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レッド・クイーンズ ~天織灯のあくまな怪盗生活~  作者: 麻莉
2章 6月 涙の暴雨、天舞う朱は侵界を祓う
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33話 人は それを狂気と呼ぶ

 私はまるで魂が抜けていた。カラス型のソドールが私に対して足蹴りしても反応することが出来ず、転がり変身解除していた。


 服や顔が砂まみれになりながら転がっていく。転がった反動で【ライオン】、【カメラ】、【ミラー】、【タカ】が私の懐からこぼれ落ちた。



 黄華:おい! 灯、代われ! 僕がいく どけっ! お前も手を貸せ、強制的に灯と代わる

 聞いてるのか……青奈! どうした!?


 青奈:やっと認めたのに……ちゃんとした謝罪をまだしていないのに……


 黄華:いつまでしみったれた顔しているんだぁ!! このままじゃ灯も死ぬんだぞ この状況はアイツの思う壺だぞっ! お前はそれでいいのかぁぁぁぁあ!!




 ほお、色んなモノ溜め込んでいるな……これで7本。まだ持っているな……

「おい、怪盗……他も持っているな、寄越せ」

 1歩俺が足を出すと同時に驚愕の光景が見えた。



 顔が砂まみれで完全には分からなかったが、どこかで見覚えのある素顔だった。だが、驚いたのはそんなことではない。怪盗が立っているのだ。人間なら起立するのは当たり前だが、今この女怪盗の身体の状態がとても立つことは不可能だ。身体を支えるのに必要な両足の内、右足は俺の羽爆弾の影響で負傷し到底、自力で立つことは出来ない。怪訝な顔を俺がしていると目の前の女怪盗は独り言を呟いていた。


「クロはね……何も知らない私に色々なことを教えてくれたの……」

 記憶が殆どなく虚無な状態だった。自分の使命やクラスのみんながソドールになる光景は覚えているがそれ以外、何も知らなかった。そんな私を見たクロは私に色んな事を1つ1つ教えてくれた。

 世界の情勢、生活に必要なこと、学園の勉強、俗世間で何が流行ってどういうものが人気なのかなど様々なことを教えてくれた。時にスパルタ、時に甘い。これで私の空っぽな記憶を埋めてくれた。


 青奈ちゃんやこうちゃんのこともサポートしてくれて今では仲良しになった。嬉しかった……。

 クロの行動で私にも『友達』が出来た。今の私がいるのはクロのおかげ……。

 私が成長できたのは全部、クロのおかげなの……。


 私の道標が消えた……誰のせい……私?……目の前のコイツ?……誰のせいなの



『貴方よ、貴方が弱いからクロはあんな状態になったのよ』


『でも、安心しなさい。強くなる方法はあるわ』


『アイツをこれで限界まで使い、戦いなさい』

 誰かによって投げられたのは【太義の蛮輪】(ブロ・ウォーガー)


 白いモヤは私に近づき、私の耳元で口を開く。

『それを使ってアイツを倒しなさい。いや、殺しなさい』


 その言葉を言った後は私から距離を取り、手を後ろにしながら歩き始めていた。

『貴方なら出来る……貴方の身体なら、ね』





 ——誰かの声は次第に聞こえなくなる。

 ——誰と話していたか私は忘れた。

 ——でも、これだけは覚えている。




 ———お前を殺す———



 目の前のソドールに対して怒りの気持ちが抑えきれなかった。

 どんな手段を使ってもお前を倒す…… 覚悟しろよ……

 目を尖らせ身体を震わせながら、私は憤激の顔でこいつを睨みつけていた。

 そして……次第に……



 そうか……キツネ型も同じ感情だったのか。悪いことしたわね……!! 

 私は不敵な笑みをもらした。










 もう1回強烈な蹴りを入れて終わりだ!!!

 急スピードで怪盗に向かう俺だったが、身体が硬直し後ろに吹っ飛んだ。

 吹っ飛んだ俺は何が起きたか分からなかった。そして、次第に自分の頬に痛みが広がる。


 俺は殴られたのか? いつだ? 

 思考を加速させ、状況を整理したかったが俺の殴られた頬から血が付いていたのが分かった。

 勿論、自分のではない。この身体になって分かったが見た目はカラスだが意外と硬いことはわかっている。自分のではないなら……


 女怪盗の拳に血が付着していた。手を握りしめるとできる指の付け根の骨が出っ張っている状態になっている。その付け根から俺を殴ったことで血が出ていた。血は拳全体に広がり中にある手の平まで侵食しているだろう。そして、1滴、1滴と怪盗が出した血液が地面に落ちていく。

 落ちた血は地面に到達した瞬間に波紋のように地面に広がっていた。






 コイツ……イカれてやがる

 だが、ふらふらな奴は俺の爆弾で1発だ。生成した羽爆弾ボールを投げる構えを取った瞬間、廃工場の出入り口から爆音が聞こえてきた。


 爆音は徐々に近づき廃工場の中に入ってきた。爆音の正体はバイク。黒と銀が合わさったスポーツバイクだった。乗っている奴は黒色のライダースーツを着て、素顔はヘルメットで分からなかったが十中八九、怪盗の仲間と直感した俺。


「ダメよ!! 今の貴方が使えば」

 何かのことなのか分からなかったが声からして女性であることが分かった。

 ライダースーツの女はバイクから降り、ダッシュで怪盗の方に向かう


「ねぇ……貴方は祭りがやりたかったっけ?」

 俺が振り向くと、どこから出したか判明できない黄色の箱を左手に持っている怪盗。

 不気味な笑顔を浮かべ黄色の箱を白い変なモノにくっ付けていた。


「今の貴方には使わせないわ! 放しなさい!!」

 ライダースーツの女は怪盗が持っているモノを取り上げようとするが一向に剥がれることがなく怪盗が腕を振り上げライダースーツの女はあらぬ方向に転がった。



『デストロイ』!!!


 不穏なキーワードが聞こえ、怪盗は黄色の姿に変わっていた。


 怪盗はお化けの存在以上に不気味な笑い声を上げながら巨大な剣を出して、剣先を地面に刺していた。



 私の身体中に血液の如く、熱く燃えるように急速にクロの悪魔因子が活性化していくのが分かる。

 私は笑いが止まらなくなる。

「お前を殺すわ!! アヒャヒャヒャヒャアァァッァァァアア!!!」


 誰もいない山奥の廃工場。

 そんな場所に木霊する狂気の笑い声......



 白いモヤは淡々と無機質に口を発する。

『それで良いわ。流石、私の……』



灯が使えるソドール能力

No.16 ??? ???色

No.33 ホッパー 青ピンク色

No.47 シャーク 青水色

No.48 ボーン 茶橙色

No.55 クレーン 煉瓦橙色



カラス型

No.14 ライオン 白黄色

No.25 カメラ 黄茶色

No.29 キャット 青マゼンタ色

No.35 スパイダー 赤紫色

No.44 タカ  白桃色

No.52 ダイヤモンド 水白色

No.53 ミラー ピンク赤色


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