歩いていた綾ちゃんの顔が余りにも怖く廊下にいた生徒全員が端に寄り、廊下の中心が開いていたことを……

 あれって、通る人への配慮でみんな優しいなって思っていた当時の私。

 それを聞いた後、口は災いの元だと初めての体験をした。



 強制連行された私が収監されたのはクロがいる保健室。

 いつもなら簡単に入室していたが、今の私の心情的にはキツいものになっている。

 普通のドアが巨人が入る専用の大きなドアに見えており私の前に聳え立っていた。


 そんな私のことはお構いなしで綾ちゃんが保健室に入る。

「失礼します」


 クロは椅子を回転させこちらを見て挨拶してくれた。

「あら! いらっしゃい。鈴木さん、天織さん」


「少し相談したいことがあります! 黒咲くろさき先生……いえ、クロさん!」


こんな状態になっても灯ちゃんは自分の容姿に無頓着......


綾様、貴方は何者ですか? 怖いです! 

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